ボール選びに迷っていたら「外軟・内硬」のボールから打ってみよう!
吉本巧のゴルフギア教室 第24回
ドライバーがヒールに当たりがちで悩んでいるゴルファーの皆さん!もしかしたら、原因はアドレスにあるのかも? ボールをフェース中央に合わせて構えているという人は必読。吉本巧が詳しく解説します。
写真/ゴルフサプリ編集部
ゴルフボールは表面とコア部分の硬軟により4種類に分かれる
数ある中から自分に合ったボールを見つけるのは難しいものです。ネットやショップで説明を読んでも、結局何がいいのかわからないままの人が多いのではないでしょうか。そこで今回は世に出ているボールの特徴を切り口に、なるべくシンプルに好みのボールを見つける方法をお教えします。
メーカーやブランドごとに星の数ほどあるボールも、大別すると、たった4種類しかありません。ボールを作るにあたっては規格やルールが厳格に決まっています。ボールはいわば特許の塊のようなもので、メーカーはその範囲内で作ることしかできないのです。とはいえ、やはり差別化しないとゴルファーには訴求できませんから。メーカーはいろいろな表現を使って違いを伝えようとしているのです。
まず4種類がどういうものか説明しましょう。ボールは表面(カバー)と、内側のコア部分の二重構造です。コアの部分は、例えば3ピースのように何層かになっていますが、複数の層も全てひっくるめてコア部分と考えます。その前提で以下の4つがその種類となります。
1 表面が軟らかくコアも軟らかいボール
2 表面が軟らかくコアが硬いボール
3 表面が硬くてコアが軟らかいボール
4 表面が硬くコアも硬いボール
表面とコアの硬さはパフォーマンスに影響します。表面はアプローチやパットに及ぼす影響が大きい。軟らかいか硬いかでフィーリングに違いが出ることは、みなさんもご承知のことと思います。一方、コアの部分はショットに影響します。ショットでフルスイングするとインパクトの瞬間にボールが潰れますが、その時にコア部分の硬さによって打感が変わるのです。例えば表面が軟らかくてコアが硬いボールは、アプローチやパットはソフトなフィーリングがあり、フルショットではしっかりした手応えが得られます。
打球のスピン量も変わります。スピン量とはバックスピンの量です。1はスピン量が多い。たくさんバックスピンがかかるとショットでもアプローチでも、グリーン上でボールが止まりやすくなります(グリーンの状態にもよりますが)。その対極にある、表面もコアも硬い4はバックスピン量が少なくなって距離が出るものの、グリーンには止まりづらくなります。
「スピン系」と呼ばれるボールは表面、コアともに軟らかいボール。「ディスタンス系」は両方とも硬いボールです。後者は表面とコアのダブルでスピン量が減るため飛びやすくなるというわけです。何がなんでも飛ばしたい人には4。スピンをかけたけたい人なら1のボールがおすすめです。
一番多く出回っているのは表面が軟らかくコアが硬いボール
球の曲がり方で言うと、1は曲がり度合いが大きくなります。バックスピン量もさることながらサイドスピンも増えるからです。対極の4はバックスピンが少ないぶんサイドスピンも減るので曲がりづらくなります。曲がりが少ないぶん飛ぶ、という意味でも「ディスタンス系」というわけです。
1は傾向的にプロゴルファーが使うことが多く、プロ仕様と言われます。プロがフィーリングを重視するのと、プレーするグリーンが速かったり固かったりするので、スピンがかからないと止まらないからです。また、インテンショナルにボールを曲げたいシチュエーションもあるのでスピン系の方がいいのです。
プロ御用達のせいかは定かではありませんが1は価格が高めです。4は飛びやすく曲がりづらいので初心者にいいとされており価格もお手頃です。前者は1ダース7000~8000円するボールもありますが、後者は安いと1ダース1000円ちょっとで買えます。聞いたところによれば、そこまで原価に大きな違いはないらしいのですが、プロが使う付加価値なのか設定価格は高めになっています。
世の中に一番多く出回っているのは2の、表面が軟らかくコアが硬いボールです。ボールの性能を表すワードに「飛んで止まる」というのがありますが、こう謳われているボールが2です。ショットが飛び、グリーンでは止まる。1と4それぞれのイイトコどりで「飛んで止まる」と表現していますが、所詮1の止まり方にも、4の飛び方にも敵いません。
それなのになぜ「飛んで止まる」のかというと、表面が軟らかいので打感がソフト。特にアプローチではスピンがかかっている感覚が得られて止まるイメージが出ます。また、フルスイングするとコアの硬さが手応えとして得られるので飛んでいるフィーリングになります。この2つの感覚が味わえるからです。イイトコどり=どっちつかず、とも言えますが、打つ人の感覚が満たされる部分があるので「飛んで止まる」となっているのです。ボールの場合は打感でどんなボールかが判断される部分があるので、メーカーもそこを重視していて、データもさることながらフィーリングも大事にしている。そこが2が多くなっている理由と言えます。もし、ボール選びに迷っていたら、2のボールから打ってみるといいでしょう。
最後になりましたが3は少数派で、最近はあまり販売されていません。あまり意味がないというか、アプローチやパットが硬い打感になるとフィーリングが出ず、ショットがソフトになって打っている感じがないと飛んでいる感じがしないからです。というわけで、実際に選ぶとなると1、2、4のいずれかになるのが現状。プロのようなプレースタイルに憧れたり、スピンをかけたり、打感にこだわるなら1。どしても飛ばしたいならドラコン選手も使っている4。特にこだわりがなければ2がいいと思います。いずれにしても、この機会にいま使っているボールの特徴を確認し、自分が求めるボールについて再考してはいかがでしょうか。
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吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。