ロフト角22度前後のUTは垂直。では、ロフトが増えたらシャフトはどっちに傾いて見える?
吉本巧のゴルフギア教室 第29回
ゴルフクラブの各番手に対して、自分は正しく構えることができているのだろうか? そんな考えが浮かんだときに、正しく構えているかの判断基準は“ゴルフクラブの見え方”になるだろう。今回は、構えた時のゴルフクラブの正しい”見え方”についてのお話。
写真/ゴルフサプリ編集部
番手が上がるほどボールの右側が多く見え、フェースは閉じて見える
アドレスを正面から見た場合の左右へのシャフトの傾きは、すべての番手で変わります。基準になるのはロフト角22度前後のユーティリティ(以下UT)で、ほぼ地面と直角の90度のイメージです。
これを中心に番手が上がるごとにシャフトは左に傾きます。同じUTでも番手が上がれば(ロフトが減れば)わずかながら左に傾き、ドライバーでは最も左に傾きます。反対に番手が下がる(ロフトが増える)とシャフトは右に傾きます。同じアイアンでも番手が下がるごとに少しずつ右に傾き、ウェッジで最も右に傾きます。
ヘッド位置とグリップ位置で考えた場合、ロフト22度前後のUTではグリップの真下にヘッドがあるイメージ。番手が上がるとグリップ位置とヘッド位置はともに左足側に寄りますが、グリップがわずかしか動かないのに対してヘッドは大きく移動し、ドライバーではグリップよりもヘッドがターゲット方向にきます。これがヘッドファーストの状態です。逆に番手が短くなるとグリップ位置、ヘッド位置とも右足側に移動します。こちらもグリップよりヘッドの方が大きく動くので、結果的にハンドファーストになります。
UTを中心に、ドライバーはヘッドがグリップよりターゲット側、アイアンはグリップがヘッドよりもターゲット側になります。アイアンも長いとハンドファーストの度合いは少なくなり、短いほど強くなります。シャフトの傾きはグリップとヘッドの位置関係によって生まれるわけで、番手が変わったらグリップ位置、ヘッド位置、シャフトの傾きの3つがセットで変わらないといけないのです。
頭の位置も番手によって変わります。頭は番手が長いほど右足側、短いほど左足側にきて、グリップとヘッド位置とは対極になります。番手が変わったら頭の位置も変わる。腰のあたりを中心に頭とクラブヘッドは対称に動く。ヘッドが左なら頭は右、ヘッドが右なら頭は左に動くのです。腰の中心と首の付け根を結んだ上半身の軸は、番手が上がるに従って右足側への傾きが強まります。ドライバーのアドレスで体が右に大きく傾くのはこのためです。
これらに伴いボール位置も番手によって変わり、番手が長くなるほど左足側になります。この時にボールとフェース面はどう見えるのでしょうか?
まずボールですが、番手が上がっていくに従ってグリップとヘッドとボールの3つが左足側に移動しますが、頭は反対に右足側に移動します。そのためUTでは上から見ていたボールの右側が多く見えてきます(利き目によって多少変わります)。常に右側面にロゴがくるようにボールを置いて練習するとその違いがわかります。
フェース面の見え方も変わります。仮にUTでスクエアに見えていたら、番手が上がるほど閉じて見えるようになります。フェース面の向きがスクエアでも、斜め右上から見ることになるので閉じて見えるのです。逆にボール位置が右になるとフェースは開いて見えます。アングルが変わると見え方が変わるのです。
長い番手ではフェースが閉じて見えるのが正解。例えばドライバーなら、少しフェース面が閉じていると感じるくらいが適正です。スクエアに見えたら少し開いているかもしれません。これが原因でスライスする人がたくさんいますから。
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吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気