キャロウェイ「APEX Ti FUSION」数量限定の“特別”に飛んで止まるアイアンの性能を計測してみた
キャロウェイの“アニバーサリーモデル”こと「APEX パフォーマンス シリーズ」(全3モデル)の中でも、渋いブラック仕上げで異彩を放つ「APEX Ti FUSION」アイアン(数量限定)。これってどんなモデル? フィッターでありインストラクターの関浩太郎が打ち、弾道測定器(スカイトラック)のデータを見ながら分析した。
協力/SEKI GOLF CLUB 目黒 写真/圓岡紀夫
高級感のあるルックスと手の込んだ作りの贅沢なアイアン
中~上級者をターゲットにしたこのモデルは、ボディが鍛造430ステンレススチールでフェースが鍛造チタンと、ボディとフェースのどちらも鍛造という希少なヘッドだ。しかも独自のブレージング方法により、従来よりも精密にチタンとステンレススチールを接合している。
ヘッドはDLC(ダイヤモンドライクカーボンコーティング)と呼ばれる処理によってブラックカラーで覆い、引き締まったイメージに。見た目といい作りといい、他のモデルとはひと味もふた味も違う“贅沢なアイアン”と言える。
テスターの関は、このアイアンを手に取って述べる。
「率直に言うと、他の人が使うアイアンとかぶりたくない、人とは違うアイアンを使いたいゴルファーが“大好物”のモデルじゃないでしょうか。あくまで大手メーカーのしっかりした作りで、人とは違うカッコいいアイアンを求める人にドンピシャです」(関、以下同)
バッグに刺さっていて“華”がある、構えたときもカッコいい
その「APEX Ti FUSION」の7I(30.5度)をさっそくテストした。
「構えるとメッチャいい顔してる! シャープなブレードといい、トゥ側の輪郭や逃げ感といい、キレイな顔をしてます。黒染めでもフェースが小さく見え過ぎず、サイズとしてはほんの少し大きめのセミグース。「程よい直進性=安心感」、「程よい操作性=楽しさ」をバランスよく兼ね備えていますね。
ヒール側が高めで長方形に近い“BOX型”なので、アライメントが取りやすい。球を左右に打ち分けるよりは、コースを直線的に攻めたい人、シンプルにマネジメントしたい人にマッチするでしょう。そういう意味で、大MOIヘッドのドライバーとも相性が◎」
さらに、バックフェースのデザインを見て、こう続ける。
「ブラックのモノトーンの中に、ミラー仕上げの『APEX』というロゴが輝いて、抜群にカッコいい。このアイアンがキャディバッグに刺さっているときの佇まいも、満足度が高いはずです」
初速が出て飛ぶけれど、スピンが入ってグリーンに止まりやすい
7Iの弾道データを見ると、良い当たりで177ヤード。スピンがしっかり入って球が浮き、ややドローになった。
「チタンフェースならではの“ピキッ”という打音で、高音ではありませんがハジきが強くて初速感があります。いわゆる飛び系の打感でありながら、インパクトの球持ち感が軟鉄鍛造並に長いのがフシギな感じ。フェースもボディも鍛造なので、適度なツブれ感や球持ち感があるのでしょう。
ちなみに、チタンという素材は硬いので、鉄を鍛造するよりももっと強いプレスで圧力をかけなければカタチが変わりません。それだけコストがかかっていることが分かりますね」
弾道についてはどうなのか?
「同じ『APEX』シリーズの『Ai200』や『Ai300』も打ちましたが、どちらもドロー系という中で直進安定性がありました。この『Ti FUSION』は、より直進性が高くてストレート~ちょいドローのイメージ。
『Ti FUSION』の弾道データを見ても、やはり初速が出てますね。そしてキャリーが出るけど、スピンが入っているからランが少なくて、グリーンに落ちたらすぐ止まってくれそう。アスリートがタテ距離をコントロールしながらグリーンを狙えると思います」
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トゥ外しでも飛距離が落ちない、ヒール外しでも左に巻かない
もう一つ知りたいのは、フェースのトゥ側とヒール側に打点を外すと、どういう結果になるのか。
「トゥ寄りに外しても“ペラッ”とした球になりません。距離的なミスの補正力に長けていて、真ん中に当たったときとほぼ変わらないくらい飛びました」
打点をヒール寄りに外すと、さすがに10ヤードくらい飛距離が落ちた。
「むしろ飛距離が落ちた“だけ”で、大ケガにはなりません。ヒールを喰っても、フェースがかぶって左に巻き込むことがないし、良い当たりをしたときと打感がゼンゼン変わりません。ミスヒットの寛容性も十分ですね」
カユいところに手が届く、番手別の最適な設計
ここまできたらとことん知りたい、ということで5I(23.5度)と9I(38.5度)にも手を伸ばす。5Iを構えると「7Iとは顔つきが変わりました」と言う。
「5Iはグースが少し入り、フェースがやや“面長”になり、トゥ側が低くなりました。雰囲気としてはアイアン型UTに近くなってます。“より上がりやすく・よりつかまりやすく”というイメージになりました」
5Iの弾道を計測すると、スピン量が4000回転と十分に入り、ほぼストレートな打球でトータル飛距離が200ヤードに達した。
続いて9Iを構えると「こちらはマッスルバックのようなイメージ。トップブレードがシャープになって、フェースがかなり高くなりました」と言う。
5I、7I、9Iを打って、こう話す。
「このアイアンは、セットの中で番手によって見た目や重心を変えています。ロングアイアンは操作性よりも、ミスヒットに寛容で飛距離が出やすい。ミドルアイアンは直進安定性を高めつつ、ある程度のコントロール性がある。ショートアイアンは球の高低や左右に打ち分けやすかったり、傾斜やライの対応力が高い。それぞれの番手で“欲しいところ”に手が届いてます。それだけ手の込んだ作りのアイアンセット、といって差し支えありません」
飛びと寛容性、球持ち感と止まりやすさ、それらを“全部乗せ”
ここまでのテストを通して、関は「APEX Ti FUSION」アイアンについてこうまとめた。
「同じキャロウェイのモデルで言うと『Xフォージド』シリーズの心地よい球持ち感や止まりやすさと『APEX Ai200/Ai300』の飛距離や寛容性、それらを“全部乗せ”したアイアンという感じです」
それだけ高いパフォーマンスを備えたといっても、6本セット(5I~PW)で35万6400円(税込)という価格帯は……。
「いや、むしろコスパが高いアイアンだと思います。かなりのコストと手間をかけて作っていることが、試打を通してよく分かりました。結論として“カッコよくてハイパフォーマンスのアイアン”ということですね」
試打・解説:関 浩太郎
1974年生まれ。アメリカで最新のゴルフ理論を学びながらミニツアーを転戦。ゴルフスタジオ「SEKI GOLF CLUB目黒」主宰。
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