ラフに曲げたら救済なし、のもっともな理由
「日本女子オープン」では、ラフの中の湿ったエリアは「修理地」としての救済が受けられませんでした。
一般ゴルファー目線としては、ただでさえラフで大変なのに湿ってライが悪い箇所からの救済はないの!? と文句を言いたくなりそうです。
それをJGAは「フェアウェイから離れるほど修理地にする妥当性は低くなる。悪いショットをした結果に罰の救済は与えない」として、無罰の救済を受けられる対象ではなくしました。
80~100ミリの長さに設定されたラフでライが悪いとなると二重苦ですが、そこに曲がるようなショットをしたのは選手の責任です。もし「湿ったエリア」をすべて修理地にして、それがフェアウェイのすぐ近くにある場合、救済を受けるとフェアウェイから打てるようになることもあり得ます。それによって曲がってラフに入るような「悪いショット」をしたことが帳消しになるのは、フェアではありません。
ですから、一見酷に見える措置も確かに妥当、公平ということです。
距離計測器は使用禁止
また、普段の女子ツアーでは認められている距離計測器の使用が禁止されました。
このことについてJGAは「ナショナルオープンでは、距離の情報はプレーヤーも目で判断するという要素を残したいと考えているからです」と説明しています。
一般ゴルファーでも使う人が増えている距離計測器は、見た目と実際の距離とのギャップを埋めるのには欠かせません(ただし競技では高低差を計測することは禁止されています)。
とはいえ、これを目で判断するのも強いゴルファーとして必要な能力だといえます。選手たちは特定の地点からグリーンのフロントエッジまでの距離が詳細に記載されたヤーデージブックを持っています。さらに事前の練習ラウンドでは計測器が使えますから、ここで得た情報を基に競技本番では目で見て得た情報で判断して、正確なショットを打つことをJGAは求めた、ということです。
撮影OK! ファンにはうれしい「ローカルルール」も
こうした措置を聞くと何やらお堅い雰囲気の大会だったかと思いきや、普段の女子ツアーでは禁止されている動画、静止画の撮影がスマホに無音アプリをインストールした上で可能となりました。
これはファンにとっては嬉しいこと。中継を見てスマホで堂々と撮影している人の多さにあれ?と思った人も多いかもしれませんね。
競技委員の要請が激減
1打に生活がかかるプロの大会では、ルールの処置に迷った際に競技委員を呼ぶのはよく見られるシーンです。
通常の4日間大会ではトータルで60〜80件あるそうですが、今大会は19件と激減。3日目は、記録が残る中では史上初めてゼロだったそうです。
距離が史上最長でラフも長く厳しく見えた試合も、実は極めてフェアなセッティング。
通算8オーバーの52位だった脇元華は自身のインスタグラムで「セッティング難しいけど、楽しかったなぁ こういう試合増えるといいなぁ」と綴っていました。
こういう試合で結果を出すのが強いゴルファー、というJGAの意図は選手にもしっかり伝わっていたようです。
(文/森伊知郎)




