「右向き」×「ヒッカケ」=「カップイン」? パットはダブルミスでも入る可能性がある!?
右を向いているのにナゼ入る? 自分の傾向を知れば修正がしやすくなる|清永教授からの挑戦状 Vol.11
ゴルフの原理原則を疑い、分析した清永教授の常識を覆し、上達スピードが速まる理論を紹介! Vol.11ではゴルフトゥデイ11月号(No.629)の付録「アドレスチェッカー」を使った内容です。ゴルフトゥデイ11月号(No.629)は三栄/ebooksなどから購入できます!
ゴルフトゥデイ本誌 630号/116~117ページより
解説/清永 明 写真/Getty Images
〈問題〉
黄色のボールをカップ内中心点(目標方向)に相当する2番ボールへコロがすことを目的とした場合、パターフェース面の向きとストローク方向の関係はどうなっていますか?
ゴルファーのパターフェースは右を向いている
ゴルフトゥデイNo.629号の付録「アドレス・チェッカー」。フェース面の向きがわかるこの「矢印」の器具をフェースにセットすると真っすぐ目標を指しているつもりでもあら不思議、右を向いていた……。多くのゴルファーが右を向いている。
結果オーライは偶然起こっていない
GT 先生! ゴルフトゥデイ本誌No.629の付録「アドレス・チェッカー」、カップインするための必要条件である「フェース面がターゲットに対してスクエア」、これを確認するのにとても役立っています。
清永 それは良いことですね! 上手くなるためには努力が必要ですが、現状で何が起こってミスをしているか? この分析も上達のために必要な作業です。
GT 先生の実験結果、私の傾向、「アドレス・チェッカー」で実験してみた読者の方の声を聞いても、明らかに右を向いている人が多かったです。
清永 そうですか! 私の実験、サンプリングでもほとんどの人が右を向いており、左を向いていたのはたったの1名でした。
GT 先生、そこでふと疑問が出たのです。私はパット時にフェースが右を向いていたのに何でカップインしていたのでしょう?
清永 いいところに気づきましたね! 当たり前にひとつのミスだけではミスになりますが、「ダブルミス(同時に起こる二つのミス)」はミスになりません! 数学で言う「マイナス」×「マイナス」=「プラス」と同じです。
GT 「マイナス」×「マイナス」=「プラス」? どういうことでしょう?
清永 問題の図を見てください。インパクト時に「スクエアフェース」でパターヘッドの軌道がインサイドインを描けばカップインするのはお分かりですね?
GT はい。
〈追加で質問!〉
ダブルミスでもボールが真っすぐコロがる方法はどの組み合わせですか?
清永 ではインパクト時に「オープンフェース」を考えてみましょう。軌道が「アウトサイドイン」だと。
GT 「オープンフェース」だといえ左に引っかけます。
清永 うーん、そういう場合も確かに起こりますね。では「インサイドイン」の軌道ではどうでしょう?
GT フェースは右を向いているので「インサイドイン」でもボールは右に出ると思います。
清永 こちらは正解です。では軌道が「インサイドアウト」だと?
GT フェースが開いて右を向いているうえにインサイドアウトですから、より右に飛び出していくと思います。
清永 はい、これは正解ですね。しかし、気づきませんでしたか? ひとつだけ入りそうな組み合わせがありませんでしたか?
GT あっ、軌道が「アウトサイドイン」!? フェースが右を向いているのに左に引っかけているので、「右向き」×「左方向」で相殺されて真っすぐ! 「右向き」×「左方向」=「カップイン」ということですか!
清永 その通りです。同じ現象が「クローズフェース」×「インサイドアウト」で起こり、そちらもカップインの可能性があります。
本来はフェース面を変えずに「フェース真っすぐ」で打ちたいところをミスして「オープンフェース」。本来「インサイドイン」で打ちたいところをミスして「アウトサイドイン」、1ストローク中にミスを2回しているので私はこれを「ダブルミス」と呼んでいるのです。
ミスしているのにカップイン! ダブルミスにも法則が存在している!
1、フェース向きと軌道の関係
フェース向きと軌道の関係を現象だけでいうならば、オープンフェースではアウトサイドインの軌道、クローズフェースではインサイドアウトの軌道、この関係が成り立つ場合に限り、「ダブルミス」でのカップインは起こる。
2、ピン目標角度とピン目標距離
インパクト時のフェースリーディングエッジにスクエアな線を「基線」とすると、ピン目標の角度方向性にはθ:2θ=1:2。これを「ピン目標の角度方向性の 1:2 の法則」と呼ぶ。 ピン目標の距離方向性の場合にはtanθ:tan2θ=1:2となる。これを「ピン目標の距離方向性の 1:2 法則」と呼ぶ。
ベクトルってなんだっけ?
ベクトル = 力の大きさ + 方向のことであり、力の合成と分解のこと。力の合成とは、ある点に働く複数の力を1つの同等な効果の力として表すことで、分解は逆にある点に働く1つの力を複数の力による同等な効果の力にすることをいう。2つの力の合成や1つの力を分解するための表現は「平行四辺形の法則」を用いる。なおこの法則は広くベクトル量に対して一般的に用いられているのであり、力に限ったものではない。
GT 先生、でもこれはですよ、2つのミスが揃って初めて「ナイス」になっているので、自分は右を向いて構える傾向があるからといって、真っすぐ向くようにひとつだけを直してしまうと、ミスになってしまうということですよね?
清永 はい、その通り! よくわかりましたね。これがゴルフの難しいところで、いかにしてミスをしているか? 自分ではミスしたはずなのに何でカップインするのか? ここをよく理解して順序よく正していかないと、「いいストロークなのに入らない」と頭を抱える原因になってしまいます。ダブルミスの細かい定義については次号、解説します。
解説/清永 明
福岡大学名誉教授。大学時代は九州学生選手権を3連覇。医師でありながらゴルフにまつわる現象を物理の目で分析。1メートルのパットが90%の確率で入るヨネックスの「トライプリンシプルパター」の設計者としても有名。
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