ロフト30度以上のユーティリティは誰のため? 140〜160ヤードの距離から確実にグリーンに止めたい人のため!
片山晋呉が7番アイアンの代わりに31.5度のユーティリティをセッティングに加えて話題となったのはご存知だろうか。そのニュースを見た人のほとんどは「ロフト30度以上のユーティリティなんて打ったことがない」と思ったことだろう。そこで、アマチュアにとってどんなメリットがあるのか? 30度(6U)と34度(7U)をトラックマンで計測し、そのデータからメリットを考察してみた。
協力/トラックマン、サザンヤードカントリークラブ
ロフト30度以上のユーティリティ、ヘッドスピード40m/sだとどのくらい飛ぶ?
ユーティリティの定番といえば20〜25度のロフト、170〜180ヤードを打つ番手として多くのゴルファーがセッティングに加えて使っている。その理由は、5番あるいは6番アイアンに比べて飛距離が出しやすいということがある。
だが、ロフト30度以上のユーティリティとなると、バッグに入れているゴルファーはなかなか見かけない。それは、アイアンのロフト設定が「7番=30度」が主流となっており、30度以上のユーティリティのお世話になるという選択肢が頭に浮かびにくいからだと考えられる。そのため、ほとんどのゴルファーが試打をしたことすらないのではないだろうか。
そこで、未知の番手と言ってもいいロフト30度以上のユーティリティにどんな利点があり、どんな球が打てるのかを知ってもらうためにトラックマンで計測したデータを示したいと思う。また、この番手がアマチュアゴルファーにどんなメリットをもたらすのか? 高橋良明プロに解説してもらった。まずは、計測データから見てもらおう。
計測データは10球打った中から平均的な数値のものを抽出した。
試打クラブ
ピン「G430 HB」
シャフト/ALTA J CB BLACK(S)
ロフト/30度(6U)、34度(7U)
高橋プロにはドライバーのヘッドスピード40m/sのゴルファーを想定して、ヘッドスピードを調整して各ロフト10球ずつ打ってもらった。
ロフト30度(6U)のユーティリティ
ロフト34度(6U)のユーティリティ
着地角(落下角度)とスピン量に注目! これならグリーンに確実に止められる!?
ヘッドスピード40m/sのゴルファーが打ったと想定して、ロフト30度(6U)と34度(7U)の計測データを見てもらいたい。
まず、ロフト30度は150〜160ヤード、34度は140〜150ヤードを打てる番手だということがわかる。この距離であれば多くのゴルファーは6番〜8番アイアンで打っていることだろう。さて、この計測データの中でキャリーとトータル飛距離以外に注目すべき項目とは?
『まずは着地角(落下角度)に注目してみてください。30度も34度も着地角が50度を超えています。これは、ほぼ確実にグリーンにボールを止められる数値です。通常のグリーンであれば、だいたい40〜45度あれば止まるので、50度以上もあれば、確実性はさらに高まります。次に注目したいのはスピン量です。どちらも5000回転を超えており、ボールが高く上がってグリーンに止まる理想的なスピン量だと言えます。
アマチュアゴルファーにとって150〜160ヤードの距離からグリーンに確実に止めるのは、実はけっこう難しいことです。難しい理由は、スピン量と着地角度を十分に得られないから。ヘッドスピード40m/s前後で、160ヤード前後だとグリーンからこぼれることが多いと感じているゴルファーは30度ユーティリティを試してみてほしいですね』(高橋プロ)
最新のアイアンであれば高さもスピン量も得られるのではないか? と思うのだが、その辺についてはどうなのだろう。
『たしかに最新のアイアンは優れているので、160ヤード先のグリーンに止まる球は打てるでしょう。ですが、常に一定の打点や入射角を得られるわけではないアマチュアゴルファーにとっては、ミスショットをしてもアイアンよりも飛距離をロスしにくく、高さを得やすい30度以上のユーティリティのほうがオススメです。ヘッドスピード40m/sのゴルファーの場合、ロフト27度以下の番手だと十分な高さとスピン量を得るのはけっこう難しいものです。安定して理想的なスピードと打点で打てるプロや上級者は別として、アベレージゴルファーにはミスが付きもの。そう考えると、打点が多少ズレても飛距離も高さも出やすい30度以上のユーティリティのほうが、安全です。また、スピン系よりもディスタンス系のボールを使っているゴルファーも多いと思うので、その点でもスピン量不足に不安があります。飛距離だけを優先するなら、30度以上のユーティリティは必要ないかもしれませんが、140〜160ヤードはグリーンを狙って、ボールを止めたい距離です。グリーンにボールが止まらないことが多いというゴルファーは、30度以上のユーティリティを前向きに検討してもらいたいですね』(高橋プロ)
スコアのことを考えるのなら、多くのゴルファーにとって30度以上のユーティリティはアリなのではないだろうか。
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試打・解説/高橋良明プロ
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリストでもある。
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