あれ、思うようにクラブが動かせない……イップスはなんで起こってしまうの?【イップスの考察②】
【ダグ三瓶・クラブ選びの超知識】
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスをおくるコーナー。ゴルフクラブを買う際に必要な「正しい知識」を教えてくれる! あの病気の原因はクラブだった???
前回からフィッター目線でイップスの考察をしています。今回はパッティングイップスの続きです。
あれ、思うようにクラブが動かせない……イップスはなんで起こってしまうの?【イップスの考察①】
クラブ選びのスペシャリスト・ダグ三瓶(みかめ)がアマチュアゴルファーへアドバイスをおくるコーナー。ゴルフクラブを買う...
パターのヘッドが重すぎる場合に起きる問題点
ヘッドが重すぎるとどうなるか?
始動の話に戻らせていただきますと、始動するための力がより必要になることが想像できると思います。
慣性の法則から考えると、今度は動き出したものは動き続けようとします。
ヘッドが重いとこの動き続けようとする慣性(モーメント)は大きくなります。
重たいな~と思っているものをしっかり力を入れて始動すると、その力加減では動きすぎてしまい、かつ、バックスイングが大きくなりやすくなります。
そうすると、どうなるか? 打ちたい距離に必要なバックスイングの大きさよりも大きくなってしまい、「あ!このまま打ったら強すぎる!」と感知すると思います。
無意識でその反応をされる方もいらっしゃいます。
その結果、ダウンスイングで調整しようとします。ですが、またここでもヘッドの慣性が効いてしまい、切り返しでヘッドを戻そうとするための、より大きな力が必要です。
そのまま打ってしまうと、いわゆるパンチが入ってしまい、強く打ちすぎてしまいますし、それを嫌がるとかなり緩みます。
その結果、ヘッドが戻ってこなくなり、インパクトまで、ヘッドが届かなかったり、ダウンスイングがぎこちなくなりミスヒットをしてしまったりで、距離が全然届かないということが起ってしまうと考えています。
強すぎたり、緩んだりしているうちに、どのようなストロークをしていったらいいかわからなくなる、ということが起るのは想像できると思います。
調子のよい時や、体に柔軟性がある時(体調の良い時)は、上記のように動きがぎくしゃくしたとしても、調整できたり、ある程度の結果が出せたりします。
ですが、それが少しずつずれていき、結果、極端にオーバーしたり、逆に緩んで極端にショートしたりを繰り返し始めると、徐々に自信を無くし、ヘッドを動かし出せなくなる=全く手が動かなくなる、ということが起こるのではないか?と考えています。
よくイップスの人が「ストローク中に電気が走る!」という方がいらっしゃいますが、これがその症状では?と考えています。
これは右利き方だと、右手の力の入りすぎとして解釈しています。
重たいものを動かす際には、やはり利き手を大目に使いたくなりますし、微妙なコントロールも利き手が一番働いていることでしょう。
なので、感覚が悪くなってきて、普通に打つとイップスのような症状が出始めると、右手を外した打ち方である、クロスハンドや、クローグリップなどをしたくなってくるということではないか?と考えています。
この辺りで、一番難しいのは、調子のよい時もあり、気づきにくいことが多いことです。
「右手の重量感? 使い過ぎ?」と言われても、普通に打てている間は、気づきません。
ですが、なにか違和感があることに気づきだし、その感覚が鈍くなってくると、とたんにパターを重くしたがったり、グリップを太くしたがったりしだします。
それは、すなわち、ヘッド重くすることで右手の使い過ぎを制御しようとしたり、グリップを太くして、少しの力でも重たいヘッドを動かしやすくしたりするための方策になります。
その結果、もっと始動でのきっかけが繊細になっていき、さらに重くしたり、グリップを太くしたりどんどんしたくなっていき、最終的には道具ではどうしようもなっていってしまう日が来ることでしょう。
なので、パッティングのフィーリングが悪くなってきた、や、感触が気持ち悪い!となってきたら、まずは、パターのヘッドを軽くしてみてみましょう
これは極端にやるほど効果が出やすいです。
ヘッド重量の主流は350gからそれ以上になりつつある現状ですが、ここは思い切って、310gくらいの物を試してみると良いかもしれません!
ただし、現状のヘッド重量で、それを軽く感じている人や、問題のない人は、その重量が合っていますので、無理に変える必要はないです!
それからシャフトも重要です。
上述しましたように、パッティングはゆっくりストロークしますので、ある程度柔らかいシャフトはそのタイミングの取りやすくなりやすいです。
ですが、パッティング中にも、皆さんが考えているよりもシャフトはしなります。
そのしなり戻りが、ヘッド重量の効果と同様に、振り遅れや、しなり戻りが行き過ぎそうなところをうまく調整しなくてはならなくなり、微妙なフィーリングに対する負担が大きくなりがちです。
ですので、パターに悩んだら、シャフトを硬くするのもありだと考えていただけると嬉しいです。
ですが、他のクラブとのつながりや、他のクラブ自体の考え方にも通じるところですので、ショットイップスのところで詳しく書かせてください。
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。
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