「夢は叶う」と信じてつかんだ初勝利

最終日の朝、佐久間が自分自身と照らし合わせたのは先週の「マスターズ」で優勝したローリー・マキロイでした。
キャリアグランドスラムに王手をかけてから11年かかって悲願を達成した姿を見て「夢は叶うということを見せてくれた。今日は自分もトレーナーさんに『自分を信じて戦ってきます』といってスタートして、最後まで信じてプレーできたと思います」と勇気づけられたことが自らの勝利に繋がったと明かしました。

スタッツに現れる「王者の風格」

初優勝とはいっても、佐久間の今大会のスタッツを見ると、すでに「王者の風格」漂うゴルフをしていたことがわかります。

最終日のラスト2グループで、ノーボギーだったのは佐久間だけ(2位の大里桃子は最終組の2つ前)。これは優勝争いの中では他の選手にとっては大いにプレッシャーを与えたはずです。

さらに奪った5バーディのうち2つは難易度が3位(2番)と4位(6番)のホールでした。
最終日だけではなく2日目もやはり3位(17番)と4位(7番)のホールで。
初日も5位(2番)と6位(15番)のホールで逆に伸ばしているのは、これが初優勝とは思えない王者のゴルフです。

難しいホールで伸ばした佐久間

ツアーで優勝するレベルのプロともなれば常にバーディ量産、のイメージがあるかもしれませんが、今シーズン1ラウンドの平均バーディ数で「4」を超えているのは1位の岩井千怜(4.2)だけです。

プロのマネジメントはホール自体の難易度に加えて、その日の気象条件やピン位置によってバーディ狙い。パーでいい。ボギーも仕方ない。などといった想定をします。
難易度3位となると、約2割の選手がパーセーブに失敗しています。そのホールで落とすどころか伸ばすのですから、優勝争いしている他の選手には相当なプレッシャーを与えているはずです。

ラスト2グループの最終日のスコアを見ると、堀琴音と神谷そらは難易度1位と4位のホールで。永峰咲希と徳永歩は2位のホールでボギーを叩いています。
11番終了時点では10アンダーの首位で佐久間と並んだ小林夢果は、その後12位の14番でダブルボギー。16位の18番もボギーで合計3つスコアを落としているのは、佐久間とは対照的でした。

師匠ジャンボ尾崎も「諦めずに努力して勝利を呼び込んだ。おめでとう」

昨シーズンの佐久間は2位が3回。3位も2回で悔しさのあまり号泣したこともありました。
それらを乗り越えての優勝を叶えてのインタビューでは師事するジャンボ尾崎に「早く報告に行きたい」と言っていました。
「まだまだだぞ、と多分言われると思います」との予想に反して、師匠が大会広報を通じて寄せた祝福メッセージは「あと一歩が届かない悔しさを体験して諦めずに努力した事が一つ目の勝利を呼び込んだね。朱莉優勝おめでとう」というものでした。

温かみのある言葉には、初勝利という「壁」を破ったことをきっかけに、かつての自身のような絶対的な強さを見せてほしい、との期待が込められているのかもしれませんね。

(文/森伊知郎)