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笹生優花はなぜパー3で“クワドラプルボギー”の7を打ったのか?【「アース・モンダミンカップ」でメジャー覇者を襲った悲劇】

2025/06/30 ゴルフサプリ編集部

久しぶりの日本ツアーでスムーズにスタートした笹生だったが、このあと彼女にトラブルが襲いかかる。(写真は2025年のアース・モンダミンカップ 撮影/Getty Images)

先週の日本女子ツアー「アース・モンダミンカップ」に大会主催者であるアース製薬所属のホステスプロとして出場したのが笹生優花だった。しかし結果はカットラインに1打及ばず予選落ち。その元凶となったのが初日の15番パー3で「7」を打ったこと。メジャー(全米女子オープン)を2度制した選手に、なぜこんなことが起きたのか。

ティショット後に生じた混乱

初日の15番パー3で、笹生優花はティショットを大きく左に曲げ、崖の方へ落ちてしまいました。

付近にはOBを示す白杭があったことから、近くにいた数人のギャラリーが両手でバツ(×)を示したり、頭上で両手で丸(○)を作ってティーイングエリアの笹生たちに知らせました。

×は「OBになった」の意味でしょうが、○は大丈夫の意味なのか?

欧米ではこのポーズは、OBのO(アルファベットのオー)を意味することもあるので、アメリカを主戦場とする笹生にとってはどちらなのか判断がつかない様子でした。
親切で知らせてくれているとはいえ、すぐ近くで違うポーズをされたら、なおさら判断はつきかねます。

そこで暫定球を打ち、これは5メートルほどの距離に乗せました。

白杭が見える赤い点線の内側がOBゾーン。矢印の方向に笹生のボールがあった。(撮影/森伊知郎)

OBかセーフかわからない… 結果はセーフ

それが、ボールがあった急斜面は、近くに白杭が何本も立っているため一見OB区域かと思いきや、そうではありませんでした。

しかしボールは木のすぐ近くでバッグスイングがまともにできません。

それを無理に打ったらボールは数十センチ進んでから転がり戻り、さらに木に近づいてしまいます。

さすがにこれはアンプレヤブルの措置をとって1罰打で2クラブレングスにドロップしましたが、次の4打目でも乗らず、5オン2パットの7。パーより4打多い、「クワドラプルボギー」となってしまいました。

実際に笹生のボールがあった位置付近から見たグリーン。ここから乗せるのはさすがに厳しかった。(撮影/森伊知郎)

最初からアンプレヤブルしていれば…

たら、れば、ですが、2打目を打つ前にアンプレヤブルを選択していれば、7までは打たなかった可能性が高い、ともいえます。

アンプレヤブルの処置の選択肢のひとつとして、直前のストロークをした箇所に戻って打つ=この場合ティショットをもう一度打つ、というのがあります。

そして、笹生はティショットを打ち直しています。

打ち直したティショットはナイスオンしていたが

一般アマチュアなら「アンプレってことにして、そっち(グリーンに乗っている)ボールでプレーします」となりそうですよね。

5メートルの距離ですからワンパットで「4」で上がれる可能性もあります。
2パットでも「5」だったので、結果論ですが「7」よりは少ないスコアとなり、一打足りずに予選落ちの結果も変わっていたかもしれません。

アンプレでこっちのボールでプレー、は競技ではできません!

競技ではなければ、ティショットを打ち直しに戻るよりも、2度目のティショットを「3打目」として採用した方が、プレー時間短縮のためにもむしろ推奨されます。

ですが、正式な競技では「暫定球と」して打った球を「アンプレアブルの処置で打った球」として扱うことはできません。
直前のストロークをした箇所から打つ処置を選択する場合は、アンプレアブルの宣言をしてから、改めてティーイングエリアに戻って打つ必要があります。

それだと時間もかかりますし、乗せてツーパットで「5」か、もっと悪いスコアになるかもしれません。

メジャー2勝の実力者であれば、それならグリーン近くまで運んで3打目で寄せてボギー(4)ではしのげる、と考えたのだと思われます。

ですが2打目を打ったことで、「直前のストロークをした箇所」はティーイングエリアではなく、木の近くになりました。
アンプレヤブルの処置のもうひとつとして、「球とホールを結ぶ線上で、その球の後方にドロップ」がありますが、球の後方は草木が生い茂るさらに険しい崖なので、とても無理です。

そこで「2クラブレングス以内」の選択をするしかなかったのですが、急傾斜でライも悪くグリーン面も全く見えない、という悪条件では乗せることはできず、“傷口”がどんどん広がってしまったというわけです。

エンジョイゴルフと競技は違う

プライベートなラウンドであれば、同伴者が笹生のようなトラブルに見舞われていたら「そっち(暫定球として打った球)を3打目ってことにしていいよ」と親切で言って上げる人もいるでしょう。
むしろ一般的なアマチュアでは日常的な光景かもしれません。

ですがプロのツアーはもちろん「月例」などの競技ではペナルティの対象になってしまいます。
スコアを集計して順位をつける形式の場合は、トラブル防止のためにもルール(規則)をどこまで適用するかを確認しておいた方が良さそうですね。

(取材・文/森伊知郎)

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