オーバーしたら“絶壁”の10メートルを「OK」に寄せて勝利を決める
プレーオフ3ホール目。2ホール目までとは場所が変わったホールロケーションは、奥行き30ヤードのグリーンの手前から26ヤードでした。
つまりカップの先は4ヤードしかなく、さらに強い下り傾斜でオーバーするとグリーンを出てしまいそうです。
永峰はこの場面で10メートルのパットを「OK」に寄せました。
木戸はグリーン右からのアプローチがオーバーして、パーセーブできず。
短いウィニングパットは難なく決めましたが、勝負はファーストパットを寄せた時点でついていたと言えそうです。
プレーオフの1ホール目は逆に永峰がグリーンを外し、アプローチは2.5メートルほどオーバーしていました。
外せば、負けのパーパットは「届けば入る、と思ったので、入った時も驚きはありませんでした」との自信を持って打てたとのこと。
ここで手にしていたパターが、今年4月の「ヤマハレディースオープン葛城」でテストして、4週後の「パナソニックオープンレディース」から本格的に使い始めたスコッティ・キャメロンの「ファントム X T5S」、もちろんサークルTマークがついたツアープロトタイプ です。
マジックで●が手書きされたサークルT
このパターは、永峰を指導する目澤秀憲コーチが「彼女に合っていると思って」渡したもの。
他では見ないセンターシャフトで、さらにシャフトが挿さっているすぐ横にはマジックで黒い●印が手書きされていました。
サークルTや市販の「ファントム」は、ここに線が引かれています。それがない理由を目澤コーチに聞いてところ「線があると、向きがあってないのでは?と気になってしまうんです」と説明してくれました。
永峰はボールのロゴはパットのラインに合わせて置きます。
パターヘッドにも線が引かれていると、一直線になっておらず、微妙にズレているのでは?と気になり始めたら、打つどころではなくなってしまいます。
「点と線」にしている理由は
そこでマジックで●印を付けて、この場所にボールの“赤道”を合わせるようにしています。
パターヘッドとボールが両方とも「線」だと、その間のフェースの向きも直角になってないと気が済まなくなってしまうこともあり得ます。
それを「点と線」にすることで、フェース面の向きはそれほどシビアにならなくて済む。
パッティングでのアークの軌道をイメージしやすくなる、といったメリットもあるのだそうです。
ボールやパターヘッドの線がズレて見えるか。それが気になるかは完全に個人差ですが、
気になることがある一般アマチュアは、線ではなく、丸いドットが書かれていたり、あるいは何も書いていないパターにしてみるのがいいこともあります。
パットが入らず、歯がゆい思いが続いていた
永峰は、2〜3年ほど前は「上りの真っすぐなら3メートルは入る」と言うほどの自信を持っていました。
それが近年はなくなり、昨年はポイントランキングがキャリアワーストの69位に低迷したことも相まって。かなり歯がゆい思いをしていたそうです。アドレスやグリップを色々試すも解決せず。
それが「このパターをポンって置いて、いつもやっている練習をしたらすごく精度が上がりました。直進性がすごくあるという印象です」と一気に解消。
「今日も何回も入ってくれましたし、微妙な上りのパーパットでのストレスが減ったのはすごく助けられたと思っています」と効果を口にします。
「30代で勝てて、うれしい」
今年4月28日には30歳になったものの「今までで一番調子がいい。30代で勝ててうれしい」と言いました。
「サークルT」を本格的に使い始めた「パナソニック」は5月2~4日だったので、まさに30代になったタイミングで最強の相棒を得た形になりました。
過去の2勝は2020年「日本女子プロ」と2018年の「フジサンケイレディス」ですが、「勝ったあとは尻すぼみみたいな感じで結果が出ていないので、2勝目、3勝目をめざしたいです」と意気込みを語りました。
その原動力となりそうな「サークルT」の黒い●は、たまに上書きしないと薄くなってしまうそうです。
次にマジックを手にする時は、復活勝利への感謝と、さらなる勝利への意欲を込めて印を付けるのでしょう。
(取材・文/森伊知郎)
(2025年7月8日9時一部記事を修正しました)




