女子ツアー屈指の飛ばし屋は、長め&バランス軽め
ドライバーのスペックについて、興味深いお話をしましょう。
今シーズンの女子ツアーでも優勝(ヤマハレディース)しており、ドライビングディスタンスのスタッツで上位の常連でもあるロングヒッター・穴井詩選手のドライバーは、46インチでC7というスペックです。バランス(スイングウェイト)が軽いということ。
テーラーメイド「Qi35 LS」のヘッドのウェイトを軽くしてC7にして、46インチで使っています。そのドライバーで、トラックマンの弾道データを見ると300ヤードを超えていました。
これは穴井選手という“天才”であり、優れたミート率や再現性という高度なスキルがあって成立している部分です。それでも、上手く打ったときに飛ばそうと思ったら、間違いなくこういうスペックのほうがヘッドスピードは上げやすいと言えます。
大MOIヘッドを使いこなして飛ばすための“アレンジ術”
今どきのドライバーは大MOIのヘッドが流行っている中で、その大きなMOIに負けてしまってヘッドスピードが落ちている人はたくさんいます。実際にボクも「10K」と言われているクラブを使うと、ヘッドスピードやボール初速が2m/sくらい落ちていくもの。
これはあくまでも、筋力だったりスイング力によっても変わってくるのですが、MOIが大きいモノを振るにはパワーがいる、ということなんです。そういう意味で、大MOIのヘッドを上手に使うために、ヘッド重量を軽くしてクラブを短くするのではなくて、ヘッド重量を軽くしつつバランスを小さくする、というアレンジはスゴく効果的な方法です。
クラブセットを通してバランスをそろえる必要はない
実は男子プロでも、ドライバーだけはC9やC8、D0など、アイアンとか他のクラブよりもバランスを軽くして使っている選手もたくさんいるんです。
クラブについて詳しくなってくると「全てのクラブ(番手)を同じバランスにしたい」とか、昔から言われてきた「“D2ぞろえ”にしたい」というようになりがちですが、もう今はそういうことを考えなくていい時代だと思います。これはボクがずっと言い続けているのですが、ヘッドの大きさが違うクラブなのに、バランスを同じ数値でそろえる必要は全くありません。プラスして言えば、ヘッドが大きいクラブを太いグリップで(バランスを軽くして)打っても良いのですから。
というように、進化したドライバーのヘッドを上手に使うための工夫はしたほうが良いし、ゴルファーの皆さんの頭の中もしっかりとアップデートしてほしいです。そして、今のクラブを上手に生かして、ゴルフをより楽しんでもらいたいですね。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。




