スタートからいきなり3連続ボギーも“トリプルバウンスバック”
首位と1打差と絶好の位置から2日目をスタートした永井は、午前6時40分とまだ涼しい時間にティーオフして快調にスコアを伸ばしたい、はずが1番から3連続ボギーでカットラインの2アンダーまで落としてしまいます。
それでも4番からは3連続バーディという、トリプルバウンスバック(?)で一気に取り戻すと7バーディ、4ボギーの69と伸ばして首位と1打差で決勝ラウンドに進出しました。
UTを新しくして、クラブ全体のバランスが良くなった
今シーズンはQT1位の資格で参戦も序盤はトップ10がなく、先月のリランキングでは18位に降下してしまいました。
予選落ちも3回。その流れを断ち切ったきっかけが、1か月ほど前に3本のユーティリティ(UT)をヤマハの未発表モデルに替えたこと。
これによって「クラブ全体のバランスが良くなりました」と永井は言います。
さらに、ソールに「RMX DD」との刻印がある新UTの良さは「左へのミスを消せること」なのだそうです。
永井の持ち球はフェード。
平均飛距離(前週まで)は233.74ヤードで71位ということもあって、パー4の2打目ではかなりの頻度でUTを使います。
ここで打ちたいのは、しっかり捕まったフェード。
ターゲットに対して左に打ち出していき、勢いを失わないまま右に曲がっていくボールです。
それが左にミスが出るクラブだと、強いボールがそのまま戻ってこないことになり、OBなど“ケガ”の大きいミスにつながります。
1打に生活がかかるプロゴルファーは、その不安要素があるクラブは使えません。
「しっかり左に打ち出せる」
それが新UTでは「ボールは絶対に右に戻ってきてくれるから、しっかり左に打ち出すことができます」と不安や迷いがなく振り切れるようになりました。
プロといえどもミスショットをすることもありますが「その場合は確実に右」という確信を持てるようになったので、左へのミスという警戒を“消す”ことができました。
朝イチからの3連続ボギーでも、UTでの右へのミスが原因ということがありましたが、この可能性は織り込み済み、と割り切っていました。
さらにこの日は240ヤードに設定されて難易度が最も低かった(平均スコア3.3277)5番のパー4。
次の6番パー5も難易度が2番目に低い(平均4.6807)など、ある程度バーディーを計算できるホールがまだ残っていたために、優勝争いがわずか3ホールで予選カットのボーダーライン上になってしまった…というような心理的ダメージはなかったそうです。
「逆球」が出ない安心感
プロにとってフェードが持ち球なら左。ドローが持ち球なら右に出たまま戻ってこない、いわゆる「逆球」はやりたくないミスです。
ホールによっては、戻ってくることを前提にOBやハザード方向に打ち出していくケースもありますから、逆球が出てしまった時のダメージは心理的にもスコア的にも大きくなります。
この心配がなくなった永井は「風もそこまで怖くないですし、ピンを(グリーンの端に)振られても、しっかり打っていけるようになりました」と言います。
先週の「明治安田」ではパーオン率が今シーズン平均(68.6869%)を上回る77.7778%で初のトップ10入り(6位)。
今週はさらに上回って80.5556%となっているのは効果の表れといえるでしょう。
ミスが出ないのに越したことはありませんが、ゼロにすることはまず不可能です。
それならせめて、自分がしたくない方向へのミスを“消す”ことができれば、プレー時の不安はかなり減らすことができます。
アマチュアも新しいクラブを買う時。リシャフトをする際などは、永井の手法に倣えばスコアアップにつながるかもしれませんね。
(取材・文/森伊知郎)




