なぜゴルファーは探求の旅に出てしまうのか? 同じミスを繰り返す度に思い知らされる基本の大事さ
今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【19】

ゴルファーあるある。今回は、どうして同じミスを何度もしてしまうのか? です。ミスをした後に、そういえばここはこうしなきゃいけなかったんだ! と思うこと、何度もありますよね。このことについて、蝶ネクタイを締めたプロコーチ・今野一哉に話を聞いた。
アドレスが大事だよってわかっているのに、なぜか忘れてしまう
ゴルフサプリ 今回は、なぜ同じミスを何度も繰り返してしまうのか、というテーマです。例えば、先日はドライバーのティショットでテンプラが続いちゃって、持ち直すのに3ホールもかかっちゃいました。
今野 あるあるですね。悪いイメージがこびりついて消せなかったのでしょう。それで、次のホールでアドレスに入った瞬間にはもう、またやっちゃうのかな、なんて思ってしまっていたのではないですか。
ゴルフサプリ まさに、そんな感じです。悪いイメージを持ったまま打っていました。
今野 テンプラにしても、シャンクにしても、明らかにフェースから外しちゃっているようなショットは、クセになってしまいがちです。次は出ないでくれ、と思うほど悪いイメージで頭がいっぱいになってしまう。人間の脳って、否定するのが難しいと言われているんです。テンプラが出ないでと思えば、テンプラのイメージで頭が支配されてしまうようにね。
ゴルフサプリ そういうものなんですね。
今野 だから、そういう時はテンプラ打ちたくない、ではなく肯定的なことを考えるのがオススメです。フェアウェイセンターに打ちたい、アプローチをベタピンに寄せたい、といったことを考える。そこにはテンプラやシャンクのイメージはないですよね。だから、体の動きも結果も良い方向に向かいやすいのです。
ゴルフサプリ そうして良いイメージで打てた時に思うんですよ。あ、アドレスが間違っていたなって。
今野 はい。同じミスが続く時って、だいたい理由はそこにあるのです。また当たらないかもって不安になると、みんなボールの近くに立ちたがるのです。テンプラが続く時は、近く立ってボール位置が右足寄りになっていることがほとんどです。だから、ヘッドが下向きのままボールに対して鋭角に入って、テンプラになる。シャンクにしても、ボールに近すぎてネックに当たってしまう。
ゴルフサプリ そう。それで思うんですよ。どうして基本を忘れてしまうんだろう? って。アドレスが大事って、当たり前のことなのに、いつの間にか頭から抜け落ちてしまうんです。
ゴルフは終わりのない旅だから楽しいのかも?
今野 アドレスが大事とか、キレイに構えなければいけないとか、基本の1丁目1番地みたいなところなのに、ゴルファーってどうしてかそこから旅に出ちゃうものなんですよね。
ゴルフサプリ はい。こうしたらどうだろうとか、色々と考えているうちに基本から離れてしまうという。
今野 そう。そうして旅に出た先であーでもないこーでもないと試したりして、基本の1丁目1番地からどんどん離れて行ってしまう。
ゴルフサプリ 技術的なこともそうですが、感覚的な部分も変わって行ってしまいますよね。
今野 はいはい。練習中やプレー中に、今の感覚良かったな! 忘れないようにしたいな、という瞬間がありますよね。
ゴルフサプリ はい。その感覚だけを追求していれば、旅に出て迷うこともないのに、なぜか別のことを考えたり試してみたりしてしまう。それで前述したようなテンプラとか、ミスが出てしまうのでしょうね。
今野 僕もありましたよ。ある日、めちゃくちゃグリップが決まった時があったんです。バッチリ決まっていて、この感じを維持していたら全然ボール曲がらないし最高じゃん! と思ったのです。翌日からも、そのグリップの感覚を大事にしながら練習をしていたら、だんだんグリッププレッシャーが強くなってしまって。グリップが決まっている状態と、ガッチリ握るっていう状態って、感覚的に近いのですが、まったく違うものなんですよね。
ゴルフサプリ 似た感覚の何に変化しちゃったということですか。
今野 そう。調子が悪い時にその決まった感覚を求めようとしすぎて、力みになってしまったりしましたね。その時にグリップが決まっている時の力感と、ガッチリ握っちゃっているだけの力感、その差がどこにあるのかを考えたんです。そうしたら、アドレスに差があることがわかったんです。
ゴルフサプリ グリップなのに、アドレスですか?
今野 アドレスがしっかり決まっている時、良い姿勢の時はグリップも良い力感で握ることができていたんです。逆にアドレスが決まっていないと、グリップも決まらない。
ゴルフサプリ 結局、アドレスというか、基本が大事だったということですか。
今野 どんなことも、基本の一丁目一番地に戻ってくるものなのです。
ゴルフサプリ ミスが続いたら、試行錯誤せずに基本に立ち返る。これが最もリカバリーが早い方法ということですか。
今野 そういうことです。でも、そう思っていても、ゴルファーって旅に出ちゃうものなのですけどね。
ゴルフサプリ 終わりのない旅みたいですね。だから、ゴルフは楽しいとも言えるかもしれませんね(笑)。
今野一哉(こんの・かずや)
JGTOツアープレーヤー。18GOLFプロデュース / キッズゴルフ代表。アマチュアゴルファーの指導やジュニアゴルファーの育成に力を注ぎながら、各ゴルフメディアで活躍中。蝶ネクタイスタイルはゴルファーへ「サービスし、尽くす」と言う意味を表す。

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