ナイスショットの成否はティアップする前に決まってる!? スコアが良くなるティーイングエリアの作法
吉本巧のゴルフギア教室 第79回

ラウンド中、プロはごく普通にやっているのにアマチュアがやっていないことがあり、そこを修正するだけでもスコアに好影響をもたらす、とプロコーチの吉本巧は力説する。今回は、ティイングエリアでプロがやっていて、アマチュアがやっていないことを取り上げる。
アドレスしてから素振りをするとアライメントがズレてしまう
まず、一片の疑いも抱かずドライバーだけ持っていくのはいかがなものでしょう。プロはよほど当該ホールの状況がわかっていない限り、ティイングエリアに立ってから使用クラブを考えます。ドライバーだけだと、それありきで考えるしかないため攻略の幅が狭まります。時短のつもりでやっている人もいますが、ドライバーじゃあダメだと思ってクラブを替えたら無駄な動きを増やして逆効果。そのまま無理して打ってもロクなことにならないでしょう。
無駄な動きで言うならティイングエリアに上る時もそう。みんな上がる階段の真横にカートを止めて最短ルートでティマーカーの間に向かいます。でも、本来はティマーカーの後方からグルッと迂回するのが正規のルート。ティマーカーの前から入ると、ホールに対してマーカーがどの向きになっているかわかりません。
ティアップから打つまでの順番が滅茶苦茶な人もいます。上記のように、ティマークの後方からホールを見てショットをイメージし、それがやりやすい場所にティアップするのが手順ですが、いきなりティアップする人が大半で、そんな人に限って飛球線後方からの景色やアライメントをチェックしません。段取りよくやるのは悪くありませんが手順は追うべきです。
左右のティマークを結ぶライン上やギリギリのところにティアップする人もまた多い。間違いではないですが、これだとティマーカーを結ぶラインに対してスクエアに立つことになります。ティマーカーがフェアウェイを向いていればいいですが、そうでないと真っすぐ打っても林に入ったり、OBになるかもしれません。また、フェアウェイに向かってスイングした時点で、アドレス時の体の向きとねじれが生じるのでスライスやフックも出ます。ティアップするなら、立てる範囲でティマークが気にならないところの方が惑わされません。さらに、その付近は大抵足場が悪くなっていて、それがミスショットの原因になることもしばしば。ティアップをきれいなところにして足場は凸凹という人もよく見るので、もっと足場に気を使いましょう。

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右サイドがOBのホールはティイングエリアの右サイドにティアップしてホールの左サイドに向かって打つ(逆もあり)、といった攻め方をする人もいますが、これもおすすめできません。なぜならホールにクロスする形で真っすぐ構えられる人はいないから。練習場の打席で右や左を向くと気持ち悪くて真っすぐ立てませんよね。練習場でも難しいことをコースでやっているわけですからうまくいくわけがないんです。
例えば真っすぐのホールで右サイドがOBならティイングエリアの左サイドに立って真っすぐ構えればOBは遠くなります。また、ターゲットが左サイドならそのまま左に立てばいい。打つ方向に真っすぐ構えた方がずっと安全だし、ミスしても何が悪かったのかわかります。スライスする人は右に立って左を向き、フックする人は左に立って右を向くのは、昔プロがやっていたからだと思います。コーチがいない時代だったのかもしれませんが、いずれにしてもうまい人が打つ前提での対策。同じスライス、フックでもプロとアマチュアでは球筋が全く違いますから思うようにいかないのは当然です。
打ち出し方向を定める時にスパットを見つけ、そこにフェースを合わせる人も多いですが、これも一考の余地ありです。理由は2つあって、1つはスパットまでとターゲットまでの距離が違いすぎること。スパットが1度ズレていたらターゲットに対してはとんでもなくズレます。もう1つは近くのスパットに視線がいくと右を向きやすいからです。なのでティショットではある程度前方に目標を定めた方がいい。地面でもいいし空中に的を描いてもいい。ボールが上がりづらい人は空中、上がりすぎる人は地面というようにしてもいいでしょう。
ティイングエリアでの所作をまとめると、やはりアマチュアの方は時間の使い方がいまひとつ。アドレスをとってからの時間は個人差がありますが、そこに至るまでの時間をもっとスムーズに送りたい。それには、ティアップしたボールに対しては遠くから近づき、飛球線、アライメントの順に見てアドレスをとって打つことです。
素振りは構いませんが、アドレスしてから素振りをして、一旦離れて構え直すのは避けた方がいい。アドレスしてからボールの前で素振りをするとアライメントがズレ、構え直すと大体右を向くからです。そう考えるとアドレスと素振りは切り離した方がいいかもしれません。また、ティショットは同じ場所から打つので、どうしても同伴者を競う対象にしがちですが、これもよくありません。いい方に出る人がいても長くは続きません。言うまでもなくゴルフはコースや自分と戦うものだからです。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。

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