1. TOP メニュー
  2. ゴルフギアにお悩み
  3. アイアンのシャフトはスチールとカーボン、どっちがいいの? 「重さ・しなり・ねじり・飛距離・ブレ幅」を比較

アイアンのシャフトはスチールとカーボン、どっちがいいの? 「重さ・しなり・ねじり・飛距離・ブレ幅」を比較

吉本巧のゴルフギア教室 第98回

2025/12/20 ゴルフサプリ編集部

アイアンのシャフトはスチールとカーボンで性能が大きく異なります。重さ・しなり・ねじれ・飛距離・ブレ幅といった特徴を比較し、どんなタイプのゴルファーに合うのかをわかりやすく解説します。

ショットのブレが少ないスチール、球がつかまって飛ぶカーボン

アイアンのシャフトといえばスチールかカーボンですが、ドライバーやフェアウェイウッド、ユーティリティは、ほぼほぼカーボンなのにアイアンはいまだにスチールがメインです。もちろんこれには相応の理由があります。今回はそれを踏まえ、あらためてスチールシャフト(以下スチール)とカーボンシャフト(以下カーボン)を比較し、どちらがどんなに人に合うのか考えてみましょう。

まず見た目の特徴ですが、言うまでもなくスチールはバリバリ金属の棒で、ステップと呼ばれる“フシ”のようなものがあるものとないものがあります。素材は鉄を主成分とした合金。スチールとは日本語で鋼のことですが、これは鉄に炭素を含有した合金を指します。一方、カーボンシャフトの素材は炭素繊維。これを織って作ったシートを丸めて成形します。塗装もしやすいので、さまざまなカラーリングやコスメを施したモデルがあります。

ユーザーが多いこともあって選択肢はスチールの方が豊富ですが、最近はカーボンも多種多様化しつつあります。重量はその典型的な要素のひとつで、もっぱらスチールは重く、カーボンは軽い、とされてきましたが、スチールの軽量化が進むとともにカーボンの重量化もなされています。プロや上級者がカーボンを使うようになったのはこのためで、適度に重く、かつカーボンの特性を享受できるモデルが普及してきています。

両者の大きな違いは、しなりとねじりです。シャフトはダウンスイングでしなり、インパクト直前でしなり返ることでボールを強く弾きます。同じタイミングでねじれも生じ、ねじれたシャフトが復元することでフェースターンが促されて球がつかまります。しなりとねじれの大きさを比較すると、大きいのがカーボンで小さいのがスチール。双方とも硬さやキックポイントによって多少の違いはあるものの、基本的にこの傾向は変わりません。

ロフト18度のフェアウェイウッドとユーティリティ。ヘッドスピード40m/sならどっちが飛ぶ?

ロフト18度のフェアウェイウッドとユーティリティ。同じロフトなら飛距離も同じと思いがちですが、実はヘッドスピードや球の...

あわせて読みたい

グリーンを狙うことが多いアイアンはコントロールが命です。しなりやねじれが少ないスチールは、クラブの軌道もヘッドの挙動も安定するので、左右への打球の曲がりが抑えられ、タテ距離のブレも比較的少なくなります。スチールの需要が多い一番の理由はここにあります。

カーボンにはスチールほどの安定感はありませんが、それがメリットになる人もいます。例えばスチールでは球がつかまりづらく右に飛ぶことが多い人は、ねじれの大きいカーボンを使うと球がつかまって右に行きづらくなります。しなりも大きいので飛距離がほしい人にもプラスの効果をもたらすでしょう。また、これまでハードヒッターがカーボンを使うと、球がつかまりすぎる、上がりすぎるといった点がデメリットになっていましたが、これらの弱点を克服しているのが重量系カーボンです。

ということで、前後左右のブレ幅の小ささを欲する人にはスチールが向いていますが、つかまりやすさや飛距離を欲する人にはカーボンがおすすめです。ドライバーやフェアウェイウッドなど飛距離優先のクラブは、球を弾いて初速が出やすいカーボンを装着するのと同じ発想ですね。打球が上がりやすいのもカーボンです。しなりやねじれの多いカーボンはインパクト時にロフトが寝やすい。これもヘッドやロフト、キックポイントによっても変わりますが、振動数だけで比べるとカーボンの方が上がりやすいと言えます。

モーダス105と950ネオはどっちが硬い? どっちがしなる? 吉本巧がわかりやすく解説!

人気のスチールシャフト「N.S.PRO MODUS3 TOUR 105(以下モーダス105)」と「N.S.PRO 950GH neo(以下950ネオ)」。どちらも“...

あわせて読みたい

打感についてはスチールはハードめでカーボンはソフトめです。スチールは“打った感”があり、ミスヒットしたかどうかもわかりやすい。反面、衝撃が強いとも言えるわけで、例えばこれからのように真冬の寒い日にトップすると手が痺れるくらいの感じになります。それに比べるとカーボンは衝撃が少なく、インパクトでボールが潰れるような感じが伝わります。ある意味、体への負担が少ないと言えるかもしれません。

寿命はカーボンの勝ちで、スチールは錆びるぶん劣化が早い。雨の日にラウンドしてそのままバッグにしまったらもちろんのこと、拭いてすぐさまバッグに入れるのもダメ! バッグ自体も湿って中の湿度が高くなっていますからシャフトが錆びるのを助長します。拭いたら外に出しておき、しっかり乾いてからバッグに収納しましょう。価格はスチールの方が圧倒的に安くカーボンは高めです。ただ、カーボンは設計自由度が高いので、より精緻なカスタマイズが可能。でも、そのぶん高価になります。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。

フェアウェイウッドのシャフトはドライバーと同じでいい? 失敗しない重量・硬さ・キックポイントの選び方を解説

フェアウェイウッドになると急にミスが増える。その原因は、ドライバーとの“シャフトの流れ”が崩れていることにあります。吉...

あわせて読みたい

キャビティバックとマッスルバック。ヘッドスピード40m/sでもグリーンで止まる球が打てるのはどっち?

グリーンで止めたいならマッスル、飛距離を稼ぎたいならキャビティ。この“よく聞く話”は本当なのでしょうか? アイアンは、...

あわせて読みたい

グリーン奥からのアプローチ、SWとPWどっちが正解? 左足下がりで安全に寄せるコツ

グリーン奥にこぼれ、しかも左足下がりのライ。アマチュアゴルファーにとって、これほどイヤな状況はありません。ピンまでの...

あわせて読みたい