7番アイアンのロフトは何度が正解? 飛距離とロフトの“ちょうどいい関係”を整理する
吉本巧のゴルフギア教室 第99回
いまや7番アイアンでもロフトは29度以下から35度前後まで幅広くなりました。「飛ぶ7番」が当たり前になった一方で、その飛距離、本当に自分に合っていますか? そんな悩みの裏には、ロフトとヘッドスピードのミスマッチが隠れていることも少なくありません。今回は、7番アイアンの適正ロフトをヘッドスピードと実際の飛距離から整理し、今の自分に合った“ちょうどいい7番アイアン”の考え方を解説します。
今の飛距離が140〜160ヤードに収まっていればロフトは適正
ストロングロフトのアイアンが増えてきたことで、同じ7番アイアン(以下7I)でもさまざまなロフトが存在している昨今。角度にすると5〜6度、飛距離は昔の7Iと比べると2番手ぶんくらい飛ぶようになっていますから選ぶ際には注意が必要です。
さて、そんな7Iの最適なロフトですが、結論から言うとヘッドスピードによって変わります。これからロフト、ヘッドスピード、飛距離、3つの関係を見ていきますが、話をわかりやすくするために140〜160ヤードを飛距離の目安とします。
理由はこれくらいの距離だとアイアンセットの流れが作りやすいから。もっと飛んだ方がいい人もいると思いますが、200ヤード近く飛ぶと8、9番でいろんな距離を打ち分けたり、ウェッジをたくさん入れる必要に迫られます。なので、140〜160ヤードの飛距離ならひとまずOK。なお、この距離はキャリーとランのトータル距離で、練習場ではなくコースで打った時の距離とします。 飛距離の判断については以下の通りです。
110ヤード=飛距離不足
120〜130ヤード=ちょっと飛距離不足
140〜160ヤード=適正飛距離
170〜180ヤード=ちょっと飛び過ぎ
190ヤード=飛び過ぎ
また、ロフトについては以下の通りです。
29度以下=立っている(ストロングロフト)
29〜31度=少し立っている(ややストロングロフト)
31〜33度=近年の標準
33〜35度=少し寝ている(ややウィークロフト)
31〜33度を標準としたのは世の中に多く出回っているからです。ストロングロフトに関して言えば、今や超ストロングとも言える29度以下もあります。 それぞれのロフトで打った場合にどれくらい飛ぶかをヘッドスピード別に示したのが以下の表です。最上段のヨコ枠がドライバーのヘッドスピードで、38m/sから48m/sまで2m/s刻みの6段階で示しました。一般アマチュアの方は40〜42m/sあたり。30台はちょっと低めです。
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7Iのロフトとヘッドスピードと飛距離の関係
言うまでもなく、そこそこのスイングができた場合、ロフトが立っている方が飛びます。ロフトが2度立つと5ヤードアップするのが一つの目安。また、こちらも目安ですがヘッドスピードが2m/s変わると10ヤード飛距離が変わります。ヘッドスピードとロフトの関係を見て飛距離が140〜160ヤードの範囲に収まっていればOKです(表内青数字)。例えばヘッドスピードが40m/sなら29〜33度まで、42m/sなら全てのロフトが許容範囲となります。
飛ばないよりは飛ぶ方がいいと考え、+10ヤードまではよしとした場合、表内の赤数字4つが加わります。ヘッドスピードに対してはややロフトが立ち過ぎているかもしれません。もし、これ以上飛んでいたら明らかにロフトが少なすぎ。承知の上で使っていれば問題ありませんが、タテ距離を合わせづらい、あるいは曲がるようならロフトを寝かせる、あるいはロフトが寝たモデルに換えた方がいいでしょう。
どちらかといえば問題なのは飛距離不足の方。ヘッドスピードに対する飛距離が125〜135ヤードならスイングをバージョンアップしてヘッドスピードを上げる、もしくはロフトの立ったアイアンに換えるのも手です。38m/sの人が29度以下にすれば飛距離は140ヤードになり許容範囲に収まります。表内で言えば現在の枠から右斜め上を目指すか、真上を目指すか。もちろんスイングとクラブの両方にテコ入れするのもありです。
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吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。