ウェッジの正しい打ち方とアプローチ練習方法を小川泰弘プロが解説
ウェッジといえば基本的にはピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジの3本が使われている。でもそれぞれのウェッジをどんな目的で使い、どんな打ち方をすればいいかがよくわからないというゴルファーは多い。小川泰弘プロのウェッジの使い分けのポイントを解説してもらおう。
ウェッジ各番手のキャリーをつかむ練習を多く積もう
プロやシングルゴルファーは、距離感をコントロールするために自分の好みのロフト角のウェッジを揃えているもの。ショットの目的や打ちたい距離で使い分けている。
ロフト角の間隔が均等となるのがベストで、例えばサンドウェッジ(PW)が56度なら、アプローチウェッジ(PW)は50度前後、ピッチングウェッジ(PW)は44度前後となる。
プロはアプローチでもSWを多用するが、一般アマチュアはバンカー以外ではAWやPWを使用した方が寄る確率は上がる。ショットの目的や打ちたい距離で上手に使い分けよう。
- PW(44〜46度)、PW(50〜52度)、PW(56〜58度)のロフト角の間隔は均等に
- プロたちがアプローチでサンドウェッジを多用するのは、トーナメント設定のグリーンは速くてボールが止まりにくいため
- アマチュアゴルファーは、バンカー以外のアプローチでは、アプローチウェッジやピッチングウェッジを使用する方が合理的
グリーン周りからのアプローチはAWやPWがオススメ
最近ではピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジといったクラブの名称よりも、「ロフト角が何度のクラブ」という表現がよく使われるようになりました。
クラブメーカーごとにロフト角に差があるためで、プロやシングルゴルファーたちも距離感をコントロールしやすいように自分の好みのロフト角のウェッジをそろえています。
一般的にはピッチングウェッジのロフト角は44〜46度、アプローチウェッジ50〜52度、サンドウェッジ56〜58度となっていて、それぞれのウェッジのロフト角の間隔が均等となるのがベストです。
サンドウェッジが56度なら、アプローチウェッジは50度前後、ピッチングウェッジは44度前後がベースとなります。
サンドウェッジはアプローチでも使われますが、主にバンカーショット用としての役目を果たすクラブといえます。
プロたちがアプローチでサンドウェッジを多用するのは、グリーンの速さがトーナメント設定となっているからです。グリーンが速くてボールが止まりにくいため、低く転がしたいアプローチでもサンドウェッジを使い、スピンをかけてランをコントロールしているのです。
一般営業のコースの場合はグリーンがそれほど速くはなく、サンドウェッジで打つと逆にボールが止まりすぎてしまうことがよくあります。
そういう意味では一般のアマチュアゴルファーは、アプローチウェッジやピッチングウェッジでアプローチを打つのが合理的といえるでしょう。
肩の高さくらいのスリークォータースイングをベースに考える
距離感のコントロールの基本はスイングの振り幅と体重移動量。
最大の振り幅はトップとフィニッシュは肩くらいの高さが目安となるスリークォータースイングだ。スリークォータースイングでもそれぞれのウェッジのキャリーは変化。小川泰弘プロの場合は、SWのキャリーは40〜50ヤード、AWで60〜70ヤード、PWで80〜90ヤードだ。
キャリーはゴルファー個々で異なるので、自分の飛距離の平均値を把握しておくことが大切。遠くに飛ばそうとはせず、キャリーを安定させる練習を多く積もう。
- スリークォータースイングのスタンス幅は自分の肩幅よりも少し狭くし、ボールをスタンスの中央にセットする
- バックスイングで両手を右肩の高さくらいまで上げて、フィニッシュを左肩の高さに
- ダウンスイングからインパクトにかけて右ヒザを左ヒザのほうに押し込む
- ボールを上げようとするとダフリやトップのミスが生じやすくなるので目線は低くキープ
ウェッジのコントロールショットとグリーン周りからのアプローチショットでは、ショットの目的も打ち方も変わります。
コントロールショットの最大の振り幅はスリークォータースイングで、トップとフィニッシュは肩くらいの高さが目安となります。
距離感のコントロールの基本はスイングの振り幅と体重移動量です。体重移動をまったく使わないと大きく振ってもボールが飛びませんし、スイングが小さくても体重移動を使って打てば思った以上に距離が出ます。
まずはバックスイングで両手を右肩の高さくらいまで上げて、フィニッシュを左肩の高さで止めて打ちましょう。
スタンス幅は自分の肩幅よりも少し狭くし、ボールをスタンスの中央にセットします。ポイントは右ヒザをしっかり固定してバックスイングしたら、ダウンスイングからインパクトにかけて右ヒザを左ヒザのほうに押し込むようにして左足に体重を乗せていくことです。
ボールを上げようとするとインパクトで体の左半身が伸びて体重が右足に残りやすくなり、ダフリやトップなどのミスが生じやすいので注意。目線を低くキープし、クラブを低い角度に振り抜いていくイメージのフォロースルーをとりましょう。
スイングは肩くらいの高さでもそれぞれのウェッジのキャリーが変化します。私の場合、サンドウェッジのキャリーは40〜50ヤード、アプローチウェッジで60〜70ヤード、ピッチングウェッジ80〜90ヤードとなります。
キャリーはゴルファー個々で異なりますから、実際に打ってみて自分の飛距離の平均値を把握しておくことが大切です。
ウェッジでもできるだけ遠くに飛ばしたいなんて考えてはいけません。クラブを振り回してばかりいるとインパクトが安定せず、当たれば80ヤード飛ぶけど、芯を外したら40ヤードしか飛ばないという具合に距離のバラツキが大きくなってしまいます。
肩くらいの高さのスリークォータースイングで打ち、10球打ってもキャリーが40ヤードくらいとか60ヤードくらいなどとキャリーを安定させる練習を多く積みましょう。
肩の高さのスイング
腰くらいの高さとヒザくらいの高さの番手ごとのキャリーも知ろう
両手が肩くらいの高さになる振り幅に加えて、腰くらいの高さ、クラブヘッドがヒザくらいの高さの3段階を打てるようにしよう。
それぞれの振り幅とPW、AW、SWの各ウェッジごとのキャリーを把握しておけば、どのクラブで、どのくらいの振り幅で打てばいいかの判断がスムーズにできるようになる。日頃の練習でそれぞれの自分のキャリーを正確につかんでおこう。
- 振り幅の大きさは両手が肩くらいの高さ、腰くらいの高さ、クラブヘッドがヒザくらいの高さの3段階に分けて考える
- 腰くらいの高さの場合は、足幅の半分くらい右足を左足に少し近づけて構える。スタンスが狭くなる分、体重移動量が少なくなり、距離をコントロールしやすくなる
- クラブヘッドがヒザくらいの高さの場合は、右足をもう少し左足に近づけてスタンス幅をさらに狭くする。振り幅が小さくなっても低く振り抜くイメージが大切
- グリーンの速さによってランは変わるので、キャリーとランのトータル飛距離を自分の飛距離として把握しておくことは間違い
振り幅の大きさは両手が肩くらいの高さ、腰くらいの高さ、クラブヘッドがヒザくらいの高さの3段階に分けて考えると距離感をコントロールしやすくなります。
肩の高さのスリークォータースイングの次は腰くらいの高さのハーフスイングの練習をしましょう。
この場合はボールをスタンスの中央にセットしたままで、足幅の半分くらい右足を左ヒザに近づけてスタンスを少し狭くします。
そして両手を右腰の高さまでバックスイングし、フォロースルーは左腰の高さまで振り抜きます。トップとフィニッシュが左右対称形となるようにスイングするのが振り幅を安定させるコツです。
振り幅を小さくすると同時に、スタンスが狭くなる分だけダウンスイングからインパクトにかけての左足への体重移動量が少なくなり、距離をコントロールしやすくなります。
今度はヒザくらいの高さのスイングです。右足を足幅の半分だけ左足に近づけてスタンスをさらに狭くし、クラブヘッドを右ヒザの高さくらいまで上げて、左ヒザの高さくらいまで振り抜きましょう。
振り幅が小さくなっても左足に体重を乗せてフォロースルーを低く出していくイメージが大切です。
両手でクラブを操作しようとせずに、両腕とクラブを体の正面にキープしたままで胸を左右に回転させましょう。フォロースルーでも両腕とクラブが胸の前に保たれていて、フェース面が斜め上を向けば合格です。
腰から上の高さがコントロールショットで、腰の高さとそれ以下の振り幅をグリーン周りのアプローチショットと考えれば分かりやすいでしょう。
腰くらいの高さのスイングも、ヒザくらいの高さのスイングも各ウェッジでキャリーが変わります。日頃の練習で打ち分けてみて、自分のキャリーを正確につかんでおきましょう。
下記は私の各ウェッジのスイング別のキャリーの基準値です。是非参考にしてください
PW | AW | SW | |
---|---|---|---|
肩の高さ | 80〜90Y | 60〜70Y | 40〜50Y |
腰の高さ | 40Y | 30Y | 20Y |
ヒザの高さ | 20Y | 15Y | 10Y |
ウェッジとスイング別の自分のキャリーを知っておくと、30ヤードや50ヤードを打ちたいときはどのクラブで、どのくらいの振り幅で打てばいいかの判断がスムーズにできるようになります。
正しいスイングの基本形を覚えることも大事ですが、自分の距離感を把握することを第一に考えて練習することが重要です。
なお、キャリーとはボールが空中を飛んでいる距離をいいます。キャリーで40ヤードを打ってもグリーンの速さによってはランが10ヤード近く出るときもあれば、5ヤードくらい転がって止まるケースだってあります。
キャリーとランのトータルを自分の飛距離と思い込むのは間違いです。
腰の高さのスイング
ヒザの高さのスイング
教える人・小川泰弘プロ
おがわ・やすひろ。
1972年9月5日生まれ、東京都出身。1999年プロ入り。
昭和の森ゴルフアカデミーで幅広い年代層をレッスン。実戦的でわかりやすい指導法に定評があり、これまでにレッスンしたゴルファーは2500人を超える。
取材・写真/三代 崇 協力/昭和の森ゴルフコース
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