【タイプ別】長所を生かすドライバースイングと練習方法を北野正之が解説!
ドライバー上手になる「超」練習法 大特集 PART-3
ドライバーの飛距離に有利な要素といえば、「パワーがある」「背が高い」「足腰が強い」「体が柔軟」の4つが思い浮かぶだろう。これらの要素を満たしている人は「長所」を生かすことでドライバーがどんどん上達する。自分の長所をどのようにスイングへ生かせばいいかをタイプ別に北野正之が解説してくれた。
解説
北野正之
きたの・まさゆき。
1966年生まれ。93年プロ入り。所属の松原ゴルフガーデン(埼玉県草加市)やサザンヤードCC(茨城県水戸市)などで多くのアマチュアゴルファーをレッスン。本誌の連載でもお馴染み。
長所を生かすドライバースイングで飛距離アップを目指そう!
あなたの長所を4つのタイプに分類
パワーがあれば腕力にまかせてスイングするのがいい!?
パワーがある人の長所の生かし方はこちら
背が高ければ大きく速く振るのがいい!?
背が高い人の長所の生かし方はこちら
足腰が強ければ積極的に体重移動を使うのがいい!?
足腰が強い人の長所の生かし方はこちら
体が柔軟なら回りすぎ防止にトップをコンパクトにするのがいい!?
体が柔軟な人の長所の生かし方はこちら
ドライバースイングに長所を上手に生かすコツを北野正之が解説!
「実をいえば、多くのゴルファーはせっかくの長所を生かせていません」と北野正之は言う。長所を生かすことって、一体どういうことなのか?そこを理解できたら、スイングは大きく変わる。
ゴルファーとしての長所を見つけるには「できないことを手放す」
どんなゴルファーでも「長所」が必ずあります。例えば体が硬くてアウトサイドインの軌道でしか振れない人や、何回振ってもスライスしか打てない人。あまり良くないと思われることでも、「これしかできない」というのは逆にいえば長所です。
うまく利用できたらスイングが安定しますし、スコアもまとまりやすいですから、自分にとって大きな武器です。それを真っすぐ振ろうとか、インサイドアウトに振ろうなどとすると自分の長所を殺してしまうことになります。長所を生かす上では、できないことを諦めることも大事です。できないことをどんどん手放していけば、できることしか残りません。つまり長所だけしか残らないということ。
それなのに多くのゴルファーは、できないことを一所懸命やろうとします。できないことばかりに取り組むから、できることがなかなか見つからない。ゴルフって反省の連続で、練習するときも欠点をどうにか補おうとして、苦手に取り組もうとします。そんな発想が多くのゴルファーの上達を妨げている要因ではないでしょうか。
「これならできる」ということを見つけて練習すれば自分の長所が見つかりますし、長所をはっきりと認識できます。ただし認識することと、生かすことは別です。
《スイングの体重移動も絶対とは限らない》
自分の長所を生かすには、体重移動を抑えたほうがいいケースもある。そんな人には右カカトを浮かせたままで打つ練習が最適だ。
「しなくていい動きを捨てる」でドライバースイングに長所を生かしやすくなる
長所とは自分で特に意識しなくても、勝手にできること。体重移動にしても、苦手な人は意識して大きく動かさないとできませんが、得意な人は小さい動きの中でも本能的にできてしまうのです。
例えばプロたちが「体重移動を使わない」とか「アプローチは左足体重のままで振る」などと言ったとします。でも実際にはちゃんと体重移動をしていますし、切り返しで左足への荷重を強めています。意識しなくても本能的にできてしまうから、「体重移動を使おう」という意識がないのです。
今回のレッスンでは、パワーのある人、背が高い人、足腰が強い人、体が柔軟な人の4つのタイプに分類し、それぞれの長所の生かし方を解説しますが、一番のポイントは「できることは意識しない」ということです。もともと長所としてできていることを意識すると動きが不自然になり、スイングに悪影響を及ぼしてしまうことがよくあります。レッスン書のほとんどは「こうしましょう」とか「ああしましょう」など、「やらせること」が中心ですが、私としてはそれぞれの長所ごとに「やらなくていいこと」にスポットを当てたいと思います。
そしてもう一つは、「オーバースイングはダメ」とか「体重移動を使う」などといった定説にこだわらないこと。ゴルファーがみんな同じスイングを目指せばいいわけではないのです。自分の長所を認識しつつ、ミート率のアップに直結するような自分のオリジナルスイングを構築していきましょう。
《×と思われていること○をとして考えてみよう》
クラブヘッドが目標を指すトップ(右)が正しいというのが通説だが、ダメと考えられているクロストップ(左)が適している人もいる。×を○に当てはめることで新しい発見が生まれることが多い。
\北野正之の提言/
1. 自分の長所は意識しなくていい
2. 「しなくていいこと」はやらない
3. 「これは×」の定説にこだわらない
パワーを生かすドライバースイングとおすすめ練習方法
キン肉マンと言えばこの人
ブルックス・ケプカ
(米国)
本戦中も毎朝筋トレは欠かさない。袖口がパンパンになるほどの腕の筋肉にも関わらず、しなやかなスイングが特徴だ。
パワーのある人ほど腕を振り回さない意識を持とう
やればいいことだけを見つけて整理する。そうすれば自分の長所をどう生かせばいいかが明確になります。
パワーのある人でしたらクラブを力まかせに振らないで、フェースの芯に当てることだけを考えればOK。クラブを小さく振っても、普通の人よりパワーがあれば十分に飛ばせます。飛ばそうとして目一杯振り回して芯を外してばかりではダメです。
腕をあまり振らなくていいから、バックスイングもフォロースルーも小さめがいいでしょう。イメージは「ハンマー打法」で知られたモー・ノーマンのスイング。単純にいえば、手首だけで打つという感覚です。リストを柔軟に使うことでミート率が上がりやすいですし、パワーがあるという長所をうまく活用しやすくなります。
体が硬い人も同様で、体が回らない人は無理に回さなくていいのです。パワーがある人のように手首を使うことをオススメします。
パワーのある人が陥りやすいスイングパターンと対策方法
力まかせに振り回そうとして肩や腕が硬直し、インパクトで体が突っ込んでフェースの芯を外しやすい。
《パワーのある人は腕力にまかせなくていい》
ボールを思い切り叩こうとして、クラブを高く振り上げても長所が生きてこない。
《フォローで止めるくらいでOK》
クラブを振りすぎないようにするためにも、左肩の高さくらいで止めるイメージを持つのがいい。
力いっぱい振り回してしまうと、様々なミスを引き起こしやすい。
《テコの原理でリストを使う》
腕力の強い人は、手首を柔軟に使うことを考えよう。テコの原理でヘッドを簡単に走らせることができる。
パワーがある人の長所を生かすドライバー練習方法
手首だけで打つ練習でリストワークを覚える
ワッグルだけで打つという感覚の練習。テークバックで腕を右に動かさないで手首だけでクラブを動かし、ボールを打とう。この練習で覚えた感覚をスイングに生かせば大振り癖が解消されて、正確なロングショットが打てるようになる。
背の高さを生かすドライバースイングとおすすめ練習方法
背が高いと言えばこの人
トニー・フィナウ
(米国)
身長193㎝と、PGA選手の中でも高身長で、昨年の平均飛距離は約320ヤード。
手足の長い人はゆっくりの意識でも大きく速く振れる
背の高い人は手足が長いので、大きなスイングアークで振れます。スピードを上げようとしなくても勝手に速く振れるという羨ましいくらいの長所です。
手足の長い人がクラブを大きく速く振ろうとすると、ほとんどの人は振り遅れとなります。腕を振ることばかりに意識がいって手がどんどん先に進み、インパクトでフェースが構えた位置に戻ってこないのです。
もともとヘッドスピードが速いのですから、自分の長所を生かすには「ゆっくり振る」という意識を持ちましょう。あるいはクラブを少し短く持つのも効果的といえます。要は振り遅れを防止し、左カカト内側の前にセットしておいたボールを体の正面でとらえやすくするための対策法です。
インパクトのタイミングが合いやすいことは、そのままミート率のアップにつながります。ゆっくり振ってもこんなに飛ぶんだと驚くことでしょう。
背の高い人が陥りやすいスイングパターンと対策方法
速く振ろうとしてインパクトで手が先行し、体が早く開きやすい。クラブヘッドが遅れてフェースが開いて当たる。
《ダウンスイングで胸を開かない》
速く振ろうと思わないことが、打ち急ぎの防止につながる。胸をボールよりも右に向けたままで振り下ろすのがベスト。
ゆっくり振るだけでダウンスイングで体が早く開くこともなく、ボールを正確にヒットしやすくなる。
《クラブを短く持つのも効果的》
ミート率を上げるにはクラブを短く持つといい。それでも背の高い人は大きなアークで振れるから得だ。
背が高い人の長所を生かすドライバー練習方法
極端なくらいクラブを短く持ち、ゆっくり振る
背の高い人はドライバーを短く持ち、ゆっくりめのスピードで打つ練習をしよう。7番アイアンで100ヤード打つ練習のドライバー版だ。飛距離アップには、飛ばさない練習が効果的だということがよく分かる。
グリップのシャフト寄りの部分を持とう
ゆっくり振って飛ばさない練習が、ミート率アップに役立つ。
足腰の強さを生かすドライバースイングとおすすめ練習方法
足腰が強いと言えばこの人
ローリー・マキロイ
(北アイルランド)
右足にも体重を残したまま足腰のパワーでのインパクト。昨年の平均飛距離は約313ヤードで2位につけている。
下半身が強い人は足を動かすよりも動かさないのが得策
足腰の強い人にありがちなのは、フットワークの使いすぎです。バックスイングでグイッと体重を右足に乗せて、ダウンスイングでも左足にグイッと体重を乗せて踏ん張ろうとするパターンです。
足腰の強い人にありがちなのは、フットワークの使いすぎです。バックスイングでグイッと体重を右足に乗せて、ダウンスイングでも左足にグイッと体重を乗せて踏ん張ろうとするパターンです。
下半身が動きすぎると体が左右に揺れてミート率が低下してしまいます。やらなくていいことをやろうとすると、せっかくの長所が生かせなくなるのです。
足腰の強い人は体重移動をあえて使わなくても、十分に足の強さを生かせますし、切り返しで下半身の圧力をかけることもできます。
下半身を完全に止めるということではなくて、体重移動をあまり使わないで、下半身を静かに動かすイメージ。ベタ足感覚のインパクトが作れたら最高です。動きが小さくても、下半身のパワーがフルに伝わります。
足腰の強い人が陥りやすいスイングパターンと対策方法
右足に体重移動を乗せようとして上体が右に流れたり、切り返しで左足を思い切り踏み込もうとしたりで、下半身の動きが過剰になる。
フットワークを使いすぎるとインパクトで右カカトが早く浮き上がり、クラブの軌道が狂いやすい。
《下半身は静かに動くイメージ》
体重移動を意識せずに、スタンスの幅の中で体を回すだけでいい。それだけで自然な体重移動が発生する。
足腰が強い人の長所を生かすドライバー練習方法
片足打ちで下半身の安定を覚える
体重移動をあまり使わないスイングをマスターするには片足立ちの練習が効果的。ヒッカケなど左に飛ぶミスが出やすい人は右カカトを浮かせて、球がつかまりにくくて右に行きやすい人は左カカトを浮かせるのがポイント。実際のショットもこのイメージで打てば、下半身の安定感をキープする感覚がつかめる。
球がつかまりづらい人は左カカトを浮かせて練習するといい。
体の柔軟さを生かすドライバースイングとおすすめ練習方法
体が柔らかいと言えばこの人
ジョン・デーリー
(米国)
PGAツアー選手には珍しいオーバースイングと豪快なショットで、メジャー2勝を含む、ツアー通算5勝を誇る。
オーバースイングもクロストップも気にしなくていい
体が柔らかい人は、意識しなくても十分なくらい体を回転できます。それも長所ですから、回せるだけ回しましょう。バックスイングでスエーしないためには腰や右ヒザをある程度止めておくことは大事ですが、トップでは止める必要はありません。
女性ゴルファーを含めて体の柔軟な人はオーバースイングや、クラブヘッドが目標のきます。それも長所ですから、回せるだけ回しましょう。バッ右を指すクロストップになりやすいものですが、大いに結構。ダメと思われていても、体が柔軟な人にとってはダメではないのです。
体の回りすぎやオーバースイングを直そうとして、トップを無理に止めようとすると切り返しのタイミングが合いにくくなったり、本来のスイングリズムで振れなくなったりして、何もいいことはありません。
スイングの形にはこだわらなくていいから、ともかくリズムを重視しましょう。自分で心地よさが感じられるようなスイングが一番です。
《レイドオフは考えない》
クラブヘッドが目標よりもやや左を指すレイドオフのトップが今のトレンドだが、柔軟性のある人は意識する必要なんてない。
体の柔軟な人が陥りやすいスイングパターンと対策方法
体が回りすぎるのを警戒して、トップやフィニッシュを意図的に低く止めようとすると自分のリズムで振れなくなる。
《体が柔軟な人は体を止めようとしなくていい》
一般的にクラブが平行の位置で止まるのが○、オーバースイングは×と考えられているが、体が柔軟な人は逆に考えてみよう。
《体の回転量にまかせてスイング》
スエーしないことに注意して体を回せるだけ回せば気持ちよく振れて、スイングのリズムが安定しやすい。
体が柔軟な人の長所を生かすドライバー練習方法
フォローからのスイング始動で打つ
フォロースルーの位置からスイングを開始し、ボールを打つ練習。切り返しのタイミングやスイングのリズムが感じ取りやすい。体を回せるだけ回し、トップとフィニッシュを往復させる連続素振りも効果的だ。
取材協力/サザンヤードカントリークラブ
GOLF TODAY本誌 No.572 52〜63ページより
【ドライバー上手になる「超」練習法 大特集 シリーズ一覧】
●PART1:青木瀬令奈が実証!ドライバー飛距離を短期間でアップする「アッパーの押し込み力」
●PART2:ドライバースイング練習方法|ミート率がアップする「起き上がり防止ドリル」
●PART3:【タイプ別】長所を生かすドライバースイングと練習方法を北野正之が解説!
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