フェアウェイウッドとユーティリティの組み合わせ・使い分けを小川泰弘プロが解説
フェアウェイウッドとユーティリティ。どちらもフェアウェイから距離を稼ぎたいときに使うクラブだと頭で理解していても、どのように使い分けたらいいかがよくわからないというゴルファーは多いだろう。「両者は似ているようで、実は用途が違うのです」という小川泰弘プロ。使い分けのコツをつかんでベストスコア達成といこう。
「フェアウェイウッド」「ユーティリティ」とは|特徴と違いについて
2打目以降に長い距離を打つ時や、距離のあるPar3での出番が多いフェアウェイウッドとユーティリティ。同じ番手でもロフトやシャフトの長さが違うので、飛距離だけでなく特性も異なります。
それぞれを上手く使いこなすためにも、まずはフェアウェイウッドとユーティリティの平均的なスペックとメリットを理解しよう。
- 同じ番手でもシャフトの長さやロフトが異なる
- 長くロフトが少なめのフェアウェイウッドは、距離を稼ぐのを一番の目的としたクラブ
- 短くロフトが多めのユーティリティはターゲットにボールを運んでいくアイアン感覚の強いクラブ
- シャフトが長いフェアウェイウッドはボールから離れて立つ感じとなり、短いユーティティクラブはフェアウェイウッドよりもボールの近くに立って構える
フェアウェイウッドとユーティリティの一番の違いはシャフトの長さ
フェアウェイウッドでよく使われるのは3番、5番、7番です。ユーティリティは「ハイブリッドクラブ」とも呼ばれる万能型のクラブで、4番や5番が多く使われているようです。
フェアウェイウッドとユーティリティの違いはロフト角やヘッド体積などがあげられますが、一番の違いはシャフトの長さに尽きるでしょう。
フェアウェイウッドとユーティリティの番手ごとのシャフトの長さやロフト角はメーカーによって異なりますが、以下が平均的な数値といえます。
■フェアウェイウッド
番手 | シャフトの長さ | ロフト角 |
---|---|---|
3番ウッド | 43.0インチ | 15度 |
5番ウッド | 42.0インチ | 18〜19度 |
7番ウッド | 41.5インチ | 21〜22度 |
■ユーティリティ
番手 | シャフトの長さ | ロフト角 |
---|---|---|
3番 | 40.75インチ | 18度 |
4番 | 40.25インチ | 20〜21度 |
5番 | 39.75インチ | 23〜24度 |
フェアウェイウッドは平均で45.0インチのドライバーよりやや短く、ロフト角が多めになっていることはゴルファーの皆さんもよくご存知でしょう。これはドライバーと同様、距離を稼ぐのを一番の目的としたクラブだからです。
ユーティリティはフェアウェイウッドよりもシャフトがさらに短くなり、ロフト角が増えています。ボールを正確にとらえられれば飛距離が十分に出ますが、どちらかといえば狙ったターゲットにボールを運んでいくアイアン感覚の強いクラブです。
何故かというと、フェアウェイウッドよりもシャフトがだいぶ短いからです。
たとえば7番ウッドとユーティリティの4番はロフト角が1〜2度しか差がありませんが、シャフトの長さは1インチ以上も違います。
シャフトの長さが変われば、クラブのライ角も変わります。シャフトの長いフェアウェイウッドはボールから離れて立つ感じとなり、スイングの軌道が横型に近くなります。
ユーティティクラブはクラブのライ角が多めとなるのでボールの近くに立って構える感覚です。
持った感覚としてはまったく別のクラブですし、シャフトが短い分だけやさしく打てるのがユーティリティの長所です。
フェアウェイウッドとユーティリティの効果的な使い分け
芝の上から直接ヒットする機会が多いフェアウェイウッドはアマチュアにとってドライバーより難しいクラブ。ボールが上がらない人やライが悪い状況などでは、無理に3番ウッドを使用することは避けよう。
一方でユーティリティは様々な状況に対応しやすいクラブ。チャンスメイクだけでなく、ピンチ奪回にも使える。
- ライが悪い時は無理に3番ウッドを使用することは避け、5番ウッド、7番ウッド、またはユーティリティを使用すべき
- 年輩の方や女性ゴルファーは難しい3番ウッドよりも5番ウッドや7番ウッドを活用すべき
- 3番ウッドは方向を優先したいホールや200ヤード近くある長いパー3ホールなどのティショットで活用できる
- ユーティリティはディボット跡や芝の薄い場所、傾斜地からのショットなどからも使える
- 同じロフトの場合、用途の広さを考慮すれば一般のアマチュアゴルファーにはユーティリティがオススメ
フェアウェイウッドはボールが上がりやすい5番や7番を多用するのがトク
「フェアウェイウッドは難しい」。多くのゴルファーがそう口にします。ドライバーよりもシャフトが少し短くなっただけですし、芝の上のボールを直接ヒットするのですから、ボールをティアップして打つドライバーよりも難しく感じるのは当然といえば当然です。
とくに3番ウッドはボールが上がらず、キャリーが出ないとほとんどのゴルファーが悩みをかかえています。出球が低くなるためランが多く出るとはいえ、キャリーが不足してトータルの飛距離が稼げないのです。
ドライバーのヘッドスピードが少なくても40〜42メートル/秒以上はないと3番ウッドをなかなか使いこなせませんから、フェアウェイから打つときは3番ウッドよりも5番ウッドや7番ウッドを駆使しましょう。
3番ウッドよりもボールが上がりやすく、かえってキャリーが伸びやすいのです。年輩の方や女性ゴルファーは5番ウッドや7番ウッドに自信がつくとスコアメイクに大きく役立ちます。
フェアウェイウッドが使えるのはフェアウェイが平らでボールのライが良好な場所や、ラフでボールが打ちやすい状況に限定されます。ラフからのショットでボールが浮いていれば3番ウッドでも打てますし、ボールが少し沈んでいる程度なら5番ウッドや7番ウッドを選択するのもアリです。
ただし、フェアウェイでも芝の薄い場所やディボット跡、傾斜地、フェアウェイバンカーなどではフェアウェイウッドは避けましょう。
3番ウッドを活用したいのはティショットです。フェアウェイが狭いホールなど、飛距離よりも方向を優先してレイアップしたいときや、200ヤード近くもある長いパー3ホールなどで活躍してくれます。
ユーティリティはトラブルからの脱出にも使える
ユーティリティはフェアウェイウッドよりもシャフトが短いため、様々な状況に対応しやすいクラブです。
フェアウェイの平らな場所はもちろん、ディボット跡や芝の薄い場所でもユーティリティなら十分に使えます。
シャフトが短い分だけ、アイアン感覚でボールを上からとらえやすく、しかもソールがアイアンよりも厚めになっているため、スムーズに振り抜きやすいのです。
傾斜地からのショットを打つとき、遠くに飛ばすわけではないけど、ある程度の距離が欲しいという場面でも大きな武器となりますし、フェアウェイバンカーからのショットや林の中からフェアウェイに戻したいときなども活躍してくれます。
ユーティリティはそれだけ用途が幅広い「万能クラブ」ですから、積極的に使うことを考えましょう。
7番ウッドとユーティリティの4番はロフト角がほぼ同じとはいえ、用途の広さを考慮すれば一般のアマチュアゴルファーはユーティリティがオススメです。
クラブの長所を生かしつつ、スコアをまとめやすいクラブマッチングを考えよう
キャディバッグに入れる14本のクラブですが、パターを除く13本はクラブの番手間の距離を埋めるためのクラブマッチングを考えなくてはなりません。
私の場合、ウッドは1番、3番、5番、ユーティリティはロフト角20度の4番、アイアンは4〜9番、そしてピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジというマッチングです。
一般アマチュアの場合、ロフト角が22度前後の4番アイアンは難しいですから、代わりに7番ウッド、ロフト角24度前後の5番アイアンの代わりとして同じロフト角のユーティリティの4番、そしてアイアンは6番から入れるのがいいでしょう。
教える人・小川泰弘プロ
おがわ・やすひろ。
1972年9月5日生まれ、東京都出身。1999年プロ入り。
昭和の森ゴルフアカデミーで幅広い年代層をレッスン。実戦的でわかりやすい指導法に定評があり、これまでにレッスンしたゴルファーは2500人を超える。
取材・写真/三代 崇 協力/昭和の森ゴルフコース
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