【最新】渋野日向子のドライバースイングを連続写真で解説!
連続写真で見る女子力 PART1
プロ1年目で年間5勝を挙げてゴルフ界の新ヒロインとなった渋野日向子。その原点には1度目のプロテストに落ちて青木翔コーチと出会ってから、作り上げたスイングがあった。他の女子プロからも「飛んで、曲がらない」と評価される渋野日向子のドライバースイングはどうやって作られたのか?今回はその秘密を連続写真を分析しながら、青木翔コーチに聞いてみた!
渋野日向子
1998年11月15日生まれ。167㎝。2019年の部門別成績を見ると平均飛距離(248.21ヤード)とフェアウェイキープ率(67.946)を総合したトータルドライビングで4位と好成績を残している。
青木 翔
1983年3月28日生まれ。福岡大学ゴルフ部では主将をつとめ、アマチュア競技で活躍。卒業後はプロを目指すも27歳からコーチング活動をスタート。渋野日向子だけでなく、三ヶ島かな、昨年の日本女子オープンでローアマになった梶谷翼らも指導。
渋野日向子のドライバースイングの特徴は「頭が動かない打ち方」
スペックを軽くするところからスイング改造ははじまった
あらためて渋野日向子のドライバースイング連続写真を見て思ったのは、やっぱりフィニッシュまで振り切れているから飛んで、曲がらないんです。でも、元々はこういうスイングではありませんでした。
2017年の秋から指導するようになって、最初にアドバイスしたのはシャフトを軽く、軟らかいスペックにすることでした。渋野日向子も当時はけっこうハードスペックでした。だから、まずはドライバーのシャフトも50グラム台のSRにしたんです。
アマチュアの皆さんはオーバースペックの人がすごく多いと思います。渋野日向子は240ヤード前後飛ばしますけど、それでも50グラムのSR。逆に200ヤード前後の飛距離のアマチュアで60グラムのSとか使っていたら、それは飛ばないし、曲がると思います。
よく重いシャフトの方が安定すると思っている人がいますが、無理に重くて硬いシャフトにすると強引に手で振るので曲がりやすい。まずは無理しないでも振り切れるシャフトを選ぶことが第一歩です。
青木翔コーチが渋野日向子のスイング連続写真をチェック!
青木翔コーチの拠点である樫山ゴルフランド(兵庫県)で取材。2階打席には練習に訪れる渋野日向子の特等打席(サインあり)もあった。
渋野日向子のドライバースイングの作り方|飛ばし編
シャフト軌道が2年前とは全然違う!深い前傾でスイング軌道が変わった
ガチガチに固まるアドレスはNG!手をダラリとして、動きやすい姿勢で構える
2年前の渋野日向子は窮屈なスイングで、フォローでシャフトが立ったまま、直線的に上がっていく感じ。だから、まずはアドレスを変えました。当時のアドレスは棒立ちに近くて、両腕が突っ張った構えでした。それを重心を低くして、前傾して、手をダラーンとしたところでクラブを握るように教えました。
アドレスで最もNGなのは、安定させようしてガチガチになること。その構えだと体が動きにくいので振り切れません。アドレスは動きやすいな構えが理想です。前傾して動きやすい構えになれば、バックスイングではお腹が回りますから、手打ちにはなりません。前傾をキープした状態でお腹を回せば、大きな円軌道でシャフトが背中側まで回ってきます。だから振り切れるスイングになるのです。
昔はもっと窮屈なフォローだった
お腹が回ることでフィニッシュまで振り切れる!
前傾しないと、クラブの通り道がない!
前傾角度が浅いとフォローでもシャフトが立ちすぎて直線軌道になってしまう。アドレスでの前傾角度をフォローまでキープできれば、シャフトが背中側まで回って、大きなスイング軌道になる。
ダウンスイングでは右足カカトを我慢
ダウンスイングでは右足カカトが早く浮かないようにして、体が突っ込まないようにする。
渋野日向子のドライバースイングの作り方|曲げない編
フルショットしても曲げない理由はコレ!左手小指をしっかり握り、左のお腹を回す!
小指が支点になれば しなり戻りで、 高弾道ボールが打てる
渋野日向子を教えはじめてからアドレスの次によく言っていたのが「お腹を回せ!」ということです。プロになる前の渋野日向子はチーピン癖があって、強引に右手を返す癖が強かった。
まず、バックスイングではお腹の左側を回すようにして、両腕のカタチを変えないようにクラブを上げること。そしてダウンスイングでは下半身から切り返して、右のお腹を回しながらインパクトに向かうことを教えました。
最もダメなのはテークバックで右腕を意識してクラブをインサイド方向に上げることです。インサイドに上げる癖がある人は左腕を意識するだけでも、インサイドに引き過ぎないようになります。そのとき左手の小指だけはしっかり握ってください。
よく渋野日向子も弾道が高いと言われますが、その秘密は左手小指にあります。左手の小指がしっかり握れていれば、スイング中の支点ができます。支点があることでインパクトではシャフトがCの字になる“しなり戻り”ができるのでインパクトでは少しロフトが寝て打ち出しが高くなります。
ハーフウェイバックではシャフトがスタンスと平行に
「ハーフウェイバックではスタンスの向きとシャフトが平行になっていることが理想。渋野のスイングをチェックするときも、そこを見ています」(青木)
左手小指を支点にしてヘッドの遠心力を使う
左手の小指はグリップの最上部にあるので、そこが支点になることで、クラブの長さやシャフトのしなりを最大限に生かせる。
ダウンスイングでは右のお腹を回さないと体が右に倒れてしまう
ダウンスイングで下半身やお腹が動いていないと、上半身が右に倒れてしまって、インパクトではフェースが開いて当たりやすい。
左手首の角度を変えない!
左手首の角度を変えずに、左のお腹を回せればバックスイングからトップにかけてシャツに斜めのシワができます。上の渋野日向子の連続写真を見てもハーフウェイバック、トップで斜めにシワができていると思いますが、このシワができればOKです。アマチュアは真横にシワができる人が多いです。
右手でクラブを上げるとインサイドに引いてしまう
右手リードでクラブを上げようとすると、インサイド方向に上がりやすい。左手でもフェースを開くのはNG。
渋野日向子のドライバースイングの作り方|頭を動かさない編
シブコには体の動きから教えたけど、アマチュアは手の動きを決めると軸が安定して、体が回る
「腕が回れば、お腹も回る!回転するだけなら頭の軸は動かない」青木
実際に渋野日向子には体の動きから教えましたけど、私がレッスンするときは腕の動きから教えることが多いです。その理由は渋野日向子の手首の動きはトップでダスティン・ジョンソンのような独特の動きがあったからです。あれは本人の個性なので無理に直す必要はないと思って、体の動きから教えました。
でも、本当は腕の動きから作る方がアマチュアには近道だと思います。それは手打ちということではありません。具体的にはアドレスしたときの腕のカタチをキープしたままスイングすることです。
腕のカタチをキープするにはバックスイングではお腹を回すしかありません。ダウンスイングでも腕のカタチをキープするには回したお腹を戻すので下半身リードになります。
フォローでも手首のカタチをキープしていれば体が回ります。逆に、最初から体を動かそうと頑張ると軸がブレたり、ダウンスイングで体が開いてしまう人が多いです。
渋野日向子のスイングを見ても、両腕の中心にグリップ、シャフト、ヘッドがあるカタチはアドレスからフォローまで変わっていません。このカタチができれば、飛んで、曲がらないスイングになります!
手を意識するとリリースが上手くなる!
最初はハーフスイングくらいの素振りで、両腕の中心にヘッドがある状態をキープする感覚をマスターする。この腕の動きを決めてから、重心を下げて、前傾したアドレスでボールを打つ。
ヘッドを両腕の幅から外さずに手を動かす
右手でしっかりフェースを開閉させる感覚をマスター!
「振り遅れ、スライスに悩んでいる人はダウンスイングで上手くリリースができていないことが原因。そんな人は右手1本で素振りしながら、リリースする動きを練習することも効果的です」(青木)
取材協力/長船カントリークラブ 樫山ゴルフランド
GOLF TODAY本誌 No.573 22〜29ページより
【シリーズ一覧】
●PART1:渋野日向子のドライバースイングを連続写真で解説!
●PART2:女子ゴルフ黄金世代のドライバースイング連続写真【強さの秘密】
●PART3:2019年JLPGAトーナメント優勝者たちのドライバースイング徹底解説
【関連】
・渋野日向子の強さ徹底解説|ドライバー&スイング編
・渋野日向子の悩まず打てる絶好調スイング|ドライバー編(1/2)