アイアンのダウンブローをマスター!打ち方のコツを森守洋&赤坂友昭が解説
【本家本元によるスペシャルレッスン】
今度はグリップ支点の第一振り子の動きと体の回転が主体の第二振り子の動きのバランスを考えながら練習に取り組もう。ダウンブローの技術がよりレベルアップする。
●やっぱりアイアンはダウンブローに限る!!【本家本元によるスペシャルレッスン】
Prologue:森守洋いわく…
Part1:本当のダウンブローの基本をマスター!
Part2:本当のダウンブローをマスターするコツ!
Part3:本当のダウンブローをこのドリルで完全マスター!
監修 森 守洋
もり・もりひろ/1977年生まれ、静岡県出身。95年に渡米し、サンディエゴにてミニツアーを転戦しながら腕を磨く。帰国後、陳清波に師事し、ダウンブロー打法を学ぶ。現在は東京都三鷹市で『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、多くのアマチュアを指導。原江里菜らツアープロのコーチもつとめる。
レッスン 赤坂友昭
あかさか・ともあき/1985年生まれ、福岡県出身。クラブ力学、物理学、運動力学などを日々追求しながら、東京ゴルフスタジオ、トータルゴルフフィットネスにてプロからアマチュア、ジュニアまで幅広くレッスンを行っている。
本当のダウンブローをマスターするコツ!
タイガー・ウッズ
(アメリカ)1975年12月30日生まれ。96年プロ転向し、以降は4大メジャー通算15勝を含む世界各国で通算142勝。19年には日本で開催されたZOZOチャンピオンシップで米ツアー通算82勝目をあげたのは記憶に新しい。
Point 1|ダウンブローに打つには骨盤前傾のアドレスが前提
ダウンブローのスイングをマスターするにはアドレスの姿勢も重要です。一番のポイントは骨盤を前傾させること。体重を左右均等に乗せて自然体に近い体勢になり、お尻を少し持ち上げて胸を下に向けるイメージで腰のツケ根から上体を折り曲げて前傾姿勢をつくりましょう。
お尻を持ち上げるイメージといっても、腰のすぐ上の背すじが緊張で痛くなるほど力を入れないこと。スクワットするときのように両ヒザを前に出さないで腰を落として骨盤を前傾させるのがコツです。この前傾角度をつくればクラブをダウンブローに振り下ろせるのであって、骨盤が立った構えでは正しい角度から下ろせなくなります。
お尻を少し上に向けるイメージで構えるのがコツ
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スクワットの正しい姿勢のように骨盤を前傾させよう。
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骨盤前傾の構えをつくればクラブをダウンブローに振り下ろせる。
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スクワットでは腰を立てて両ヒザを前に出すような姿勢はNG。こうした構えになっている人が多い。
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骨盤が立ったアドレスではクラブを横に近い角度で振りやすく、ダウンブローに打てない。
Point 2|スクエアに近いグリップならクラブに仕事をさせやすい
グリップはクラブが気持ちよく振れる握り方が一番です。基本的にはスクエアグリップか、左手甲をやや上に向けた軽いストロンググリップがベスト。左手を深くかぶせすぎるとインパクトでフェースがかぶりやすく、ボールが左に飛んでしまいます。その点、スクエアか軽いストロングに握ればフェースがかぶりすぎる心配が少ないし、ダウンブローに打つだけでフェースが自然にターンしやすくなります。
握り方がわからなくなったら、誰かにグリップを体の真正面に差し出してもらい、両手を握ってみましょう。ごく自然に握ろうと思えば両手を横からグリップに添えるように握るはず。そのくらいナチュラルなグリップでいいのです。
グリップはナチュラルに握る
腕の振りに下半身が連動するのが正解!
松山英樹
(レクサス)1992年2月25日生まれ、愛媛県出身。2013年プロ転向。日本ツアー8勝、米ツアー5勝。勝利数にとどまらず同大会2連覇、世界選手権優勝など、米ツアーにおける日本選手の記録を更新中。
Point 3|左手を押し下げるイメージでテークバック
バックスイングの軌道が安定しない。トップの位置がいつもバラバラ。どうしてそうなるかというと、体を頑張って回そうとしているか、両手でクラブを持ち上げようとしているからです。こうした動きがクセになるとダウンブローのスイングがなかなか身につきません。
テークバックでは体を回すよりも、テコの原理を利用してトップへと導くことを考えましょう。右手は通常のグリップをつくり、左手のヒラをグリップエンドに添えてアドレスしてください。
そして、テークバックの始動で左手を押し下げて、その流れに乗ってバックスイングしていきます。
こうするとコッキングが使えてクラブが自動的に縦に上がり、トップのポジションへと向かっていきます。アドレスの前傾角度が保たれて、ダウンブローに打つ体勢をしっかりとつくれるのです。バックスイングの動きをシンプルにするためにもテコの原理を応用しましょう。
テークバックの始動はテコの原理を利用
Point 4|ダウンスイングでは腕を真下に振り下ろす
このポイントはある意味ではダウンブローの一番の肝ともいえます。多くのゴルファーはターゲット方向に向かって体を一生懸命に回そうとしたり、クラブを振っていこうとしたりします。つまりパワーのベクトルをターゲットに向けてしまっているのです。残念ながらそれではダウンスイングで体が早く開き、球をダウンブローにとらえにくくなります。
重要なのはパワーのベクトルをボールに向けること。地面に瓦があるとイメージし、空手の突きのように右腕を真下に振り下ろしましょう。ダウンブローのインパクトはそんな感覚です。
下半身主導の意識はいりません。胸を開かずに地面の上の球に向かって腕を真っすぐ振り下ろすだけでOK。実際にやってみると腕の振り下ろしと連動して腰が自然に回転することがわかります。ワキ腹の伸縮によって骨盤が斜めの角度で回転し続ける。これがダウンブローの正しい動きです。
イメージは空手の瓦割り
Point 5|インパクトで左手首が「掌屈」するからダウンブローに打てる
「掌屈」とは手首を手のヒラ側に折り曲げること。これとは逆に手首が甲側に折れるのを「背屈」といいます。クラブヘッドを加速させてダウンブローに振り下ろし、ハンドファーストインパクトで球をとらえるには左手首の掌屈が必須条件です。
パート1で説明しましたように、ダウンブローに打つにはダウンスイングでグリップ支点が左に移動しないといけません。左手の動きでいえば左手を止めないで目標側に動き続ければ、左手首が勝手に掌屈するのです。もし左手首が途中で止まると、そこからクラブヘッドが上昇に向かい、左手首が背屈してしまいます。
左手首が掌屈してフォロースルーへと向かうと、フェースターンが自然に行われます。右手首は左手首と連動して背屈するのが正しくて、掌屈はNGです。フォロースルーの形を飛球線の後方から見るとグリップエンドが見えれば最高です。鏡などでチェックしてみましょう。
左手が動き続ければ左手首が自然に掌屈する
飛球線の後方側からグリップエンドが見えるのがベスト
フェースターンは左手首の掌屈の結果だ。
ダスティン・ジョンソン
(アメリカ)1984年6月22日生まれ。2007年プロ転向。長打力を武器に15年の全米オープンを含む米ツアー通算20勝をあげている。18年には世界ランキング1位に輝いた。
Point 6|ヘッドの重心移動で自然にフェースターンが行われる
フェースターンというと意図的に腕を返してフェースを開閉させることと思われがちですが、そうではありません。クラブの重心を利用し、クラブヘッドが進みたがる方向に委ねてスイングすればフェースが自動的に返ってくれるのです。
ゴルフのクラブはシャフトの延長に重心がありません。片手で持ってぶら下げるとわかるようにグリップエンドとヘッドの重心を結ぶラインが垂直となります。重心がシャフトよりも外側にあるのですから、重心にまかせてスイングするだけでインパクトエリアでフェースがターンします。スクエアを勘違いしてグリップを固く握り、フェースを真っすぐ動かそうとするのは間違いです。
これが正しいフェースターン
「フェースを真っすぐ」はNG
ローリー・マキロイ
(北アイルランド)1989年5月4日生まれ。2007年に17歳でプロ転向。メジャー4勝を含む通算32勝。欧米両ツアーで3度の賞金王を獲得。残るマスターズを制し、グランドスラマー達成なるかが注目される。
Point 7|ドライバーもアプローチもダウンブローに打つ意識が重要
ドライバーショットの場合はティアップした球を打つのだからアッパーブローに打つ。多くのゴルファーはそう考えます。球の位置がアイアンより左で、しかもティアップしている。そんな条件であればアッパーに打つのが正しいと思いたくなりますよね。
でもドライバーだってインパクトのグリップとクラブヘッドの位置関係でいえば、決してアッパーブローではなくて基本的にはダウンブロー。クラブヘッドが加速中にボールをとらえる原則はドライバーも一緒です。そこを勘違いしてアッパーに打とうとするとグリップ支点が右足寄りにずれてクラブヘッドが早く上昇し、減速の状態でインパクトを迎えることになります。要はすくい打ちです。
球を低くコロがすアプローチも同様で、ロフトを立てるイメージでダウンブローにヒットしましょう。
アプローチもハンドファースト
撮影協力/東京ゴルフスタジオ、高根カントリー倶楽部
GOLF TODAY本誌 No.577 22〜29ページより
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