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女子プロのスイング解説|古江彩佳・安田祐香・吉田優利・西村優菜

「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る!PART2《躍動した若手編(2)》

2020/09/12 ゴルフサプリ編集部

「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る特集の第2弾は、すでにツアー優勝を果たしている古江彩佳、そしてミレニアム世代の有望株として注目されている安田祐香・吉田優利・西村優菜、この4人の若手プレーヤーのスイングを石井忍が解説。参考になるポイントは多々あるので、ぜひともチェックしてもらいたい。

◉スイング解説
石井忍
いしい・しのぶ
1974年8月27日生まれ、千葉県出身。日大ゴルフ部を経て98年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くのツアープロを指導。千葉、神保町、赤坂で「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアのレッスンも行なっている。

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躍動した若手編─4|体側に密着した右ヒジが強い「押し力」を発揮

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古江彩佳
ふるえ・あやか(フリー)
2000年5月27日生まれ
兵庫県出身153㎝。19年の富士通レディースでは史上7人目のアマチュア優勝を達成し、プロテストを免除された逸材だ。

飛ばしよりも方向性を重視したスイングイメージ

古江彩佳選手のスイングはインパクトで左ヒザを伸ばして地面からパワーを吸収するような動きがなく、スムーズな体の回転でボールを飛ばしています。飛ばすタイプというより方向重視のタイプで、非常に安定性の高いスイングです。

古江選手の一番の長所は、切り返しからインパクトにかけての右ヒジのポジションです。トップで右ヒジが地面の方向を指していて、ダウンスイングの体の回転に同調して右ヒジが体側にぴったりとついてきます。そして右ヒジと右腰が一体となった体勢のままでインパクトに向かいます。

右ヒジが体側から離れないから右手でターゲット方向に押し込むようなフォームが作れて、インパクト剛性がアップするのです。つまり、ぶ厚いインパクトが作れるということです。右ヒジが体側から離れたり内側に絞りすぎたりするのはNGです。

切り返し以降で右ヒジが体側につく

ダウンスイングで右ヒジが体側から離れるとクラブが寝て下りてしまう。トップで地面を指した右ヒジが、体の回転にともなって右ワキ腹の近くに自然に触れるのが正しい動きだ。
ダウンスイングで右ヒジが体側から離れるとクラブが寝て下りてしまう。

右手で押す感覚のインパクト

右ワキが体側についていればフェース面をターゲットに真っすぐ押すようなインパクトが作れる。

躍動した若手編─5|ヒンジコックを使ってヘッドを一気に加速

ミレニアム世代の筆頭格は効率よく飛ばすテクニシャン!

安田祐香
やすだ・ゆうか(NEC)
2000年12月24日生まれ
兵庫県出身163㎝。17年の日本女子アマ優勝。19年は第1回オーガスタナショナル女子アマに日本で唯一出場して話題に。

左手でフリスビーを投げるようなフォローの手首使いがカギ

体の回転がとてもスムーズで、オーソドックスなスイング。安定性が高いスイングといえます。クラブを立て気味にバックスイングし、切り返し以降ではクラブが背中側に倒れて、やや寝た状態で振り下ろしています。あとはスムーズなリストワークを使ってボールをタイミングよくとらえています。

「フェースターン」とよくいいますが、正確にはフェースの開閉ではなくて、ダウンスイングでためていた右手首をインパクトエリアでリリースするのが理想的な動き。いわゆる「ヒンジのコック」で、安田祐香選手のスイングにはこの動きがよく表われています。

左手でいえばフリスビーを投げるような手首使いで、左手首の動きに同調して右手首は手のヒラ側に折るようにリリースするのです。そうすればヘッドが走るけれど、フェースは返らない。速く振っても方向性が狂わないという事につながるのです。

ヒンジコックでヘッドを走らせる

ダウンスイングでためていた右手首をインパクトでリリースする。
インパクトからフォロースルーにかけて右手首を手のヒラ側に折り曲げる。
腕をネジってフェース面が下を向いてしまうと方向が安定しにくい。
ヒンジコックを使わないで振るとフェースが開いて当たってしまう。

躍動した若手編─6|切り返しの沈み込みでフェース管理能力アップ

インパクトの再現性が高く飛んで曲がらないマルチプレーヤー!

吉田優利
ふよしだ・ゆうり(エプソン)
2000年4月17日生まれ
千葉県出身158㎝。18年に日本女子アマと日本ジュニアを制した逸材。才能の片鱗を見せて19年のプロテストに一発合格。

手を振り下ろす体勢を作る直前に体がボールに近づく

吉田優利選手のスイングの一番の特徴は、切り返しのときに上体が一瞬だけボールのほうに向かうところです。切り返しで腕やクラブを振り下ろす体勢を作る前に、お腹をキュッと引き締める感じで体を少し沈み込ませています。

体を回転する前に体がボールに寄ってくるのですから、「突っ込み」という表現になるのかもしれませんが、フェースを元に戻すために体を止めてしまうなどのアジャストの動きがまったく見られません。逆に体を一瞬ボールに近づけることで前傾角度がしっかりと保たれて、インパクトで上体が起きてしまうエラーを徹底的に封じ込めるのです。それだけダウンスイングの軌道が安定してフェース面を管理しやすくなります。

インパクトで左足を蹴っても上体が起きる心配がないから、思い切って蹴っていけるという利点もあるのです。

切り返しで上体が一瞬沈み込む

切り返しで体の回転がスタートする直前にお腹を引き締める感覚で上体が少し下がるのが特徴だ。
ダウンスイングで上体が起きるのはNG。沈み込みの動作はこのミスを未然に防ぐ効果がある。

ダウンスイングで前傾角度をキープ

お腹をへこませて上体を少し下げた結果、前傾角度が保たれてフェースをコントロールしやすくなる。

躍動した若手編─7|沈み込み、回転、蹴りの3つの動きの連動が抜群

リズムとバランスがよく下半身主導のスインガータイプ!

西村優菜
にしむら・ゆな(フリー)
2000年8月4日生まれ
大阪府出身150㎝。アマチュア時代は同年代の安田祐香、古江彩佳らとナショナルチームで活躍。19年のプロテストに一発合格。

切り返しで体重を左足に乗せれば体が回転しやすい

今大会は残念ながら予選落ちとなりましたが、西村優菜選手も潜在能力の高いプレーヤーです。アドレスのボールの位置やクラブを短く持ってスイングしているところなど長所が沢山あります。

とくに素晴らしいのはダウンスイング以降の「左横に踏み込んで、回転して、蹴り上げる」という3つの動きのシークエンスとバランス。西村選手は腰を左にスライドさせるように体を少し沈み込ませたら、腰を素早くターンし、その動きに連動して右足を蹴り上げています。腕や手のパフォーマンスよりも下半身をしっかり使ってスイングするタイプといえます。

切り返しで体重を先に左足に乗せるのは体を回転しやすくするためで、クラブをインサイドから下ろしやすくなるメリットもあります。クラブを両手で水平に持ち、3つの動きの連動を覚える練習がオススメです。

下半身をしっかり使ってスイング

手の動きよりも下半身の3つの動きの連動とバランスに着眼点を置くとスイングが安定しやすい。

下半身の動きに特化した練習

クラブを両手で水平に持ち、下半身の3つの動きの連動を意識したシャドウスイングをすると上達に大きく役立つ。

GOLF TODAY本誌 No.579 26,27,34,〜41ページより


「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る!Part2


Part3へ続く(※順次アップします)

●「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る!
Part1:《躍動した若手編》・田中瑞希・笹生優花・西郷真央
Part2:《躍動した若手編》・古江彩佳・安田祐香・吉田優利・西村優菜
Part3:《今年も来るぞ!大本命編》・鈴木愛・渋野日向子《スイング劇的改造編》・大里桃子