【スライス特集】スライスの原因別|矯正ポイントがわかれば、もう曲がらないぞ!!
長年悩んでいて、どうしても治らなかったドライバーのスライス対策 PART2
パート2では4つのスライスの原因に合った矯正法をわかりやすく解説。インパクトでフェースを開かないためのポイントを押さえればボールのつかまりが良くなり、右に曲がることもなくなる。
◎解説
北野正之
きたの・まさゆき
1966年5月18日生まれ。93年プロ入り。所属のサザンヤードCC(茨城県水戸市)や松原ゴルフガーデン(埼玉県草加市)で多くのアマチュアをレッスン。知る人ぞ知る名コーチで著書も多数。
原因その1【手が先に出てしまうタイプの矯正ポイント】左ワキを締めてヘッドを早く戻す!
ハンドレート気味にインパクトするイメージを持とう
インパクトで手が先に行ってしまうタイプのゴルファーは、左ヒジを曲げてはいけないと思い込んで左腕を硬く使っている傾向があります。左ヒジを極端に折り曲げるのは良くないですが、無理に伸ばしておくのもいけません。
ポイントは左ワキを締めて手よりもヘッド側を早く戻すイメージでクラブを振り下ろすことです。ヘッドの近くのシャフトを持って素振りしてみてください。シャフトが左ワキに当たらないようでは手が先に行きすぎている証拠。シャフトが軽く当たる程度でもNGです。インパクトの少し前にシャフトで左ワキに強く叩けるのが正しい動きです。ただし左ワキの上側に当ててはダメです。手元が浮いてフェースが開いてしまいますから、ベルトの近くの左ワキに当てるようにしましょう。
通常のスイングでもこの感覚でクラブを振れば左ワキが自然に締まり、手元よりもヘッドが先行してハンドレート気味に打てます。
アダム·スコット(オーストラリア)
1980年7月16日生まれ。2000年プロ転向後、米ツアー通算14勝。その他にも欧州ツアー通算11勝。世界各国で計31勝をあげている。13年のマスターズではプレーオフの末にアンヘル・カブレラを下して悲願のメジャー制覇を達成。
クラブを短く持って素振り
コックを早く戻すイメージ
左ワキの下側にシャフトを強く当てるつもりでスイングするのがコツ。
原因その2【左前腕部をネジらないタイプの矯正ポイント】左ヒジから先を「外旋」させるグリップコントロールが肝心!
軽くストロングに握っておけば左手を操作しやすい
左前腕部のネジレはスライス防止の一番の肝といってもいいほどの重要なポイントです。スライスに悩むゴルファーの多くは左ヒジから先を左側に回せないために、ダウンスイングでフェースが開いています。
フェースターンができないわけですが、これはグリップを正しく回せていないから。グリップをコントロールするための左手の正しい動きを覚えない限り、フェースを閉じることができないのです。
手を動かそうとするよりもシャフト軸を左に回しながらダウンスイングしましょう。左手の甲をやや下に向けるイメージです。グリップエンドを回す意識を持てば左前腕部を左にネジりやすくなり、インパクトでフェースが閉じてきて球がしっかりとつかまります。
左手を深くかぶせすぎたり浅く握ったりすると左前腕部の回旋がしにくくなります。左右どちら側にも回しやすいように軽いストロンググリップに握りましょう。
タイガー·ウッズ(アメリカ)
1975年12月30日生まれ。96年にプロ転向し、以降は4大メジャー通算15勝を含む世界各国で通算142勝を達成している稀代のスーパースター。19年には日本で開催されたZOZOチャンピオンシップで米ツアー通算82勝目をあげた。
手元を止めて左前腕部を回す
グリップエンドの左回転を意識
原因その3【クラブを左に引き込むタイプの矯正ポイント】飛球線の外に振り抜いて体の早い開きを抑えよう!
アウトサイドへと振り抜く練習で引っ張り癖を解消
ダウンスイングからインパクトにかけてクラブを左方向に引っ張り込むためにカット軌道になる人は、目標の右側へとクラブを振り抜いていく意識を持ちましょう。
飛球線と平行となるようにクラブを両ツマ先の少し前に置くと、クラブの軌道が簡単にチェックできます。フォロースルーで両手が左腰の高さにきたとき、シャフトが地面に置いたクラブときれいに重なって見えるのが理想ですが、スライスしやすい人はこのクラブの位置が地面のクラブよりも内側となります。これを修正するにはシャフトを地面のクラブよりも外側へと出していくつもりで振りましょう。
またダウンスイングで体が早く開いてしまう悪癖を断ち切るには左手を自然に下げた体勢を作り、右手で持ったクラブを左腕の外側で振る練習も効果的です。手とクラブが一緒に動いてはクラブの先端のヘッドが走りませんから、インパクトエリアで手が流れないように注意してください。
ジョン·ラーム(スペイン)
1994年11月10日生まれ。2015年に世界アマチュアランキング1位となり、その後プロ転向。2020年もメモリアルトーナメント、BMW選手権優勝など好調をキープ。米ツアー通算4勝、欧州ツアー通算5勝の若きリーダー的存在。
体の開きを抑えて振る感覚をつかもう
地面のクラブよりも外側に向かって振り抜くイメージ
アウトサイド方向に振る
原因その4【左ツマ先がめくれるタイプの矯正ポイント】左ツマ先を地面から絶対に離さないイメージで打つ!
重心の前後の移動が過剰にならないように注意しよう
スイング中は体の回転によって左右の体重移動が自然に発生しますが、同時に「前後の重心移動」も生じます。カカト体重で構える人はバックスイングでツマ先体重、そしてインパクトでカカト体重となりやすく、結果的に左ツマ先がめくれやすいのです。
これを直すにはツマ先体重気味に構えましょう。通常は土踏まずから母趾球にかけての部分に重心を乗せますが、もう少しツマ先側に重心を意識するのです。アドレスを作る手順としては両足をツマ先立てて両ヒザを伸ばし、両足のカカトを静かに下ろして最後に両ヒザを軽く曲げましょう。そしてスイング中は重心の前後移動をなるべく抑えて、インパクトでは左ツマ先でしっかり踏ん張るようにすることです。
左ツマ先がめくれる欠点の修正法として、ヘッドをボールから離して通常のアドレスよりも少し遠くに立って構え、ヘッドをボールに届かせて打つ練習もオススメです。
ブルックス·ケプカ(アメリカ)
1990年5月3日生まれ。2012年プロ転向。17年と18年の全米オープン2連覇、18年と19年の全米プロ2連覇を果たし、「メジャー男」の異名を持つ。米ツアー通算7勝のほか、日本でも16年と17年のダンロップフェニックスで2連覇。
ボールから離れて構え、打つ練習をする
インパクトでツマ先に体重を乗せて打つしかない
アドレスで重心をツマ先側に乗せておこう
協力/サザンヤードカントリークラブ
GOLF TODAY本誌 No.581 28〜35ページより
【シリーズ一覧】
●PART1 メカニズムを知ればスライスはカンタンに直る!
●PART2 原因別の対策ドリル
●PART3 スライスを味方につける!
●PART4 スライサー卒業はクラブ&ボール選びから!ギアで脱!スライス