小祝さくら・古江彩佳、女子プロたちのアプローチショットを学ぼう!!
【80台が出る!スコアメイクのための女子プロ連続写真】PART2
スコアメイクのカギとなるアプローチショット。アマチュアの方々にぜひ参考にして欲しいポイントが満載だ。バンカーショットの連続写真にも注目。
GOLF TODAY本誌 No.585 38〜53ページより
古江彩佳|2020年リカバリー率 1位
手首の角度をキープしてタテのスピンをかける
①クラブを短く持ち、ボールの近くに立って構える
②構えた位置にクラブヘッドを戻してインパクト
フェースの開閉を抑えて打てば順回転をかけやすい
古江彩佳選手は20歳とまだまだ若いけれど海外などの試合経験がとても豊富で、様々な状況を想定した練習を積んできて、引き出しの幅広さを感じさせます。
アプローチショットを見てもよくわかる通り、手首の角度がスイング中、まったく変わらないのです。フェースの向きが狂わないし、距離感のコントロールがしやすくて、左右のブレも少ない。惚れ惚れするくらいの順回転の球を打っています。
少しでもヨコの回転が加わると距離感や方向性の誤差が生じやすいのですが、古江選手はフェースを開いて閉じる動きがありません。完璧に近いくらいボールにタテの回転をかけていてピンに寄る確率が高いのです。
小祝さくら|2020年リカバリー率6位
手先を使わないで体幹の回転でスイング
①カラダの回転だけでバックスイング
②スイング中は腕や手をいっさい使わない
ショットの縮小版のイメージが強いアプローチスイング
見ているととても柔らかさを感じさせるアプローチショットです。小祝さくら選手はドライバーやアイアンの縮小版のような感じで、アプローチでも大きな筋肉を使ってスイングしますから、自然と柔軟な印象を与えるのだと思います。
多くのアマチュアはピンが近いと、つい手先の動きでちょこんと当ててしまいがちですが、それがダフリやトップなどのミスを招く原因となります。距離感や方向性のブレも生じやすく、スイングに硬さも出てきやすくなります。
小祝選手のように体幹を中心とした大きな筋肉でスイングすれば、大時計の振り子のように一定のテンポで振りやすい。インパクトの精度がアップしてキャリーとランが揃いやすくなるのです。
右手のヒラとフェース面が同調
原英莉花
①ダウンスイングで右手首の角度をしっかりキープ
②右手のヒラとフェース面が同調したインパクト
③ボールをピンに向かって押し込むように打つ
④フィニッシュまで右手首の角度が変わらない
右手の親指と人差し指のツケネを締めてV字を作る
原英莉花選手はアプローチもアイアンと一緒で、ボールを押し込んでいるという感じのスイング。アイアンのところでも話しましたが、これは右手のグリップに秘密があるのです。
右手の親指と人差し指のツケネを締めて、きれいなV字を作っていることがわかるでしょう。このV字が右手のグリップを美しく見せていて、右手首の適正の角度をキープするポイントでもあります。
アドレスの右手首の角度をインパクトまで変えずに、右手のヒラとフェース面を同調させる。そして右手でボールをピンに向かって押し込むようにインパクト。ボールを弾くように打たないから、ボールがフェース面に吸いついている時間が長く、きれいなスピンがかかるのです。
左右対称形のスイングが理想
スイングはシンプルなほど再現性が高い
イ・ボミ選手も河本結選手も、構えたときの手首の角度がスイング中、まったく変わっていません。ヘッドを上から鋭角に入れずに、振り子のイメージでクラブを左右対称に振っています。意識してテークバックとフォロースルーを同じ振り幅にするわけではありませんが、クラブを等速と等幅で振るイメージによってスイングがシンプルになります。
イ・ボミ
フォロースルーはテークバックと左右対称形
イ・ボミ(延田グループ)
1988年8月21日生まれ、韓国出身。158㎝。日本ツアー通算21勝。2015年と16年は2年連続で賞金女王に輝いた。「スマイルキャンディ」の愛称で知られる人気プレーヤー。
河本 結
フェース面でボールを拾う感覚で振り抜いていく
河本 結 かわもと・ゆい(リコー)
1998年8月29日生まれ、愛媛県出身。163㎝。2019年のアクサレディスゴルフトーナメントinmiyazakiでツアー初優勝。20年から米ツアーを中心にプレーしている。
腕をカラダの近くで振る
腕とクラブをカラダの正面にキープする
「アプローチショットは手打ち」と思ったら、それは間違いです。三ヶ島かな選手と田中瑞希選手のスイングを参考にしてください。腕をカラダの近くで振っていますよね。これがアプローチの肝で、腕とクラブをカラダの正面にキープしたまま、胸を左右に回すだけのシンプルな動きが理想のスイング。手打ちになると腕がカラダから離れてしまいます。
三ヶ島かな
両肩と両腕の三角形をキープして振る
三ヶ島かな|みかしま・かな(ランテック)
1996年7月13日生まれ、福岡県出身。164㎝。2020年はニトリレディス3位タイ、JLPGAツアー選手権リコー杯6位タイなどの好成績を残した。賞金ランク18位。
田中瑞希
カラダと腕を同調させてスイング
田中瑞希|たなか・みずき(ニトリ)
1998年10月24日生まれ、熊本県出身。151㎝。ルーキーイヤーの2020年、開幕戦のアース・モンダミンカップで優勝争いの末に3位タイ。賞金ランク26位。
渋野日向子
ヘッドを走らせてフォローでクラブを立てる
①バウンスを使いやすくするためにフェースを開く
②バックスイングでカラダを十分に捻転させる
③ヘッドを加速し、バウンスを滑らせて砂を弾き飛ばす
④クラブが立つのはヘッドの運動量が大きい証拠だ
バンカーショットもしっかり振り抜くことが大事
渋野日向子選手は2020年、海外を中心にプレーし、様々なコースでプレーして多くの経験を積みました。とくにアプローチやバンカーの引き出しを増やせたことは彼女にとって大きなプラス。こんな場面ではこんな球を打とう、といったイメージ力が上がりましたね。
このバンカーショットにも、それがよく表われています。どんな球を打つかのイメージでアドレスやスイングが変わりますが、ここで注目して頂きたいのはフォロースルーです。クラブの立てた傾き角度がとても理想的で、クラブヘッドをしっかり走らせたのが伝わってきます。バンカーが苦手な人はこのフォロースルーを参考にするといいでしょう。
アドレスの左ヒザの角度を最後までキープ
安田祐香
①体重を左足に多めに乗せて構える
②左足を軸にしてバックスイング
③アドレスの左ヒザの角度をキープしてインパクト
④最後まで左ヒザの角度を変えない
左足を軸にしてスイングするイメージを持とう
安田祐香選手の軽い左足下がりのバンカーショットです。ボールが上がりにくくて、アマチュアゴルファーにとっては脱出に苦労させられる場面でしょう。
ショットを成功させる一番のポイントは左ヒザです。低いほうの左足に体重の6~7割を乗せて構えたら、体重移動を使わないでスイングします。バックスイングで体重を右足に乗せないで、左足を軸にしてカラダを回転し、クラブを振るのです。
インパクトで左ヒザが伸びたり縮んだりしないで、構えたときの左ヒザの角度をしっかりキープすればインパクトの打点が安定し、ショットの成功率がアップします。
安田祐香|やすだ・ゆうか(NEC)
2000年12月24日生まれ、兵庫県出身。163㎝。アマチュア時代に多くの実績を残すもツアーデビューの2020年は頚椎捻挫に苦しみ、賞金ランク56位。21年は完全復調し、ツアー初優勝を狙う。
①腰を落としてアドレスのバランスを整える
②コックを早めに使ってクラブを立てていく
③下半身が崩れないからクラブの入射角がパーフェクト
④フォロースルーは足場のライに沿ってヘッドを低く出す
バンカーでは下半身を固めて腕を柔らかく振る
左足がバンカー内、右足はバンカーの外で状況的には左足下がりですが、難度はさらにアップします。こんなとき多くのアマチュアは何とかうまく当てようとして腕を硬く使ってしまい、下半身が緩みやすいのです。
こうした難条件ではプレーヤーの技術の差が顕著に出るものですが、笹生優花選手はアイアンショット同様、下半身の強さと上体の柔らかさをうまく引き出しています。状況に適応したアドレスを作ったら、下半身を固めて腕を柔らかく振る。カラダの上と下のバランス感覚の重要性を教えてくれるようなスイングだと思います。
◎スイング解説 服部道子
はっとり・みちこ
1968年生まれ、愛知県出身。84~85年日本女子アマ3勝。85年に全米アマで優勝し、USGA主催の「全米」タイトルを制している唯一の日本人。91年にプロ転向し、2度の日本女子オープンを含む通算18勝。98年は賞金女王の座についた。現在はトーナメント解説など多方面で活躍。2021年東京オリンピックのゴルフ日本代表女子コーチをつとめる。
取材トーナメント/NEC軽井沢72ゴルフトーナメント、ニトリレディス、TOTOジャパンクラシック
アイアンが、アプローチが、FW&UTが、パットが上手くなる!!
【80台が出る!スコアメイクのための女子プロ連続写真】
●PART1 女子プロたちのアイアンショット学ぼう!!(1/2)
●PART1 女子プロたちのアイアンショット学ぼう!!(2/2)
●PART2 女子プロたちのアプローチショットを学ぼう!!
●PART3 女子プロたちのフェアウェイウッド&ユーティリティショットに学ぼう!!
●PART4 女子プロたちのパッティングに学ぼう!!