目指すのはヘッドスピードUPより、ボール初速UP!短尺なら、もっと飛ばせる!
本気で飛ばしたい! あなたのための飛距離アップ4大レッスン PART1
飛びの3要素のうち飛距離に直結するのはボール初速だ。初速を上げるためには長尺化も一つの方法だが大きな落とし穴がある。たとえ速く振れたとしても芯を外せば初速は上がらないし、曲がるリスクも大きいからだ。そこでオススメしたいのが長尺とは真逆の短尺化。芯に当たる確率=ミート率が高くなれば比例して初速も上がるので飛距離は確実にアップする。
GOLF TODAY本誌 No.587 14〜21ページより
いまどきドライバーはミート率で飛ばそう!
ヘッドスピードを上げても飛ぶとは限らないのです
シャフトを1インチ長くするとヘッドスピードは約1m/s上がるといわれている。仮にミート率が1.5とすればボール初速は約1.5m/s上がる。これを飛距離に換算すると約7ヤード。ただし、長くした分だけミート率が落ちるのでボール初速と飛距離が計算通り伸びるとは限らない。一方、ヘッドスピードが同じと仮定してミート率が0.05高くなればボール初速は2m/s上がる。飛距離に換算すると約10ヤード飛ぶことになる。
※元のヘッドスピード40m/sの場合
ミート率はヘッドスピードに対してボール初速がどれだけ出ているかを表す数値で、どれくらい芯の近くに当たっているかの目安になります。例えばミート率1.35から1.40に上がれば飛距離はプラス10ヤード、1.45ならプラス20ヤード飛びます。アマチュアでも1.45くらいは出せるのでまずはそこを目指しましょう。
振り遅れない長さを見つけよう
ヘッドスピードがほぼ同じでも、女子プロに比べてアマチュアが飛ばないのはフェースの芯にボールが当たっていないからです。それにもかかわらず飛ばそうとして長いクラブを使うのはまったく逆効果です。
いまどきのドライバーが昔よりもやさしくなっているのは確かですが、スイートエリアの大きさはせいぜい500円玉くらいしかありません。クラブを長くすればするほどボールが遠くなり、振り遅れてフェースが開いたまま当たりやすくなるので余計に芯に当たらなくなります。自分がどれくらいの長さまでならフェースの戻りをインパクトに間に合わせられるのか、把握しておくことが大切です。
また、3Wまでは上手に打てているのに、ドライバーを持った途端にスイングが変わってしまう人もよくいます。上手く当てよう、ドライバーだから速く振らなくてはいけない、アッパーブローで打たなくてはいけないなど特別な意識が働くのは、打つ前からドライバーの長さに気持ちが負けてしまっているからです。ドライバーに苦手意識のある人は一度レディスやジュニア用など短いドライバーで、打ってみることをオススメします。それまでの不安がなくなってどんどん振れるようになるし、短くても意外と飛ぶことに気がつくでしょう。
高反発時代のドライバーは最大ボール初速を競い合っていた。しかし、いまどきのドライバーはルールぎりぎりの高初速エリアをできるだけ広げ、ミート率を高くして飛ばすように設計されている。つまり、そのエリアに当てることさえできれば無理にヘッドスピードを上げなくても効率よく飛ばすことができるのだ。
上の図は打点位置をずらして打った際のミート率をボール初速の計測結果。この結果からもわかるとおり、打点位置がずれても初速にはほとんど差がないことがおわかりいただけるだろう。
同じ高さからボールを落とすと
太鼓は同じ力でも鼓面の真ん中を叩けばドーンという大きな(低い)音で鳴り響き、端を叩くとトンという小さな(高い)音で鳴る。真ん中を叩いたときに皮の振幅とエネルギーが最も大きくなるからだ。ドライバーが飛ぶ理屈も太鼓とまったく同じ。フェースのたわみは真ん中にボールが当たったときに一番大きくなり、ボールに伝わるエネルギーも最大になる。
短尺vs長尺を打ち比べ。短尺はやっぱりミート率が上がる!
初速が安定するから間違いなく飛ぶ!
短尺ドライバーは本当にミート率が上がってボール初速が出るのか。短尺の43.5インチ、標準的な45インチ、長尺の46.5インチのドライバー3本を北野正之と編集部員2人が打ち比べてみた。
検証ギアはこれ|同一ヘッド&シャフトで比較した
ヘッドは高初速エリアの広いテーラーメイド『SIM2MAXタイプD』、シャフトはタメと走りを兼ね備える『アッタスジャック』を使用。振り心地を揃えるためにスペックを46.5インチ=4X、45インチ=5S、43.5インチ=6Sとした。
【北野正之+編集部員2名】長尺、中尺、短尺をガチで打ち比べた結果
長尺はバラツキが大きい、短尺はパワーが伝わりやすい
一発当たったときに一番ボール初速が出たのは長尺でしたね。でもそれが長続きしません。
長尺が難しいのは自分の感覚とクラブのしなり戻りのタイミングのズレが大きいからです。速く振ろうと思ってもクラブの戻りが間に合わず、タイミングを合わせるためには体を止めて待たなくてはなりません。
その結果、手打ちになってしまい、思ったようにはヘッドスピードが上がりません。長さのメリットを生かし切れない印象です。
反対に短尺はいかようにも振り回すことができます。どれだけ速ので、手の振りではなく自然と体の回転を使って打つことができます。タイミングよくクラブが戻ってくるので体重も乗せていけます。自分の持っているパワーがしっかりボールに伝わってさらにボール初速が上がります。
45インチは良くも悪くもその中間。長尺ほど振り遅れることはありませんが、振り抜きのよさでは短尺に敵いません。自分のタイミングで毎回振れる人は問題ありませんが、フィニッシュでバランスが崩れる人は長さに負けているので短尺の方がいいでしょう。
長尺46.5インチ
ぶっつけの1球目はミート率が高いが、2球目からは長さを意識してばらつきが出る。
評価ヘッドスピードののばらつきが大きい。ヘッドスピードが速くてもミート率が落ちる。
試打コメント「2球目で少し振り遅れたら3球目は警戒して振れなくなりました」(北野)
評価ミート率のばらつきが大きい。ヘッドスピードを上げるとミート率が落ちる。
試打コメント「ヘッドがすごく重くてそのせいで振り遅れている感じがします」(ゴルフライダーK)
評価ヘッドスピードは一定だが、ミート率のばらつきが大きく、初速が安定しない。
試打コメント「タイミングが合えば飛びますがヘッドを戻せないときがあります」(のみ助)
中尺45インチ
ミート率は長尺よりも安定しているが、速く振ってもそれほどボール初速が上がらない。
評価ヘッドスピードは速いが、ミート率がやや低くボール初速があまり出ない。
試打コメント「ヘッドが遅れてこないので体を使いやすく長尺と同じくらい速く振れます」(北野)
評価ボール初速は安定しているが、ヘッドスピードを上げるとミート率が落ちる。
試打コメント「横振りしている感じがなくなってボールに当てやすくなりました」(ゴルフライダーK)
評価ヘッドスピードもミート率も比較的安定している。振ったなりにボール初速が出る。
試打コメント「慣れている長さですが飛ばそうと意識すると打点がブレます」(のみ助)
短尺43.5インチ
ヘッドスピードがまったく変わらないのは振りやすい証拠。安定した飛びが期待できる。
評価ミート率が平均して高く、ヘッドスピードが遅くてもボール初速が出る。
試打コメント「完全に自分のタイミングで振れます。気持ちよさが違います」(北野)
評価ヘッドスピードが安定し、ミート率も高い数値で安定。ボール初速が一番出る。
試打コメント「シャキッと振れます。フィニッシュでバランスよく立てます」(ゴルフライダーK)
評価ヘッドスピードが非常に安定しミート率が高め。平均してボール初速が出る。
試打コメント「ボールが散らばらないのでスコアは間違いなくよくなると思います」(のみ助)
■ 試打・解説
北野正之(きたの・まさゆき)
1966年5月18日生まれ。93年プロ入り。松原ゴルフガーデン(埼玉県草加市)やサザンヤードCC(茨城県水戸市)などで多くのアマチュアを指導。本誌ほか多くのメディアで活躍中。
協力/サザンヤードカントリークラブ
●本気で飛ばしたい! あなたのための飛距離アップ4大レッスン
Part1:目指すのはヘッドスピードUPより、ボール初速UP!短尺なら、もっと飛ばせる!
Part2:ヘッドスピードとミートを両立!『ヨコ+タテ』のマッチングで飛ばせ!
Part3:飯島茜がレッスン! 初心者でもすぐにできるドライバーの飛距離アップ練習法!!飛ばしのアドレスチェック 即効ドリル20
Part4:飛ばしの異色レッスン|右足親指で飛距離が20ヤードアップ!!