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小祝さくら流 超安定アプローチ術|体を回せば寄せワン連発!

曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る PART1

2021/06/05 ゴルフサプリ編集部

賞金ランキング1位を独走し、シーズン3勝と絶好調の小祝さくら。好調の要因についてコーチを務める辻村明志は「以前はアプローチでのスピンが物足りなかったけれど、今年はアプローチでもしっかりスピンが効くようになったことが大きい」と語る。辻村は、小祝にどんなアプローチを教えていたのか?

GOLF TODAY本誌 No.588 14〜23ページより

高校3年生の頃から小祝さくらを指導している辻村コーチ。当時は上田桃子の専属コーチだったので、16年シーズン終了後から本格的に指導。

最初は左足下がりを毎日練習

「最初は左足下がりから思い切って右ヒザを目標方向に回して、腰を回す感覚を教えました」(辻村)

昔は小祝さくらも手打ちだった!

絶対的なアプローチの基本は、手を使わずに体の回転で打つことです。言葉でいうのは簡単なのですが、実はツアープロにとっても手を使わないアプローチはすごく難しい。ベテラン選手でも、体が回らなくなるとすぐに手で打つアプローチになってしまいます。

小祝さくらも昔は完全に手で打っていました。だから、アプローチの練習では「もっと腰を回せ!」と言い続けてきましたし、よく練習していたのは左足下がりのライです。左足下がりになっていると、左足体重になるので、そこから右ヒザを回すと腰が回りやすい。その感覚をつかめるようになるまで徹底的にアプローチはやりました。腰が回って、体のターンで打てるようになるとフェースにボールが乗るようになるのでスピンが効く。小祝さくらが、そんなアプローチを打てるようになったのは最近です。以前は、はるかに(上田)桃子の方がスピンが効いていましたけれど、今年のオフは桃子が「いつから、さくちゃん、そんなスピンかかるようになったの」と言うくらい、アプローチは進化したと思います。

小祝さくら流アプローチの基本|小祝さくらの安定感のヒミツはコレ!手を使わず、体を回すには左手首、左腕、左足がカギ!

左手首の角度を変えずに、左腕は伸ばしたまま、左腰の位置を変えずに左腰を回す!

A 左親指の付け根を意識する!

左手首を動かさないためには、左腕から左の親指につながる部分の角度をアドレスから変えないように意識する。コッキングの動きが大きい人は、バックスイングの途中で左手首が曲がってしまう。

B 左ヒジをつかんだまま片手打ち!

練習では右手で左ヒジを抑えたまま片手打ちすると、左腕を伸ばしたままアプローチする感覚をつかみやすい。フォローでは少しインサイド方向に抜くイメージでもOK。

C 右足を回せば左足は横に動かない

左足の横には写真のように1本の棒があるつもりで、アドレスからフォローまで、その棒と左足の距離が変わらないように打つ。右足をしっかり回転させると体が回って、左足は安定しやすい。

感覚的にはノーコックで打つ!

体で打つためのポイントになるのが左サイドの使い方です。まず、最も大事なのが左手首の角度。アドレスしたときの左手首の角度は絶対に変えてはいけません。手首の角度を変えないために感覚的にはノーコックで打つイメージでOK。もちろん、アプローチでも多少のコックは入りますが、意識的にコッキングしてしまうと手首の角度が変わってしまいます。左手首からつながった部分として、左腕も伸ばしたまま打ってください。左ヒジが曲がってしまうのは絶対にダメ。左腕が「1本の棒になった」感覚で打つと体が回るようになります。

そして最後のポイントになるのが左足です。アプローチはアドレスからフォローまで左ヒザに体重がかかっていることで軸がブレずに、滑らかなダウンブロー軌道になります。そして、左足を動かないように左腰を回転できるようになるとスムーズに上半身が回るようになるので、体で打つアプローチになります。

ベルトのバックルとヘッドが一直線になることを意識して練習すると、手打ちの癖を解消して、体で打つアプローチになっていく。

体を回しやすくするには、アゴより前に手は出さない!!

アドレスしたときの手首の位置が肩の真下になっているので、アゴよりかなり手前。インパクトでも、手首は同じ位置を通過している。

小祝の手の位置は、こんなに体に近い

小祝さくらのアプローチを見ると、手首が体に近い位置を通っているので、両ワキが締まっていて、両ヒジもほとんど体から離れていない。

手首が体に近いと両ワキも締まる

手打ちになっている人には共通点があります。それは、体とボールとの距離が遠いので、手を前に出して構えていることです。手が体から離れてしまうと手打ちになりやすい。

実は小祝さくらも、最初はボールと体の距離が遠かったので、「もっと近く!」と毎日言って、ボールの近くに立たせるようにしました。ボールと体の距離が近くなると、手が使いにくくなる。そうなると、体を回して打つしかなくなるのです。また、手首が体に近い位置でアドレスすると、両ワキが締まった構えになるので、両肩と手首の三角形も崩れにくくなります。

アマチュアの皆さんだと、アドレスしたときに手首がアゴの前に出たり、インパクトの瞬間に手首がアゴの下を通るタイプが多いですが、アドレスからフォローまでアゴより前に手を出さないこと。グリップエンドが体にくっついてしまうくらいの距離感で打てると、絶対に手打ちにはなりません。

手が体に近ければ、左腰を回して“抜く”動きになる

アゴの下のラインを意識して、手首を前に出さないようにすれば、左腰を回す打ち方になる。野球で例えると外角ではなくて、内角のボールを打つときの体の使い方に近い。

手打ちの人は、手が遠い!

手首が体から離れるほど、手が自由に動きやすくなってしまうので、フェースの向きや入射角が安定しないアプローチになってしまう。

フォローはインサイド方向でOK!

ヘッド軌道としてはストレートよりも、インサイド方向に抜くイメージでOK!インサイド方向に動くとアゴより前に手が出なくなる。
練習ではヒール側に置いたボールをフェースセンターで打つと、インサイド方向に抜く動きをマスターできる。

小祝さくら流アプローチの距離感|手の感覚で打つと安定しない!フェースを自分に向ければ距離感アップ

自分の胸から首を指す角度が理想

フォローではフェース面が自分の胸から首の方を向いていればOK!
小祝さくらはアイアンでもアプローチでもフォローのときは両腕の中心に手首とシャフトが来ている。

手で距離感を調整するとイップスに

例えばエッジまで10ヤードくらいの短い距離でも、絶対に手で距離感を出そうとしてはいけません。手で距離を合わせようとすると、インパクトで緩めたり、逆に強く入りすぎたりするので、練習すればするほど悩みが深くなってイップスにもなりやすい。

手で距離感を出さないポイントは2つあります。まず、フォローでは体の中心にヘッドが来ていること。もう1つは、そのときのフェース面が自分を向いていることです。フェースを返してしまう人はフェース面が見えない角度になっていますが、それこそが「手打ちの距離感」です。フェースを返してしまうと、結局はリストターンで距離感を調整することになります。

私が小祝さくらに教えてきたのは、自分から見えているフェース面の角度を変えずに打つこと。フェースが閉じたり、開いたりしないように打つことではじめて体の回転で距離感を出せます。さらにフェースにボールが乗るのでスピンも入りやすいです。

フォローでは1時を向く!

手首を使わずに、体の回転で打てていれば、フォローでは自分から見たときのヘッドが1時を向いている。
手首をストレート方向に動かそうとすると、フェースを返してしまう。インサイド方向に抜く方が、体が回るのでフェースが返りにくい。

小祝さくら流アプローチのラフ攻略|フェース面をキープしたまま胸を目標に向ける! フェースではなく胸を回す

体の回転で距離感を出すには、フォローで胸が目標方向を向いている姿勢が大切。フェース面を変えずに、胸が回転できるようになると、体で距離感を出せるようになる。

ラフの抵抗を最小限にするにはフェースを被せて、“チョイ立て”に!

フェアウェイや花道と同じ構えだと、ソール全体が芝に当たってしまうので、ヒール側が引っかかりやすくなる。

トゥ側に当てることで、飛びすぎも防げる

小祝さくらはあまり器用なタイプではなかったので、小手先のテクニックはそんなに教えてきませんでした。しかしラフから打つときの構え方はラウンドしながら教えました。ラフを攻略するポイントは芝の抵抗をなるべく少なくすること。そのためには、フェースを少し被せて(トゥ側を前に出す)、ロフトを少し立てる構えを作ること。その構えで打つと、ソールのトゥ側しか芝に当たらないので普通のアドレスに比べて格段に抜けが良くなります。

この構えを作ったら、フェースセンターではなくて、少しトゥ側に当てたほうが打ちやすい。ラフからは、どうしてもスピンがかかりにくいので、飛びすぎてしまうこともありますが、トゥ側に当てることで初速を抑えることができるので、飛びすぎるミスが出ません。

トゥ側のバウンスを使って打つ

ボールを上げようとして、フェースを寝かせてしまうのはNG。エッジが地面から浮いてしまうので、エッジにボールが当たって大きなミスになりやすい。
日本のラフはボールが浮いているので、少しロフトを立てても、ボールの下をフェースがくぐっていけばラフからでも高く上がる。

小祝さくら流アプローチのバンカー攻略|バンカーの構え方を勘違いしている人多いです!クラブを体の正面にしてからハンドレイトに

ヘッドを体の前に出したままアドレスに

打つ前のルーティーンで、ヘッドを体の前に出しながらアドレスに入っていくとセットしやすい。

アウトサイド・インで打つ必要はない!

アマチュアの皆さんが最もアプローチで勘違いしているのがバンカーショットだと思います。まず、バンカーショットはアウトサイド・インで打つ必要はありません。目標方向に対してスタンスをオープンにするだけで、スタンスに対しての軌道はストレートです。オープンスタンスでストレート軌道だとボールが左に飛ぶと思うかもしれませんが、フェースを開いているので、ボールはフェースが向いている方向に飛び出します。

もう1つ勘違いしやすいのがハンドレイトの構えです。ハンドレイトに構えようとすると手首を後ろにしようとする人が多いですが、バンカーではヘッドを少し前に出すのが正しいハンドレイトです。

オープンスタンスにして正しいハンドレイトで構えるには、目標方向に対して、上の写真のように扇型のエリアを意識して足元をセットすると構えやすいと思います。

最初にフェースをセットして、スタンスを決める

最初にフェースをセットしてから、スタンスを時計の10時くらいの位置に移動させると正しいバンカーショットの構え方になる。

手首が右足寄りになるのはNG

手首が体の中心から外れた時点で、手打ちのバンカーショットになってしまう。
バンカーは左足一本で立っている感覚でOK!左足体重になっているほど、ヘッドを打ち込んでいきやすいので上手く砂を飛ばしてボールがフワリと上がる。

辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年9月27日生まれ。ツアープロ時代にはチャレンジツアーで最高2位となったが、その後プロコーチに転身。現在は上田桃子、小祝さくら、永井花奈、吉田優利、松森彩夏、山村彩恵など6人のプロを指導。

小祝さくら
こいわい・さくら/1998年4月15日生まれ。北海道出身。158㎝。2017年のプロテストに一発合格すると18年、19年と2年連続で賞金ランキング8位になった。20-21年シーズンは3勝をマークして賞金ランキングでもメルセデス・ランキングでも1位。ニトリ所属。

撮影/相田克己 JGMA Getty Images  取材協力/鎌ヶ谷カントリークラブ


曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る

PART2(次回)へ

曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る
PART1 小祝さくら流 超安定アプローチ術|体を回せば寄せワン連発!
PART2 寄せワンを成功に導くのはスイングとウェッジのいい関係
PART3 ヨコシン直伝スピンの上手なかけ方(誰でも簡単にマネできる)
PART4 入れごろ外しごろのパットの決め方!!