ヨコシン直伝スピンの上手なかけ方(誰でも簡単にマネできる)
曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る PART3
横田真一の感性と科学の目でスピンの秘密にアプローチ
1パット圏内に寄せるにはコロがしが常に最善とは限らない。手前にラフやハザードがあったり、グリーンが砲台だったり、ピンが近かったり、ショットをミスしたときほどアプローチスピンが必要になってくる。寄せワンを狙うならスピンは必須項目だ。
GOLF TODAY本誌 No.588 36〜45ページより
ダイナミックロフトは同じでもスピンロフトが違う!!
低スピンvs高スピン インパクトの違いをGCクワッドが捉えた!
アタックアングルとスピードでスピンを増やす
スピンのかけ方を教えてもらう前に、ノーマルなピッチショットとスピンを効かせたピッチショットの2通りのショットを横田真一に打ってもらい、弾道測定器「GCクワッド」を使って比較してみた。
スピン量はノーマルショットの4864回転に対して、スピンを効かせたショットは5698回転。800回転強の差はどこから生まれるのか。弾道測定のエキスパートの佐々木信也さんに解説してもらった。
「ダイナミックロフト(インパクト時のロフト角)はほぼ同じですが、スピンを効かせるときはアタックアングル(入射角)がより鋭角で、その結果スピンロフトが約4度大きくなっています」(佐々木さん)
スピンロフトとは、ダイナミックロフトからアタックアングルを引いた角度で、ダウンブローが強くなるほどスピン量が増える。そのことを感覚的に覚えているプロは、無意識のうちにボールの位置やヘッドの軌道を調整しているのだ。また、ヘッドスピードも約2m/s上がっている。
「その分バックスピンをかける力が強くなります。ヘッドスピードを上げても、フェースを開き、打点をヒール側にずらすことで飛ばないようにしているのはプロの技ですね」(佐々木さん)
佐々木信也さん
弾道測定器「GCクアッド」販売元であるエンジョイゴルフ&スポーツジャパンの代表。
スピン発生のメカニズムを物理学的に考察
ヨコシン直伝!誰でもスピンLEVEL1|ダウンブローでスピンロフトを増やす
スピンを増やすいちばんやさしい方法はダウンブローでアタックアングルを深くしてスピンロフトを増やすこと。簡単にマネできる打ち方をヨコシンに教えてもらった。
\ノーマルなピッチショットとスピンの効いたショットの打ち分け/ ヘッドを鋭角に入れるとスピンが多くかかる
①ボール位置は両足の真ん中。
②アーリーコックにならないように注意。
③フェース向きはプレーンに対してスクエア。
④左手首の角度をキープ。
⑤フェースが開くので手が前に出ないように注意。
⑥フォローは体をかぶせて起き上がりを防ぐ。
アドレスでダウンブローの体勢を作る
ふつうにピッチショットで狙う場合は、ボールを真ん中に置いてフェースを真っすぐ構えます。フェースをできるだけシャットに使いたいので、コックはあまり意識しないでパッティングのように体を正面に向けて置くイメージです。ただし、インパクトからフォローでは自分の体を被せていきます。そうすると起き上がりにくく、フェースが開いてトップしたりボールの下をくぐったりするミスを防げます。
低い球でスピンをかけたいときはボールを右足の前に置き、フェースを目標より右に向けてハンドファーストにすればダウンブローのアドレスが作れます。バックスイングでコックを早めに入れるとクラブがアップライトに上がってカット軌道になります。ダウンスイングはリリースを我慢して遅らせることで、ヘッドが上から入ってスピンがかかります。
スピン増量のポイント①
スピン増量のポイント②
①ボールを右に置いてハンドファーストで構える。
②コックは意識して早めに入れる。
③トップを少し大きくしてヘッドスピードを上げる。
④左手のコックをキープしてタメを作る。
⑤バンスを使うとフェースが開いてさらにスピンが増える。
⑥腰が浮かないように水平に回すと球がフェースに乗る。
ヨコシン直伝!簡単スピン LEVEL2(簡単)|ボールとフェースの接触時間を長くする
ロブショットでスピンを増やすには、フェースとボールの接触時間をできるだけ長くすることがポイントになる。
\ロブショットでピタリと止める/ ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出す
①スタンスは広め。ボールを真ん中に置いてフェースを開く。
②フェースの先の方を使うため少しハンドアップ気味に構える。
③ピッチショットと同じようにコックを使い過ぎない。
④前に飛ばないのでトップを大きくしてスピードを上げる。
⑤ヘッドを真っすぐに動かして球をフェースに乗せる。
⑥スピンをかけるためにロブでもしっかり振り抜く。
スピンを効かせたいなら極端なカット打ちは禁物
ロブショットといえばフェースを思い切り開いてボールを切るように打つイメージがあると思います。しかし、スピンを効かせるためには極端なカット打ちはしません。なぜなら、ヘッドがボールの下をくぐりやすくボールとフェースの接触時間が短くなるし、下手をすればだるま落としのようなミスが起きやすいからです。
したがって、ロブでスピンをかけるときはボールを真ん中に置いて、シャフトを真っすぐに構えます。ふつうのピッチショット違うのは、フェースを開くこと。これはインパクトでフェース面を広く使えるようにしてボールとの接触時間を長くするためです。そして、ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出せば、ボールがフェースに乗ってスピンがよくかかります。
GCクワッドでヨコシンのロブを分析|フェース面を広く使えている
ヨコシン直伝!簡単スピンLEVEL3(ちょっとだけ難しい)|
\ボールが戻る激スピンに挑戦!/ 開いたフェースを長く押し込む
着弾してから手前に戻るような激スピンボールはアマチュアにも打てる。コツはインパクトでボールとフェースの接触時間を最大限に長くすることだ。
ボールの接触時間を最大限に長くする
激スピンボールはフェースを開いたままにしてインパクトゾーンを低く長く押し込むようにすれば、簡単に打てます。まずアドレスでフェースを開いて、ハンドダウンに構えてみましょう。このとき左手首には『く』の字型に角度がつきます。その角度をフォローまでキープすればフェースが開きっぱなしになって、ボールとの接触時間が長いインパクトになるので激スピンでボールをギュギュっと戻せます。
①少し大げさにハンドダウンでかまえる。
②トップでもフェースが自分の顔の方を向くように上げる。
③左手首の「く」の字をキープしたままヘッドを低く動かす。
④アドレスからフィニッシュまでフェースが自分の顔を向いたままにする。
バンカーショットの距離をスピン量で調整
バンカーショットでスピンをかけたいときは、ボールの奥側の砂をとるようにします。ボールとフェースの間に入る砂が少なくなり、接触面積が大きくなるのでスピンが増えます。奥の砂をとるにはボールを左に置き、左足体重で構えてクラブを上から入れるのがコツです。
科学の目(GCクワッド)でヨコシンのアプローチを分析
同じ56度のSWでも、フェースを開くか、アタックアングルを深くすることでスピンロフトが大きくなってスピンが増える。また、フェースを開くほど打点がヒールの下側に移動し、フェース面を広く使っていることがわかる。スピン量はヘッドスピードにも比例するが、打点が重心から外れることで飛び過ぎがなくなる。
サイエンスな裏ワザ|フェース面をきれいにしておくことが大事!
アプローチでスピンをかけたければ、打つ前に準備すべきことが3つあります。1つめはスピン系のボールを使うこと。2つめはウェッジのフェース面を毎回きれいに拭くこと。芝の葉、ボール表面や練習マットの削りカスがくっついたままだと目に見えてスピン量が落ちます。素振りをしたときにも本番のショットを打つ前にフェースを拭きましょう。そして3つめはノーメッキのウェッジを使うこと。ただし、錆びるのが嫌だからと油などを塗るのは禁物。もし油がついたら使う前にきれいに拭き取りましょう。
横田真一
1972年2月6日生まれ、東京都出身。専修大学卒業。順天堂大学医学部研究科で修士を取得。『YOKOTA GOLF BASE』でレッシュ4スタンス理論に基づくレッスンを行っている。YouTubeの横田真一チャンネルは登録者数11万人超え。ツアー2勝。2022年からシニアツアー参戦予定
取材協力
◎オールデイゴルフ新橋駅前ビル店
◎エンジョイゴルフ&スポーツジャパン
曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る
●PART1 小祝さくら流 超安定アプローチ術|体を回せば寄せワン連発!
●PART2 寄せワンを成功に導くのはスイングとウェッジのいい関係
●PART3 ヨコシン直伝スピンの上手なかけ方(誰でも簡単にマネできる)
●PART4 入れごろ外しごろのパットの決め方!!