寄せワンを成功に導くのはスイングとウェッジのいい関係
曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る PART2
昔のウェッジはPW、AW(PS)、SWくらいしか選択の余地がなかった。だが、今どきのウェッジはロフト角やバウンス角のバリエーションが増え、果てはグラインドととにかく選択肢が多い。その中から自分の構えやスイングにぴったり合ったものが見つかればまさしく鬼に金棒だが、合わないものを選んでしまうとかえって寄せるのが難しくなってしまう。最新ウェッジに詳しいQPこと関雅史が寄せワン狙いに欠かせないいまどきウェッジの選び方を指南する。
GOLF TODAY本誌 No.588 24〜35ページより
構えとウェッジのいい関係[その1]ストレートネックと相性がいいのは?
スイングの8~9割はアドレスで決まる。もちろんアプローチも同じで、スイング軌道やヘッドの入射角も構え方で決まる。イメージした通りに寄せたければ、自分の構えに合ったウェッジを選ぶことが大切だ。
ストレートネックと相性がいい(1)|ボールを真ん中に置く人
ベーシックな構え方。クラブを振り子のように左右対称に動かしやすい。
ストレートネックと相性がいい(2)|フェースを開く人
トゥの重さを感じやすく、フェースの開閉をコントロールできる。
ストレートネックは球を拾って上げやすい
ボールを真ん中に置いて構える人は、クラブを振り子のように動かしスイングの最下点でボールを打とうとします。シャフトの延長線上でボールをとらえる打ち方になるので、リーディングエッジが前に出ているストレートネックの方がボールを簡単に拾えます。
また、アッパー軌道でも刃先でボールをすくい上げることができるので、ボールを左に置いてターフを取らずにクリーンに拾う打ち方にもマッチします。
フェースを開いて構えやすいこともストレートネックの利点ですが、その理由は見た目だけではありません。重心がシャフトの延長線上にあるため、トゥの動きを感じやすくフェースを閉じながらボールをつかまえやすくなっています。
また、ボールがポンと上がってくれるのも特徴で、出球の高さで距離感を作る人には最適といえます。
シャフトが真っすぐな状態でボールをとらえるため刃の出たストレートネックが適している。
構えとウェッジのいい関係[その2]グースネックと相性がいいのは?
アベレージゴルファーに多いのはボールを右足の前に置いて打ち込むタイプ。とくにショートアプローチでターフがとれる人にグースネックがオススメ。
グースネックと相性がいい(1)|ボールを右に置く人
インパクトロフトが立つ。地面とのコンタクトが遅れるグースネックが刺さりにくい。
グースネックと相性がいい(2)|フェースを開かない人
スクエアでも球を包み込むイメージ。フェースを開閉しなくても球がつかまる。
グースネックは打ち込んでもダフりにくい
ボールを右に置く人の多くはダフらせるのが嫌で、ヘッドにボールを直接当てたい人です。しかし、ボールを右に置いた分だけ上から打ち込むことになるので、ストレートネックのウェッジを使うと余計にリーディングエッジが刺さりやすくなります。その点、グースネックはリーディングエッジが少し遅れて地面に当たるのでヘッドを鋭角に入れてもダフりにくくなります。
グースネックのもう一つの特徴はフェースが後退している分だけ、重心角が大きく球がつかまりやすいことです。フェースを開いて使うこともできますが、ローテーションしなくても球がつかまるのでその必要がありません。ハンドファーストに構えるグースネックはインパクトロフトが立つので打ち出し角が低く、フェースをスクエアに合わせてシャットに上げてそのまま真っすぐヘッドを出せば、ラインをイメージしながらパターのように寄せることができます。
インパクトロフトが立つが、グースがある分だけ刃が刺さりにくくなる。
[検証]ストレートネックとグースネックの出球を比較
スイングとバウンス角のいい関係
ウェッジのバウンスを発明したのは、バンカーを苦手としていたジーン・サラゼン。バウンスにはリーディングエッジが地面に潜り込むのを防ぎソールを滑らせてくれる効果があるため、いまはどんなウェッジにもバウンス角がつけられている。
スイング軌道によって選ぶバウンス角を変える
ロフト角だけでなくバウンス角の大きさを選べるウェッジが増えてきました。SWなら10度から12度くらいが標準的(ミッドバウンス)で、それより小さいものがローバウンス、大きいものがハイバウンスに分類されます。
ハイバウンスのウェッジはソールの頂点とリーディングエッジの高低差が大きいため、上から打ち込んでもダフりにくくなっています。このためハイバウンスはやさしいと考えられていますが、それは上から打ち込む人にとっての話であり、ボールを刃先で拾ってクリーンに打ちたい人にとっては地面に弾かれやすいハイバウンスは難しいウェッジです。
一方、ローバウンスのウェッジは、ソールの頂点とリーディングエッジの高低差があまりありません。そのおかげでリーディングエッジをボールの下に滑り込ませてボールをすくい上げるのが簡単です。また、フェースを開いてもバウンスが邪魔をしないためロブなど高い球も打ちやすい反面、上から打ち込んだ場合にはリーディングエッジが刺さりやすくなります。
また、ミッドバウンスは両方の長所と短所を併せ持っています。最初はミッドバウンスから試して、打ち方が固まってきたらローバウンスかハイバウンスに移行するといいでしょう。
バンカーとソール幅のいい関係
ワイドソールはやさしいけれどそうでない人もいます
打ち込みタイプにはワイドソールが合う
バンカーショットが苦手な人のためにソール幅の広いウェッジがあります。ソール幅は広いほどバウンスの効果が高くなりますが、打ち方によってはワイドソールがやさしくなる場合も難しくなる場合もあるので選ぶときは注意が必要です。
大雑把にいえば、ヘッドが高い位置からダウンブローぎみに入る人には砂に潜りにくいワイドソールかハイバウンス、低い位置から入る人はソールが跳ねにくい狭めのソールかローバウンスが適しています。また、ヒールのバウンスが落ちているものほどフェースを開いて使えます。
ヨコ振りの人はソール幅狭めかローバウンス!
タテ振りの人にはワイドソールがオススメ!
グラインドとスイングのいい関係
[POINT]バウンスを味方につけよう!|どのグラインドがどんな打ち方に合う?
フェースを開きやすい[ローバウンス系](JAWSMD5Cグラインド)
いいとこ取りの[ワイド&ローバウンス系](JAWSMD5Xグラインド)
クセのない[スタンダードタイプ] (JAWS MD5 Sグラインド)
ダフりに強い[ワイドソール系](JAWSMD5Wグラインド)
昔はせいぜいハイバウンスとローバウンスが選べるくらいでいまのようなグラインドのバリエーションはありませんでした。グラインドが必要な人は工房にお願いしたり自分で削ったりしていたものです。プロの意見をフィードバックしたグラインドが出てきたのはボーケイのTVDあたりからでしょうか。特徴のあるソールは打ち方と合っていれば抜群の効果を発揮しますが、合わないと逆効果になるのでかなり慎重に選ぶ必要があります。見た目が格好いいとか誰それが使っているからという理由で決めるのは禁物。とくに自分のアプローチスタイルが定まっていない人は、カスタマイズされたグラインドを使う前に、スタンダードなグラインドから入ってソールの何が余計で何が足りないのか見極めましょう。
アプローチが苦手でも寄せワンをねらえる!
テーラーメイド「ハイ・トウ ロウ」/ピン「グライド3.0 EYE2」|だるま落としの心配がない
クリーブランド「スマートソール4」|パター感覚で寄せられる
フォーティーン「TK-40 フォージド」|アプローチイップスを克服できる
重心とスイングのいい関係
[POINT]浅重心は操作しやすく、深重心は球がつかまる
ウェッジの重心についてドライバーほど気にする人はほとんどいません。しかし、ウェッジの重心位置は操作性にかなり影響します。そもそもウェッジはアイアンよりもロフトが寝ているので重心が深くなりやすいクラブです。グースネックや高重心モデルはさらに重心が深く重心角も大きいので球のつかまりがいい反面、当たったときにフェースが開きやすくそこで距離を食われるデメリットもあります。逆に最近はボーケイのように重心を浅く設計したモデルも登場してきました。浅重心のメリットは操作性。フェースを開いたり閉じたりしやすいので繊細なコントロールをしたい人に適しています。
ロフト角と飛距離のいい関係
[POINT]キーになるロフトからセッティングを組み立てる
PWとSWのギャップを均等に埋める
寄せワンを狙うなら一番大事なのはアプローチの距離感です。確実に1パット圏内に寄せるためには、あらゆる距離にできるだけ少ない打ち方(振り幅)で対応できるように、ロフトを4度か6度刻みにするのが理想ですが、まずその前に基準になるロフトを決める必要があります。
基準の決め方は3通りあります。1番目はレイアップする距離を基準にする方法。100ヤードなら100ヤードを確実に打てるロフトを選んで、そこから上下のロフトを決めるやり方です。ただし、この方法は狙った距離をきちんと残せるくらいのアイアンの腕前がないと意味がありません。
2番目はアイアンセットのPWのロフトを基準にする方法です。たとえばPWが43度なら50度、56度を入れれば6度刻みになります。PWが飛ぶ人なら48、52、56の4度刻みの方が距離の間隔が開きすぎません。最近はアイアンのロフトが立っているのでPWと下のウェッジのギャップを小さくするためにもPWのロフトは無視できません。
3番目はSWのロフトを基準にする考え方です。グリーンを外してからの寄せワン狙いの要となるバンカーショットやショートアプローチで自信の持てるロフトを基準にして、そこから上の番手のロフトを決めて行きます。
寄せに自信のないアベレージゴルファーなら、PWの決まったロフトがあって、次にSWのロフトを決め、その2本の間隔を均等に埋めるようにロフトを選ぶのが現実的でしょう。
アマチュアには56度がオススメ!
【ウェッジセッティングの例】
レッスン
関 雅史
(せき まさし)1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
協力/平川カントリークラブ
曲げても外しても寄せワンでパー! アプローチ&パット上手になって90を切る
●PART1 小祝さくら流 超安定アプローチ術|体を回せば寄せワン連発!
●PART2 寄せワンを成功に導くのはスイングとウェッジのいい関係
●PART3 ヨコシン直伝スピンの上手なかけ方(誰でも簡単にマネできる)
●PART4 入れごろ外しごろのパットの決め方!!