ゴルフアプローチの打ち方の種類・コツ|初心者向け練習方法も紹介!
ゴルフにおけるアプローチショットは、パッティングと並んでショートゲームの要です。そしてアプローチショットの良し悪しはスコアに大きな影響を及ぼすため、レベルを問わず、安定したテクニックを身につけたいもの。
そこでこの記事ではアプローチショットの基本的な打ち方や練習法などを紹介。ベストスコア更新のためにも、ぜひ参考にしてください。
撮影協力/埼玉県所沢市「インドアゴルフKF24」
モデル/大瀧真梨香さん
ゴルフのアプローチとは
ゴルフのアプローチショットとは、一般的にグリーン周辺やグリーン近辺からピン(カップ)に寄せる、もしくは近づけるショットのことをいいます。
人によって距離に対する捉え方の違いはありますが、グリーンまでの距離が50ヤード前後のショットをアプローチショットと呼ぶことがスタンダードです(なかには80ヤードもアプローチショットという人もいます)。
アベレージゴルファーは技術的にパーオンの確率が低いため、アプローチショットでできるだけピンに寄せることがスコアメイクのカギになります。
アプローチで使用するクラブ
アプローチショットを打つときに使うクラブは、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジ、ロブウェッジなど、ウェッジと呼ばれるクラブを使用するのがもっとも一般的です。
とはいえ、転がして寄せることが可能な状況ではパターを使うことも多々あります。またグリーン周辺のラフなどからアプローチショットを打つ場合、ライの状況によってはフェアウェイウッドやユーティリティを使って転がし上げるような打ち方をする人もいます。
少数派ではありますが、チッパーといってアプローチショットに特化したクラブを使っている人もいます。チッパーはパターと同じ打ち方でボールが上がり、着弾後は転がるので、誰でも簡単にピッチ&ランを打つことができます。
アプローチの打ち方は3種類
アプローチショットの基本はランニングアプローチ、ロブショット、ピッチ&ランの3種類です。それぞれのショットはボールの位置やアドレス時の体重配分などが少し変わりますが、打ち方が大きく変わるわけではありません。ポイントは小手先で打たないことです。
- ボールを転がして寄せる「ランニング」
- ボールを高く上げて寄せる「ロブショット」
- ボールを上げて転がす「ピッチ&ラン」
ボールを転がして寄せる「ランニング」
ランニングアプローチはボールを転がして寄せるショットのことです。ボールを宙に上げない(キャリーを出さない)ため、初心者レベルの人でも比較的簡単に打つことができます。
ランニングアプローチの打ち方は、以下の通りです。
- スタンス幅は肩幅より狭め
- 左足のツマ先を少し開く
- 左に体重をかけて、ハンドファーストにアドレス
- ボールは右足寄り
- 小手先を使わず、腕と体を一体化させて、体のターン主体にスイング
距離感はスイングの大きさ(振り幅)でコントロールします。
ボールを高く上げて寄せる「ロブショット」
ロブショットはボールを高く上げるショットのことで、着弾後はほとんど転がりません。ピンとエッジまでの距離が短く、ピタッと止めたいときなどに使われることが多いショットです。
ロブショットの打ち方は、以下の通りです。
- スタンス幅は肩幅よりやや広め
- 左足のツマ先を少し開く
- 左右の足に均等に体重をかけてアドレス
- ボールはやや左足寄り
- フェースを開く
- ソールを滑らせるようにスイングし、フォローでフェースを閉じない
距離感はスイングの大きさ(振り幅)と、スイングスピードでコントロールします。
ボールを上げて転がす「ピッチ&ラン」
ピッチ&ランはクラブのロフト角通りに打ち出して、着弾後は転がって行く弾道のショットで、さまざまなアプローチショットの基本となるものです。
ピッチ&ラン打ち方は、以下の通りです。
- スタンス幅は肩幅より狭く
- 左足のツマ先を少し開く
- 左足体重でハンドファーストにアドレス
- ボールはスタンス中央に
- 小手先を使わず、腕と体を一体化させて、小さなウェイトシフトと体の回転でスイング
距離感はスイングの大きさ(振り幅)でコントロールするのがもっともポピュラーです。
アプローチの基本的な打ち方【初心者向け】
ここでは初心者向けのアプローチショットの打ち方を紹介します。この打ち方は基本になりますので、まずはこれを身につけるようにしましょう。
そしてレベルが上がってきたら手や手首の動きを取り入れた打ち方をマスターし、アプローチショットのバリエーションを広げていきましょう。
- アプローチのアドレスの作り方
- アプローチショットのスイング・打ち方
アプローチのアドレスの作り方
アプローチショットはボールを飛ばす距離が短いため大きなスイングは不要です。それに伴ってウェイトシフトも小さなもので十分です。このことからアドレスしたときのスタンス幅は必然的に狭目なります。
ランニングアプローチもピッチ&ランも、肩幅より狭目のスタンス幅にするのが一般的で、ピンまで3~4ヤードというケースでは両足を揃えたアドレスになることもよくあります。
ランニングアプローチとピッチ&ランは通常のショット同様に最下点の手前でボールコンタクトしたいため、ハンドファーストに構えるのがスタンダードなアドレスです。
ロブショットのアドレス
ロブショットは通常よりも高さを出す必要があるため、ある程度のスイングスピードが不可欠で、そうなるとスイングも必然的に大きくなります。このことからスタンス幅はやや広めになり、下半身を安定させる必要が出てきます。
ロブショットはバンカーショットのように、ボールの手前にヘッドを入れてソールを滑らせて打つことが多いため、ハンドファーストを意識する必要は特にありません。
アプローチショットのスイング・打ち方
初心者向けのランニングアプローチとピッチ&ランの打ち方は、以下の通りです。
- スタンス幅を肩幅より狭くする
- 左足のツマ先を開く
- 左足に約60パーセントの体重をかける
- ハンドファーストにアドレス
- 両肩とグリップでつくられる三角形を崩さずに、小さなウェイトシフトとそれに伴った体のターンで打つ
これが基本です。そしてランニングアプローチなら右足寄りにセット、ピッチ&ランなら体の中心にボールをセットすればいいのです。
初心者向けのロブショットは、以下の通りです。
- スタンス幅を肩幅程度にする
- ターゲットラインの左を向いてオープンに構える
- 両足に均等に体重をかける
- フェースを大きく開き、シャフトを真っ直ぐにしてアドレス
- 両肩とグリップでつくられる三角形を崩さずに体のターンで打つ
- スイングはスタンスに沿って振り抜くようにする
- フォローでフェース面が上を向くようにする
ボールは左足寄りにセットし、だるま落としをイメージしてソールを滑らせる意識をもつと、比較的簡単にボールが上がります。
アプローチショットの寄せのコツ
なかなか2オンができないハイハンデのアベレージゴルファーは、3打目がグリーンまで50~80ヤード前後というケースが多々あります。そんなケースからのアプローチショットをうまく打つコツと寄せるためのポイントをを紹介します。
- 距離にマッチした振り幅でしっかり打つ
- 体のターンを主体にしたスイングをする
- 常にグリーンのセンターを狙う
距離にマッチした振り幅でしっかり打つ
アプローチショットをうまく打つコツのその1は、距離に応じた振り幅できちんとスイングすることです。
グリーンまでの距離が50ヤード前後のケースでは、まずフルショットはできません。必然的にハーフショットなどで中途半端な距離を打つことになります。中途半端な距離は“振り幅”を決めて打つのがもっともやさしく、またミスも少なくて済みます。
日頃の練習でアプローチウェッジを腰から腰までの振り幅で振った場合、どの程度の距離になるのか。また、サンドウェッジではどの程度の距離になるのかを把握しておき、その振り幅できちんと振るようにしましょう。
体のターンを主体にしたスイングをする
三角形を崩さず体のターンを主体にスイング
アプローチショットをうまく打つコツのその2は、体のターンを主体にしたスイングをすることです。
両肩とグリップでつくられる三角形を崩さないように意識して、体のターンでスイングするようにしましょう。このとき、短い距離とはいえ、きちんとウェイトシフトを行うことも忘れてはいけません。
ハイハンデのアマチュアは「上手く打ちたい!」「寄せたい!」という気持ちが強くなると、手打ちになる傾向があります。こうなるとかえってダフったり、シャンクしたりとミスを招くため、手先の動きを抑えて体で振る意識にチェンジしましょう。
常にグリーンのセンターを狙う
アプローチショットを寄せるコツは、常にグリーンのセンターを狙うことです。
ピンポジションやグリーンの形状に関わらず、常にグリーンのセンターを狙うようにすれば、プレッシャーが少なくなり、いつも通りのスイングができます。その結果、グリーンを捉える確率がアップし、ひいてはピンに寄る率も増します。
スコア100前後を行ったり来たりしているアマチュアほど、自分の実力を顧みずピンをデッドに狙う傾向があります。稀に上手くいくときもありますが、たいていはグリーンを捉えられず、そこから3打、4打費やして、スコアをまとめられないことが多いのです。
グリーン周りのアプローチのコツ
グリーン周りからのアプローチショットを成功させるコツは、転がすことができる状況ならばピッチ&ランなどではなく、ランニングアプローチで打つことです。この際に使うクラブはウェッジでなくてもOK。パターでもユーティリティでも、簡単に転がせるクラブを選ぶことがとても大切です。
100切りを目指すレベルのアマチュアや5回に1回程度100が切れるレベルのアマチュアは、グリーン周りのアプローチショットを打つとき、ライに関わらずアプローチウェッジやサンドウェッジを持ってピッチ&ランなど、ボールを上げて打つ人がとても多いものです。
そしてチャックリしたり、トップしたりというミスを頻発しています。このようなミスは基本的に技術が拙いために起こり、克服にはある程度の練習が必要です。
しかしパターを持って転がして寄せることを選択すれば、まずチャックリやトップは出ません。ピンにピタッと寄るかどうかは別として、必ずオンすることはできます。このような寄せ方に徹することで、1ラウンドでかなりの数のムダなストロークをセーブでき、結果としてベストスコア更新につながるのです。
アプローチが上達する練習方法【初心者向け】
ここでは初心者のゴルファーがアプローチのテクニックを向上させるためのごく簡単なドリル(練習方法)を紹介します。練習場や自宅でできるドリルなのでぜひ活用し、レベルアップに役立ててください。
- ティアップしたボールをクリーンヒットする
- 3ヤード刻みの距離を打ち分ける
- 室内用のパターマットからボールを打つ
ティアップしたボールをクリーンヒットする
アプローチが上達する練習方法のその1は、「ティアップしたボールをハーフスイングで打つ」です。
練習の仕方は、以下の通りです。
- 持つクラブはアプローチウェッジかサンドウェッジ
- ボールを高めにティアップする
- ティを打たないように気をつけて、ハーフスイングでボールだけをクリーンヒットする
この練習を繰り返し行うとヘッドの軌道が安定し、スイートスポットでボールコンタクトする確率がアップします。その結果、チャックリしたり、トップしたりというミスが減ります。
ボールを高めにティアップして打つ
3ヤード刻みの距離を打ち分ける
アプローチが上達する練習方法のその2は、「3ヤード刻みのショットを打つ」です。
練習の仕方は、以下の通りです。
- 持つクラブはアプローチウェッジかサンドウェッジ
- 3ヤード先に目標を決める
- その目標にキャリーで着弾するようにボールを打つ
- 5球続けたら、6ヤード先に目標を決める
- その目標にキャリーで着弾するようにボールを打つ
- これを繰り返し30ヤード先まで打つ
この練習を繰り返し行うと距離感が養われます。3ヤード刻みに慣れてきたら、10ヤード刻みにしたり、持つクラブを換えたりして、さらに距離感を養うようにしましょう。
室内用のパターマットからボールを打つ
アプローチが上達する練習方法のその3は、「パターマットからボールを打つ」です。
練習の仕方は、以下の通りです。
- 室内練習用パターマットを用意する
- カップ(目標)から1ヤードのところにボールを置く
- 持つクラブはサンドウェッジ
- カップイン(チップイン)するようにボールを打つ
この練習を繰り返し行うとチップショットのテクニックとタッチを身につけることができます。
さらにグリーンエッジから下り傾斜に立つピンに向かってアプローチするときや、薄いライからのアプローチで役にたちます。
アプローチ練習器具おすすめ3選【自宅練習用】
自宅で使えるアプローチ練習器具おすすめ製品を紹介します。
※製品選定はGoogleショッピングデータを参考
- ダイヤゴルフ アプローチ名人
- ダイヤゴルフ ダイヤアプローチセット462
- タバタゴルフ 2WAY アプローチ
ダイヤゴルフ アプローチ名人
4種類のアプローチを繰り返して練習できます。高さの異なる4種類のターゲットマークに向かってロブ、ピッチ、チップ、ランニングと打ち出し角度の異なる練習ができます。
オートリターン方式で反復練習ができるので、アプローチの感覚を身につけられます。リターンシート裏面にはダブルメッシュを使用して衝撃(音)を吸収。普段は折りたたんでコンパクトな収納が可能です。
メーカー | ダイヤゴルフ(DAIYA GOLF) |
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製品名 | ダイヤゴルフ アプローチ名人 |
素材 | 本体:ポリエステル、ナイロン 芯材:スチール、塩化ビニル樹脂 |
サイズ | 幅約600mm×奥行約420mm×高さ約1200mm |
特徴 | アプローチの繰り返し練習が気軽にできる練習器。折りたたんでコンパクトに収納できます。4種類の打ち出しの高さが確認できる、「ショット別練習ターゲット」付属。 |
価格 | 6,380円 |
公式サイト | ダイヤゴルフ(DAIYA GOLF)公式サイト |
ダイヤゴルフ ダイヤアプローチセット462
マット、ターゲットミニ、練習用ボールの3アイテムをセットした練習用具。マットは足を載せる部分とボールを置くエリアを含んだ大きさなので、リアルな感覚とずれにくい設計になっています。裏面には滑り止め加工がされています。
ターゲットミニは、練習したい距離に合わせて位置を変えることができます。マット、ターゲットは折りたたんでコンパクトな一つの箱に入るので保管も簡単です。
メーカー | ダイヤゴルフ(DAIYA GOLF) |
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商品名 | ダイヤゴルフ ダイヤアプローチセット462 |
素材 | スタンスマット:ポリエステル、ウレタン、ポリプロピレン ボールターゲットミニ:ポリエステル、スチール 練習用ボール:EVA樹脂 |
サイズ | スタンスマット:縦850×横650mm ボールターゲットミニ:高さ430×幅330×奥行290mm |
特徴 | 自宅でアプローチ練習ができる、ショットマット付きスタンスマット・練習用ボール(12個)・ボールターゲットミニをセットにしたアプローチ練習器です。スタンスマットのアシストラインに合わせて、スタンスの幅とボールの位置を変えることで、ロブショットとランニングショットが練習できます。 |
価格 | 6,600円 |
公式サイト | ダイヤゴルフ(DAIYA GOLF)公式サイト |
タバタゴルフ 2WAY アプローチ
2種類の置き方で、高さの異なるアプローチの打ち分けができる練習器具。かご形の器具を180度回転させると高さが変わります。高さが約68cmのときは落としどころをイメージしたアプローチの練習を、高さ約98cmでは高さをイメージした練習ができます。
ラフとフェアウェイという芝の異なる2WAYアプローチパンチャー(姉妹マット)を使えば、異なるライからのアプローチ練習が可能です。
メーカー | タバタ(Tabata) |
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製品名 | タバタゴルフ 2WAY アプローチ |
素材 | 本体生地:ポリエステル パイプ:スチール ジョイント:ナイロン 滑り止め:EVA |
サイズ | ●「落とし所」をイメージした練習の場合 幅約590×高さ約680×奥行き約980mm ●「高さ」をイメージした練習の場合 幅約590×高さ約980×奥行き約680mm |
特徴 | 2種類の置き方でアプローチの打ち分けをマスター。180度回転させると2種類の角度で設置・練習ができます。①「落とし所」をイメージした練習 ②「高さ」をイメージした練習 |
価格 | 6,160円 |
公式サイト | タバタ(Tabata)公式サイト |
【Q&A】ゴルフのアプローチに関するお悩みに回答
以下では、ゴルフのアプローチについて多い質問・疑問に回答します。
- アプローチでダフる原因は?どのようにしたら直る?
- アプローチでシャンクする原因は?どのようにしたら直る?
- アプローチショットでスピンをかけるコツ・ポイントは?
Q. アプローチでダフる原因は?どのようにしたら直る?
右手首の角度をキープしたままインパクトする
アプローチショットでダフったり、チャックリしたりする主な原因は、インパクト前に右手首のタメが解けるからです。
これを直すには、アドレス時の右手首の角度をキープしたままインパクトすることがポイントになります。右手首の角度をキープ=タメをキープすることなので、ここさえ気をつければまずヘッドがボールの手前に落ちることはありません。
ちなみに、ウェイトシフトをきちんと行って、左足体重でインパクトすることも忘れないようにしましょう。
Q. アプローチでシャンクする原因は?どのようにしたら直る?
フォローでフェースが背中方向を向くよう振り抜く
アプローチショットでシャンクする主な原因は、フェースが開いたままインパクトを迎えるからです。
これを直すには、フォローでフェースが背中方向を向くように振り抜くことがポイントになります。背中方向を向くように振り抜くには、インパクトゾーンでフェースをローテーションさせる必要があります。
そしてフェースがローテーションをすれば、開いたままインパクトを迎えることがないためシャンクしなくなります。フェースローテーションがうまくできない人は、ボールをつかまえる意識で振るといいでしょう。
Q. アプローチショットでスピンをかけるコツ・ポイントは?
フェースをしっかり開きだるま落としのイメージでスイング
アプローチショットでボールにスピンをかけるもっとも簡単な方法は、アウトサイド・インのカット軌道で打つことです。これなら自然とスピンが入り、着弾後、ダラダラと転がる心配はありません。
ポイントはフェースをしっかり開いて、だるま落としのイメージでスイングすることです。気をつける点は、フェースを開いてアドレスするので、そのぶん、左を向くこと。さらにフェースを開くとバンスが最初に地面と接触するため、ヘッドが弾かれないように注意しましょう。
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■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経てフリーのゴルフライターに。レッスンやギアはもちろん、ゴルフの歴史などにも精通。また、無類のスイングマニアで、スイング理論が大好き。ここ数年は競技ゴルフに明け暮れ、毎日の練習を自らに課している。