低いライナードローは“払い打ち”が鉄則

ライン出しで風に強いのがメリット

持ち球としてドロー系を選ぶなら、スピン量が確保できるハイドローがベストだが、強い風の中でラインを出したい時などは、決め球としてロードローも打てるほうがいい、と森プロ。

「ただし、ホーガン・陳清波流のスイング技術を壊さない形でマスターするなら、ボール位置を右に寄せて、上から打ち込むのはNGです。ヘッドの入射角をなるべくゆるやかにして、スピン量を抑える工夫が大事です」

ホーガン流スイングはゆるやかなダウンブローが基本。

「そこでフェースのタテ回転でスピン量を増やすのが陳師匠のハイドローです。だから、ロードローはそのタテ回転を抑えるだけでいい。フェースターンを抑えてスナップを利かせるイメージです」

ハンドファーストを強調してロフトを立てようとすると、手元が流れてシャンクやプッシュが出るので、意識しなくていいという。

① “サイドスロー”が大基本

「効率よくエネルギーを伝えるヘッドの走らせ方、ホーガン流のサイドスローの動きは球筋で変える必要はない。リリースのタイミングを工夫して、押し込めるようにするだけです」(森)

② スピン量を抑えるシャロー軌道

「入射角が鋭いと、スピン量が増えすぎて、逆に吹き上がってしまう。ヘッドの運動ベクトルをなるべく直線的に出せるシャローな軌道がベター。ボール位置も左寄りがいい」(森)

右サイドの“押し込み”がライナーには効果的

パーマー
ロードローが決め球の名手といえば、アーノルド・パーマー。ハイフィニッシュが特徴的だが、右サイド、特に右肩の回し込みが強いライナーを生み出していた。

陳清波
ハイドローの陳清波は、フォローでの左肩のターンを強調。ヘッドが返りすぎず、スイング軸が右傾することなく腕とクラブが高く振り抜けることで、高さを出していた。

<高さを抑えるひと工夫>〝押し込み〟に効くシャットフェース

右手首の背屈によるシャットフェースのトップからは、ダウンでのフェースターンを抑えられる。左手のたぐりを抑え、右手のヒンジングでスナップ動作を強調できる。

トップから腰の高さに下ろすまでフェースがスクエアなら、左手のたぐりが入ったスナップ動作でヒット。フェースターン(タテ回転)でスピン量を増やすことができる。

ハイドローのようにフェースのタテ回転を強調しない方法として、右手のスナップ動作と左肩のターンをシンクロさせると、ヘッドを押し込みやすくなる。

フェース操作の大ヒントパーマー流“左ヒジ浮かし”

“スナップ動作ありき”に左ヒジの“浮かし”で調整

“強打”を信条としたパーマーは、左手甲と右手のヒラの面を目標方向に向けてインパクトすることを強く意識。結果、シャットフェースのトップからヒンジング主体のスナップ動作となった。さらに、フェースターンを抑える意識がフォローでの左ヒジの浮き具合につながり、これが特徴的なハイフィニッシュを生んだ。

低弾道狙いはフックのミスになりやすい

「ドローに限らず、低弾道を打とうとすると、大フックのミスが出やすくなります。ボール位置を右に寄せることが原因です」

ボール位置を右にすると、ロフトを立てて低く打ち出しやすくなる半面、インサイドから鋭い入射角で当たりやすい。

「シャンクやプッシュが出やすくなり、それを警戒するとフェースを返しすぎます。フックになりますが、右に打ち出してごまかしている上級者もいますね。ですが、ラインを出すロードローを狙うなら、ボール位置は左寄りです」

スピン量を減らすため、フェースターンを抑えるには、シャットフェースが有効だという。

「フックグリップではなく、トップで右手首を背屈してシャットフェースにすると、フェースターンの動きが最小限で済みます。ブルックス・ケプカみたいに、フォローで左ヒジを浮かす動きと合わせると、より効果的です」

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)

ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。

イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ


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