ゴルフクラブの「バウンス角」について考える
深読み! ギアカタログ|今回のテーマ【バウンス角】
ゴルフはプレーヤーの技術だけでなく、使っている道具の良し悪し、そして選び方が結果を大きく左右するスポーツだ。この連載では、そのゴルフギアについて深く深〜く「深読み」した話を紹介していく。今回は「バウンス角」について深読みする。
GOLF TODAY本誌 No.594/136〜137ページより
ソールの抜けを左右する重要ポイント
ウェッジに限らず、アイアンでもバウンス角はソールの抜け具合に影響する。接地するソール面エリアと相まって、バウンス効果を決定する。
ソール幅との兼ね合いで実効が変わる
アイアンやウェッジのロフト角を計測する際、シャフトは左右に傾いておらず、ほぼライ角どおりスコアラインを水平にして設置する。その状態で、ソール中央の面と水平線がなす角度を「バウンス角」と言う。
「バンス角」と表記されることも多いが、文字どおり、ソールが地面に刺さらず「跳ねて」抜けるためのものなので、やはり「バウンス角」とするのが正しいだろう。
ウッドやユーティリティは、ソールのフェース際を面取りすることで抜けやすさを演出しているが、ソール幅が狭いアイアンやウェッジは、ソールにバウンスを設けて、地面に潜らないようにするのが有効だ。
ただし、ソール面が広かったり、バウンス角が大き過ぎたりすると、インパクト時にヘッドが跳ねてトップしたり、フェースが被ってフックしやすくなったりする。スイングに合った適正値を探す必要がある。
「バウンス」がクラブ設計で重視されるようになったのは、1932年に名手ジーン・サラゼンがバウンスソール型のサンドウェッジを発表してからだろう。それ以前にもバンカー用のウェッジはあったが、飛行機の翼から閃いたというバウンスソール型は、史上初だった。
このサンドウェッジでサラゼンは大タイトルの勝利を積み重ね、ウイルソンで発売したところ大ヒット。現在のサンドウェッジの原型となったのだ。
以来、バウンスの研究は進み、現在ではウェッジだけでなく、アイアンの機能を左右する重要ポイントとしても認識されている。
昔はソールがフラットな形状のアイアンやウェッジも多かったが、最近は前後左右にラウンドがついたソールが主流。多少のヘッドの入り方の違いは、許容できるようになった半面、バウンス角の計測と実効がわかりにくくなった。
一見、ソール幅が広そうに見えても、ラウンドしていると実際に地面に当たる面積は小さくなる。最近では、スリクソンやクリーブランドのように、山型の2段ソールになっているものも登場している。バウンス角も、厳密にはその当たる実効面の角度を計測する必要があるだろう。
バウンス角の計測方法
ソール面のセンターで、ラウンドの頂点と思われる部分にあてがった平面とフェース面のなす角度を計測。その数値からロフト角を差し引いた数値が「バウンス角」だ。
ヘッドの入射角と打ち出し角をフィットさせる
ソールのラウンド形状も相まって、今ではバウンス角自体が大きいモデルはほとんどない。アイアンなら9度以下、ウェッジでも8〜14度といった数値に収まっている。
昔はバウンス角がマイナスになる「スクープソール」のアイアンもあったが、現在はまったくない。バウンスが跳ねてロフトが減る動きを避ける意図があったようだが、やはりプロでも扱うのが難しかったようだ。
ヘッドスピードが速い番手では、バウンスの形状は比較的シンプルでも問題ないが、アプローチでのライやバンカーの砂質に合わせて選びたいウェッジの場合、バリエーションが豊富過ぎて、逆に選びにくくなっているユーザーも多いと思う。
自分に合ったバウンス形状、バウンス角を選ぶには試打しかないが、それでも独りよがりになりがちだ。
その点で、2019年からスタートした『ゴルフ5』の「ウェッジフィッティング」は、客観的に有効なバウンス選びに役立ちそうだ。
試打データは、指定(基準)クラブを使用して「打球の打ち出し角」「ヘッドのブロー角(入射角)」「インパクト時のライ角」を計測。
取り扱っているウェッジをバウンス角と、実効ソール幅を含めたバウンス効果も考慮して9グループに分けており、計測データから最適なグループのウェッジを紹介してくれるというシステムだ。
このフィッティングの最大のメリットは、自分の好みのフェースの開き方で打ったデータが取れるところだろう。フェースを開くと、バウンス角は数値以上に増やして使うことになるし、ソール面も斜めの方向に動かすことになるので、バウンス効果はかなり変わってくる。
試打用のマットも毛足の長い「ラフ芝マット」なので跳ねすぎず、よりコースに近いバウンス効果のデータが取れるはずだ。
芝の上で試打できる環境が整っている欧米とは異なり、インドアでのフィッティングがメインの日本国内では、画期的な試みだろう。
同様のフィッテイングシステムが標準化すれば、バウンス形状、バウンス角の違いを、よりシビアに判断できるようになるに違いない。
バウンスの効果は形状でも変わる
インパクト時のソールの設置面積とバウンス角の大きさの兼ね合いでバウンス効果は決まる。実効ソール幅が狭ければ、バウンス角が大きくても跳ね方は少なくなる。
フェースを開くとバウンス角は増える
バンカーなどでフェースを開いてロフト角を増やすほど、実質的なバウンス角も増える。自分の使い方に合うか、ウェッジ選びの際にはチェックすべきポイントだ。
文/戸川 景 イラスト/Mercury
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