ボールを打った後の『アレ』を我慢すると、ハーフで3〜4打スコアがよくなる!?
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第6回
前回は距離の長いホールで大叩きをしないための法則「距離のあるホールこそ、2打目で長いクラブを使えるフェアウエーキープが大事」を紹介しました。距離が長いからといってドライバーで飛ばそうとするのは大ケガのもとですよ、というわけです。
つまり、距離のあるホールは方向性を重視する。そのためには、ふだん練習場で打つときも150ヤードや200ヤードをドライバーで真っ直ぐ打つ練習をしておくことが重要とすでに紹介しています。
「でもね、そうはいっても右に池があるときに限って池に入るのよ。そんなときはどうすればいいわけ?」
今回はそんな悩みを抱えるゴルファーに対し、今回もエージシューターの高橋氏がショットでスコアを崩さないための呪文を紹介します。
写真提供/高橋健二
人間は言葉に左右される動物
呪文を紹介する前に、「言わないようにすると、ハーフで3~4打よくなる」言葉を紹介しましょう。これはスコアが90台や100台のアベレージゴルファーによく見られる現象ですが、ときおり80台で回る人にも見受けられます。
そうです、打った直後に「あ~、う~」という声を発する現象です。あの悲鳴とも、恨み節ともつかない「あ~、う~」を我慢すると90台や100台のレベルの人は間違いなくハーフで3~4打よくなります。
人間は言葉に左右される動物です。とりわけ自分が発した言葉は、骨伝導により自分が真っ先に聞き、脳に伝わります。池に入れて「あ~、う~」という言葉を発した本人は、真っ先に自分が聞き、その結果、自分の脳に不安な心理が刻み込まれます。そして、次に池を目にしたときも同じミスが出るのではないかと不安になり、それが手や腕を委縮させてミスを誘発すると考えられるのです。言い換えれば、「あ~、う~」を言わなければ次の不安心理は働かず、ミスも出ず、結果的にハーフ3~4打はよくなるのではないか・・。
そう考えて、私は90を切れないレベルだった当時「あ~、う~」を言わないように心がけたら、いつの間にか80台前半で回れるようになったのでした。
プロや上級者が「あ~、う~」を言わないのはなぜ?
ところが最近になって、プロや上級者が「あ~、う~」を言わないのには、別の理由があることがわかりました。
そもそも「あ~、う~」を発するのはどんなときでしょう?
たとえば、左足下がりでスライスが出た。あるいはボールのライが悪いアプローチでザックリが出た。とたんに「あ~、う~」を口にする人は、まるで、まったく予期しない出来事に遭遇したように発しますが、本当に予期できなかったのでしょうか。
そんなことはありません。
左足下がりではスライスが出やすい、ライが悪いとザックリが出やすいことは、4~5年もゴルフをしていれば経験上わかるはずです。となると、そうしたミスは「予期できなかった」のではなく、「何も考えずに打っていた」ということになりませんか。
実際に、若い頃の私はそうでした。
そこで「このライでは、どんな球が出やすいか」を事前に予想し、その予防策を講じてからショットに臨むようにしました。トップアマと一緒に回ったときに、そうするようアドバイスを受けたからです。左足下がりであればスライスが出ないようフェースを少しかぶせて臨み、ライの悪い状況のアプローチではザックリを警戒してクラブを吊り気味に持ってトゥ部分で打つようにする。だからミスが少ないし、またミスが出ても「あ~、う~」を言わなくなりました。言い換えると、ミスの直後に「あ~、う~」を発するゴルファーは、何も考えずに打っている、その浅薄さを恥じていると言えそうです。
「あ~、う~」は口にしないよう我慢するだけで、ハーフで3~4打はスコアがよくなりますが、事前に出やすい球の予想と予防策を講じてショットに臨むと、ゴルフの質まで違ってきます。それこそが80台のゴルファーへの登竜門と言えそうです。
ミスを未然に防ぐ呪文「3Dの法則」
前にも述べましたが、練習場はミスが出ないように作られているのに対し、ゴルフ場はミスが出やすいように作られています。だから、どんなに警戒してもミスは出ます。ただし、事前にある呪文を唱えることにより、OBや池ポチャなどの大叩きはしなくなります。ゴルフは、ダボ以上を叩かなければ、80台前半では上がってこられるゲームです。90や100を叩いている人は、1ホールでトリプルとかダブルパーを叩く、あるいは連続してダボが続くというミスを冒しています。そういう大叩きをしないための呪文を「3Dの法則」と呼んでいます。この呪文は私の師匠の佐久間馨プロに教わりました。
1D:どうしたいの?
2D:でも何がダメ?
3D:ではどうする?
ショットに臨む前にこの3つのDを自問自答するのです。
たとえば、フェアウエーから2打目残り120ヤード。バンカー越えでピンが手前のとき。
1D:どうしたいの? パーを取りたい。
2D:でも何がダメ? 手前のバンカーに入れる(とダボもある)
3D:ではどうする? 大きめのクラブでセンターに打つ。
こうなりますね。もし、競技などでバーディーを取らなければ予選通過ができないという状況なら、1D:バーディーを取りたい➡3D:ぎりぎりのクラブで手前に乗せる、となり、かりにややショートして手前のバンカーに入ったとしても、それを覚悟で臨んだショットなので「あ~、う~」は出ないはずです。
改めて410ヤードのパー4を想定したシミュレーションをしてみましょう。
(ティーインググランドで)
1D:どうしたいの? パーか悪くてもボギーで上がりたい。
2D:でも何がダメ? 右サイドのOBとフェアウエー左寄り250ヤード先の木。
3D:ではどうする? 2打目で3Wを使いたいので、フェアウェイ左サイドにフェードの球筋で200ヤード先のフェアウェイに運ぶ。
こんな自問自答して臨むのです。この自問自答の3Dの法則は2打目地点でも、3打目地点でも、毎回やります。フェアウエーをキープしてもボールがディボット跡にあるなど、状況がその都度変わるからです。例えば3打目のアプローチがピンを1メートルオーバーして速い下りのラインのパットが残ったとします。
1D:どうしたいの? これは入れてパーを取りたい。
2D:でも何がダメ? 打ちすぎてオーバーすること。
3D:ではどうする? カップぎりぎりにタッチを合わせる。
こう決めてからパットに臨むと、かりに1センチショートしてボギーになっても「あ~、う~」は出ないはず。ただ、飛ばすだけのゴルフではなく、スコアを作るゴルフ。あなたも1度、真剣にやってみませんか。飛距離自慢よりもウンと奥の深いゴルフが楽しめますよ。
高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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