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誰もが参考にしたい!ダボを叩かなくする想像力と警戒心
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第7回
スコアメイク、つまり「スコアを作る」うえで大事なことについて解説。エージシューターの発想を取り込めば、90や100を切れない人でも、ラクに80台で回るマネジメントが手に入れられるという。今回もエージシューターの高橋氏が、納得のスコアアップ術を伝授します。
写真提供/高橋健二
スコアメイクの秘訣はダボを打たないこと
スコアメイク、つまり「スコアを作る」うえで大事なことはダボを叩かないことです。
エージシュートは自分の年齢に挑戦するゲームなので、80歳の人は80で回ればエージシュートです。つまりハーフで4回はボギーを叩けます。
でもダボを1回叩くと、あと2回しかボギーは打てません。
だからエージシューターは極力ダボを叩かないように気を付けてラウンドします。
言い換えると、エージシューターのこの発想を取り込めば、90や100を切れない人でも、ラクに80台で回るマネジメントが手に入れられるということです。もし、あなたが90を切れない、100のカベが乗り越えられないゴルファーなら、1度、自分のスコアカードを見直してください。必ずハーフで1~2回のダボ以上のホールがあるはずです。そのホールをボギーで止めるようにしましょう。今回はそのコツを紹介します。
パーが2つでハーフ「43」
ゴルフを始めた頃、よく誘ってくれた男性誌の副編集長Sさんは、身長が157センチと小柄で、ドライバーの飛距離は170ヤード前後。どこにでもいるオジサンでしたが、ニギリが大好き。しかもドライバーは飛ばないし、特別上手そうにも見えないので、ほとんどの人がSさんの誘いに応じました。もちろん、私もその一人です。
ところがこのオジサン、とんでもない食わせ物で、絶対にダボを叩かなかったのです。全ホールを「ボギーでいい」を決めて臨み、ハーフで2つパーを取ればいいんだよと公言して、実際、その通りにやっていたのです。
ゴルフは、ボギーでいいと考えると、すごく楽になります。
450ヤードのパー4も、230ヤードのパー3も、そのままなら大変距離のある難ホールですが、パー5,パー4となったら途端にバーディチャンスホールに変わります。Sさんのドライバーの飛距離170ヤードでも、ラクにパーオンしてバーディチャンスにつけられるのです。Sさんはこの発想で全ホール、ボギーオンを目指し、そのうち寄せワンのバーディ(実際にはパー)が2つくればハーフ43、3つくれば42でホールアウト。ボギーオンを目指しているのでドライバーは振り回さずにフェアウェイキープ、グリーンを狙うアイアンショットが外れてもへらへらしていました。これで何度、Sさんの餌食になってチョコレートをふんだくられたことか!
ただし、Sさんの組み立てには絶対的な条件があります。前述したように「ダボを叩かないこと」です。いったい、どうすればダボを叩かずに済むでしょうか。それを論じる前に、どうしたらダボになるかを考えてみましょう。
ダボになるケースを分析して徹底的に避ける
OBを打たない
ダボになるケースでもっとも多いのは、1打目のOBと、2打目の池ポチャ・1ペナです。つまりティーショットでのOBは徹底して避ける。これがまずダボを叩かない秘訣です。それにはどうするか? 本稿の1回目で紹介した練習法を実践してください。つまり練習場ではドライバーから練習する。それもドライバーで100ヤード、150ヤード、200ヤードを打ち分け、芯で当てる練習をするのです。これでドライバーを振り回さず、距離と弾道をコントロールできるようになれば、ドライバーショットのOBは激減します。
それが面倒だという人は、OBまでいかないクラブでティショットをする。
またフェアウェイの左右に池とOBがある場合は、池のほうを狙って打つ。OBは入れた途端にダボが確定しますが、池なら入ったところから1打足して打つだけなので、うまく行けばパー、悪くてもボギーでは上がれる可能性が残るからです。
ガードバンカーの目玉を避ける
次に多いのはショートアイアンでグリーン手前のピンを狙って、手前のガードバンカーに入れるケース。あなたも経験があるでしょう? 残り120ヤード、PWでピッタリの距離で、うまく行けばバーディチャンスに付けられるかも、とぎりぎりに狙って墓穴を掘るケース。上手い人ほど経験していると思います。
この場面では、ショートアイアンの弾道が高いために入ったボールが「目玉」になるか、バンカーの斜面に突き刺さってしまうことがあるため、とくに細心の注意が必要です。では、この場面でダボを打たないために何が必要か?
本稿6回目に紹介した「3Dの法則」を実践します。
ボールを打った後の『アレ』を我慢すると、ハーフで3〜4打スコアがよくなる!?
前回は距離の長いホールで大叩きをしないための法則「距離のあるホールこそ、2打目で長いクラブを使えるフェアウエーキープ...
1D:どうしたいの? バーディを取りたい。
2D:でも何がイヤ? バンカーの目玉。
3D:ではどうする? ぎりぎりを狙わず、ピンより大きめに打つ。
120ヤード前後のパー3で、グリーン手前にあごの高いガードバンカーがあるホールで、ピンがバンカーのすぐ上に切ってあるときは、200%目玉を警戒しましょう。設計者はソレを狙っているからです。
距離の長いホールほどフェアウェイキープ
距離の長いホールもダボになりがちですが、それはティショットで少しでも前に飛ばそうと考え、ドライバーを振り回して曲げるからです。いくらドライバーで距離を出しても、林に入れて2打目を出すだけ、3打目の距離が残ったら限りなくダボに近づきます。本稿5回目で紹介したように、距離の長いホールほど、ティショットはフェアウェイキープが鉄則。2打目で長いクラブを使えるマネジメントを考えましょう。
グリーン回りのダフリ・トップ警戒
グリーン回りのダフリ・トップもダボになる確率大です。先日もこんなことがありました。前日に夜まで雨が降っていた翌日のラウンド、私を含め3人の3打目がグリーン手前の花道に残っていました。グリーンは急な傾斜の砲台グリーンで、ボールからグリーンまでの距離は10歩、カラーから10メートル入ったところにカップが切ってありました。ただし、足もとは前日の雨で緩んでいました。
この状況で、私以外の2人はウェッジを持って、1人はダフリチョロしてボールが途中から戻ってきてダボ、それを見たもう1人はトップしてグリーンの奥につけ、下りの速いラインを3パットしてこれもダボ、私は「3Dの法則」を使って、
1D:どうしたいの? ここにつけたらパーを取りたい。
2D:でも何がイヤ? 打ち損じて途中から戻るケースはダボになるからイヤ。
3D:ではどうする? とりあえずパーチャンスにつける。その確率の高いピン下1メートルにつける(下りの速いラインだったので上にはつけたくなかった)。
そう自問自答して足元の緩いライでミスしにくいパターでストローク。上り70センチにつけてパーで切り抜けたのでした。
「3Dの法則」を使うと、次打を予測できます。
ボールのライと、そのときの状況を判断して「パーチャンス」につける。これがダボを避ける、言い換えると「悪くてもボギー」で上がるエージシューターの極意なのです。
3パット防止
ダボで案外多いのが3オン3パットのケースです。ボギーオンでいいと決断して3打で乗せても、そこから3パットしたのでは水の泡です。3オンしたら必ず2パットで上がるように習慣付けましょう。そのためには「2打先を読む」想像力が大事だというのは、私の師匠の佐久間馨プロです。ちなみに「3Dの法則」も佐久間プロの造語です。
2打先を読むとは、前述のダフリ・トップのケースで説明します。私は砲台グリーンの手前からのアプローチでこう考えました。
「このアプローチで最悪なのは、ショートしてボールが途中から戻ってくるケース。次にイヤなのがピンをオーバーするケース。下りのラインが速そうなので、下手をすると3パットどころかグリーンを出て4パットもある」と。そして得た結論が「上ならのパットは50センチでもイヤ、だったら1メートルショートしてもいいから、次は上りのパットになるようピンの下に残そう」と。つまり、目の前のアプローチの次のパットまで考えた。これがよかったのだと思います。
同様にロングパットはラインを読みすぎないことが大事。ラインを読まずにカップを狙います。ボールは低いほうに垂れるので2パット目は「上りのパット」が残るからです。
さらに2段グリーンは、ファーストパットを強めに打つことも鉄則です。ファーストパットが登りきらずに戻ってくると4パットもあり得るからです。そしてキメのショートパットですが、短いパットで大事なことは「引っかけ」注意。ショートパットのミスで多いのはヒッカケだそうで、引っかけるのはパターフェースが被っているから。インパクトではフェースが上を向いた状態で球に当てるようストロークしましょう。
どうでしょうか。ダボを叩かない秘訣は、調子のよいときならいつもあなたが何気なくやっていることばかりだと思いませんか。それをふだんから意識してやっているか、どうか。エイジシューターは決してゴルフの達人ではありません。そこらのオッサンが、あなたよりちょっと警戒心や慎重さを持ってボールに臨んでいるだけ。そのちょっとした警戒心や慎重さが何よりの大事なことを人一倍知っているだけなのです。あなたの次のラウンドの参考になれば幸いです。
高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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