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メンタルに強くなる特効薬、教えます!

100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第8回

2022/04/20 ゴルフサプリ編集部 高橋健二

メンタルに強くなる特効薬、教えます!

現代人にはそもそもメンタルの強い人はいない。なぜなら、歴史的に考えて、メンタルの強い人の遺伝子は恐竜時代にすべて死に絶えてしまっているからだと話すエージシューターの高橋氏。でも、ネガティブをポジティブに変える特効薬を使えば、誰しも劇的に変われるという。

写真提供/高橋健二

80のカベ、90のカベ、100のカベが突破できない原因は本当にメンタル?

ゴルフには80のカベ、90のカベ、100のカベがあります。1ラウンドのスコアがなかなか80や90や100を切れない。ハーフでいえば40は出るのに、39は出したことがないという人です。

友人で20歳年下のY君はその代表的なゴルファーです。先日も8番ホールまで2オーバーできて、最終ホールをボギーなら30台という場面でダボを打って40になってしまいました。それもOBなどではなく、なんでもないアプローチミスと3パットでダボになったのです。多くの人は、Y君のケースを「メンタルが弱い」で片付けてしまいます。でも、メンタルが弱ければ8番ホールまで2オーバーではこられないでしょう。

じつはメンタル以前にもっと重要な問題があります。Y君は最近、練習量が増えてめきめき上達し、コースにも月に2~3回通っています。ドライバーは私より20ヤード近くもオーバードライブします。それでもスコアは私より悪い。なぜでしょうか?ほんとうにY君はメンタルが弱いのでしょうか?

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現代人にメンタルの強い人はいない⁉

そもそも論で恐縮ですが、Y君に限らず、現代人にはそもそもメンタルの強い人はいません。なぜなら、歴史的に考えて、メンタルの強い人の遺伝子は恐竜時代にすべて死に絶えてしまっているからです。

恐竜に怯えて、洞穴の奥に逃げ、隠れていた、メンタルの弱い人の遺伝子のみが生き延びた。だから現代人は全員、メンタルは弱いと考えるのが自然です。当然、いまゴルフを楽しんでいるあなたもメンタルは強くありません。

あなただけでなく、強豪がひしめくオリンピックで金メダルを取る選手も、1打逆転満塁ホームランという場面でホームランを打つ野球選手も、同じようにメンタルは強くありません。そのことをまず頭に入れておきましょう。

「イヤだ」「嫌い」「苦手」「怖い」を「楽しい」「面白い」に置き換える

高橋健二
ポジティブに切り替える高橋健二氏

でも、あいつはメンタルが強いよな、と思う人はいます。

その人たちとY君はどこが違うのでしょうか? 私の師匠の佐久間馨プロによれば、メンタルの強い人は皆さん、ネガティブをポジティブに変える特効薬を持っているのだそうです。その特効薬とは――。

「イヤだ」「嫌い」「苦手」「怖い」を「楽しい」「面白い」に置き換える。

たった、これだけです。

じつは先日、一緒にラウンドしたY君は、最終ホールで3度、ネガティブ発言をしています。まずティーイングエリアで――。
「これ、ボギーだと初30台ですよ。いやー、緊張しますね。怖い感じです」
そう言って、なんとかフェアウエーキープしたものの当たり損ねで距離180ヤード。

3打目、ピンまで30ヤードの砲台グリーン、上りのアプローチでは――、
「イヤだな、上には付けたくないし、といってザックリチョロもイヤだし」
結果はハーフトップして、5メートルオーバーし、下りの速いラインを残す。

2パット目、上り1メートル半のラインで、入れればボギーの場面でも――、
「入らなかったらダボか。苦手なんだよ、この距離」
と言って1センチショート。

ネガティブ発言がすべてミスにつながってのダボだったのです。

これを全部、特効薬通りに言い換えて見たらどうでしょうか。
「おお、ボギーでも30台。初めての経験で楽しいです」
「残り30ヤードのアプローチ、面白そう。ザックリしてボールが途中から戻ってくることだけ警戒し、ハーフトップさせて乗せることを目指します」
「入ったらボギーで初30台。ワクワクするなあ」
たぶん、結果はまったく違ったものになっていたはずです。

同じことはすべての状況で言えます。
「バンカーが多くて難しいコースだ」➡「バンカーが多くて面白いコースだ」
「ディボット跡にボールがある。イヤだな」➡「上手く出せたら楽しいだろうな」
「左にあるOBが苦手なのよ」➡「OBが左にあるから面白いのよ」
どうでしょうか?

「イヤだ」「嫌い」「苦手」「怖い」を「楽しい」「面白い」に置き換えて臨む。それだけで気分はラクになり、なんとなく前向きに臨めそうな気になりませんか。とくにポジティブ語は口に出して表現しましょう。

ネガティブ語は口にしない。ポジティブ語は口にする。これもメンタルに作用します。なぜなら人間は言葉に左右される動物で、言葉にした音声は骨振動により、自分の脳に真っ先に働きかけるからです。

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ミスしたときは過去形で話す

とはいえ、ゴルフはミスをするゲームなので、どんなに警戒してもミスは出ます。ミスが出たら「言い訳をしない」が大前提ですが、言い訳して吐き出したいときは過去形で、語尾に「のだ」をつけて話すようにしましょう。

「ディボット跡だよ」➡「ディボット跡だったのだ」
「3パットかよ」➡「3パットは思ったよりグリーンが速かったのだ」

語尾に「のだ」をつけるだけで、遠い過去に起きたことにように脳は受け止めてくれるそうです。そうやって過去形にすることで、いまの自分と切り離し、新たな気持ちに切り替えられます。メンタルの強い人は、気持ちの切り替えが早い。気持ちの切り替えの早い人は、ミスを過去形にできる人なのです。

追伸

前記Y君のミスを解説した3打目のアプローチの場面、Y君は「上に付けるのもイヤ」だし「ザックリもイヤ」とダブルでネガティブ思考をしています。これが一番ミスするパターンです。ザックリがイヤならハーフトップさせる、ハーフトップがイヤならダフリ気味に当てる――どちらか片方を選択して、腹をくくって臨みましょう。

たとえばティーイングエリアでフェアウエー方向を見たとき、右に池があり、左にOB杭が見えていたらどうするか。右もイヤ、左もイヤ、で臨むと、だいたいミスショットになります。そんなときはどうするか。OBは入れた時点で、ペナルティが付いて3打目を同じ場所から打ち直し、池は、池に入った場所(前方)から3打目を打てると考えれば、どちらを避けたほうがスコア的に有利か考えるまでもありません。その決断をして、決めたら腹をくくって臨む。これもメンタルに強くなる手法の1つです。

高橋健二

高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。


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