番手ごとの「ランの許容範囲」を考えてみる

飛距離アップするには、打球の①初速を上げる、②打ち出し角を上げる、③スピン量を減らすことが考えられる。飛距離優先設計のドライバーなら長尺化やヘッドの低重心化で突き詰めていけるが、アイアンやUTは狙ったキャリーを正確に打てることが最優先のはず。

アイアンで「飛ばせる」と実感するのは、キャリーで遠くまで運べて、ランを抑えて止められたときだろう。実は、この「ランを抑える」イメージを持てることが「飛距離の階段」を作る際の最大のポイントとなる。

どの番手でもランが20ヤード以上出るようなら、狙い打ちはできないと感じるはず。ウェッジなら5ヤード前後で抑えたいだろうし、アイアンでも10ヤード前後では抑えたいはず。UTも同様だろう。

各メーカーの、いわゆる「飛び系アイアン」がズルイと思うのは、ラン10ヤード前後で止められる、最大キャリーを出せるクラブを“みんな大好き7番”に設定しようとしていることだ。

ランを抑えるスペックはロフト角を最優先に選ぶべき

今どきの7番アイアンのレングスは37インチ前後。飛び系アイアンに魅力を感じる一般ゴルファーならヘッドスピード34~37m/sで想定される。

すると、キャリーを最大化できるロフト角は30度前後。これ以上少なくても、キャリーは減るがランは増える、というバランスで、トータル飛距離はごまかせるのだが。

では6番アイアンは?

レングスが半インチ長くなっても、ヘッドスピードは0.5m/sも上がらない。ロフト角26度以下では、ランを10ヤード以内で抑えるのは至難の業だろう。それでも、7番よりはトータル飛距離が出たことになるので、打てる気にはなる。

ロングショットではスピン量を抑える設計のボールが主流となった今、150ヤード以上でランを抑えながらキャリーを伸ばすには、ストロングロフト化ではなく、シャフトの長尺化かヘッドの軽量化でヘッドスピードを上げるべきだろう。実際、UTはこの条件を満たすことでロングアイアンに取って代わったのだ。


「飛距離の階段」ナゼ作れない?―「バランス理論」の盲点

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