スコアとゴルフの関係をちゃんと理解して素敵ゴルファーになろう!
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第30回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
スコア至上主義は狭い世界の便利な価値観に過ぎない
ゴルフをしている人と初めて会ったときの挨拶の一つが
「どのくらいで、プレーするんですか?」です。
ゴルフはゲームです。ハイスコアを競う側面は否定しきれませんから、スコアを問うのは当たり前だといえます。
スコアが良い=ゴルファーとしても尊敬できる、という単純な数式が成立するのは理想的です。だから、そのニュアンスを含めて、どのくらいのゴルフをするのか?と問うのです。
複数の大規模調査によると、20世紀末から21世紀の今日までの約30年間。ゴルフをする人の内、100を切れるのは約半分。90を切れるのは更にその半分。80を切れるのは全体の5%未満。70を切れるのは0.1%程度という割合になるそうです。
スコアップのために、多くのゴルファーは必死の努力をして、時間と費用も費やします。
それが暗黙の了解になって、スコア至上主義の原点になっています。
「上がってナンボ」「スコアが悪い奴の言い訳は聞く意味がない」「スコアが全て」
スコアを誤魔化したり、見栄を張って嘘をついたり、スコア至上主義は、ストイックな信仰のように機能しないと、その人の暗部を最悪の形で剥き出しにしがちです。
繰り返しになりますが、ゴルフはゲームです。
スコアを減らすことを競うゲームです。
それ以上でも、以下でもありません。
スコアが良いから尊敬されて当たり前、という甘えは、危険な思想です。
競技ゴルフが、ワンランク上のゴルフだと考えるのも愚かで、幼稚な発想です。
マスターズを作った伝説のゴルファーであるB・ジョーンズは、言っています。
「競技ゴルフは、ゴルフの一部分に過ぎない」
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ドラコンやニアピンのように、競技ゴルフも、ゴルフという大きな括りの中の一部で、範囲外にあるわけでも、上でも下でもないのです。
ジュニアの頃から競技ゴルフをしていたので、実は僕も、若い頃は競技ゴルフは特別なサンクチュアリだと信じるスコア至上主義に染まっていた一人でした。
しかし、スコアは良いのに、ゴルフの知識は低レベルだという逆転現象が日常茶飯事な競技ゴルファーたちにウンザリもしていました。
経験者だから言い切れますが、スコア至上主義は、ひっそりと隠れて実践すべきであり、他者に強要したりするのは御法度で、スコアに見合うゴルファーとしての見識を身につける努力をしないと、簡単に軽蔑される危険があることを自覚しないと、酷い目に遭うものなのです。
そもそもゴルフのスコアって何なの?
スコアは刻むという意味です。
音楽の五線譜の楽譜もスコアですし、フェースに刻み入れた線はスコアラインです。
ゴルフでも、当たり前のように成績という意味でスコアという用語を使います。
さて、このスコアという言葉は、羊飼い用語だったことは、あまり知られていません。
羊を数えるときの単位がスコアだったのです。
20匹の羊を1スコアと括っていました。今でいうダースとかと同じ感覚です。
44匹の羊を例にすると、「2スコア&フォー(4)」になったのです。
想像してください。
放牧している膨大な数の羊を管理する羊飼いたちを。
ゴルフコースで、ボールを追いかけているゴルファーが、見えない羊を数えてスコアで括っているように見えてきます。
例えば、20は、パー4が、5ホール分です。これを機会に、スコア=羊20匹を意識すれば、あまりにストロークに夢中になりすぎて、一喜一憂するのを笑う余裕が生まれるかもしれません。
「今日の目標は、4スコア(80)を切ること!」なんて、洒落るところから素敵ゴルファーの入り口が開くのかもしれません。
ゴルフ史上、最高の用具と環境でゴルフをしている幸せに感謝せよ!
尊敬している経営者の知り合いは、ゴルフのスコアが悪い人と一緒に仕事はしないようにしている、と公言しています。
ドキッとする話ですが、よくよく聞くと納得できるのです。
「下手くそを自らの怠慢で放置しているようなゴルファーは、例外なく、仕事も同じように中途半端で、自己満足のレベルが低いから」
ゴルフは、本人が望まずとも、人間の本質的な部分を剥き出しにします。
努力しているのに、スコアが良くならないゴルファーと、努力とスコアアップを放棄したゴルファーは、同じスコアでも雲泥の差があり、それは、見える人には見えるというわけです。
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ゴルフには数百年の歴史がありますが、長い歴史の中で、2022年の僕らは、最も良い環境のゴルフコースで、飛んで止められる最高の用具を使ってゴルフをしています。
冒頭で、過去30年のベストスコアの割合を紹介しましたが、30年間だけに注目しても、ゴルフコースも、用具もわかりやすく進化しています。
しかし、ゴルファーのスコアの進化は微々たるものです。
諸説あるのですが、ゴルフ用具がゴルファーにやさしく進化するごとに、ゴルフコースが難しく進化して対応しているからという説が僕は大好きで、支持しています。
ゴルファーの怠慢とか、人が徐々に馬鹿になっているとかいう珍説までありますが、そんなことはありえない、と信じたいのです。
ゴルフ史上最高の用具と環境でゴルフが出来ることは幸せです。
それなのに、スコアに進化がないことは、個々のゴルファーには全く関係がありません。
ただ、思うのです。感謝を忘れた者に、幸運は訪れない、と。
スコアに過剰に縛られるゴルフは、結局、面白さに欠けますが、スコアを完全に無視するのも色々と問題があるようです。
スコアとゴルフの理解がちょうど良いバランスのゴルファーを勝手に『素敵ゴルファー』と命名しています。
令和のゴルフブームで、素敵ゴルファーが増えていく雰囲気をひしひしと感じつつ、ゴルフの歴史と進化に感謝しながら、見えない羊を数えるようにゴルフをしたい! と真夏ゴルフコースで思うのも、ゴルフの内なのです。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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