リシャフト、グリップ交換の「DIY」増加で、中古クラブ購入のリスクも上がってる?
ゴルフライターT島が切り込む!フィッティングショップだから分かるゴルフギア最新事情/第59回
大蔵ゴルフスタジオのフィッターの金子氏
お得な値段で購入できる中古クラブですが、購入に当たっては様々なリスクがあります。今回もゴルフライターのT島氏が大蔵ゴルフスタジオのフィッターの金子氏に切り込みます。
写真提供/大蔵ゴルフスタジオ
中古クラブは値段が安い分、リスクがあることを覚えておこう
T島 先日中古でクラブを買ってグリップ交換したらシャフトが継いで延長してあって、ガックリしたT島です。
金子 ええ!そんなことがあるんですね。
T島 はい。中古クラブあるあるなんですよ。返品しようと思ったら安くしますというので、値引きしてもらいました。
金子 なるほど!早くわかってよかったです。
T島 中古ショップに関わっていたT島なので、こうした話はよく経験しています。
金子 アイアンのフィッティングに来られたお客様のアイアン。番手ごとに距離の差が出ない…と悩んでおられたんですけど、ロフトを測ったら7番と8番のロフト差がほとんどなかったです。
T島 コレもあるあるです。買取の際に番手ごとのロフト角までチェックしないですからねぇ。
金子 あとはライ角がバラバラとかもありました。
T島 調整できるアイアン、軟鉄鍛造素材とかの“あるある”です。買取査定の時に、ネックの調整痕などはチェックしているはずですけどね。
金子 意外な落とし穴がありますよね。
T島 中古ショップを代表してお詫びします。中古ショップが日本で広まってから25年近くなります。一般的なアマチュアゴルファーも利用するようになりましたが、注意すべき点が意外とあります。
金子 そうですね。確かにお値段は魅力的なんですけど、リスクもあるということですか?
T島 残念ながらあります。
金子 他にはどういうリスクが…
T島 やっぱり店の買取査定能力になっちゃうんだけど、シャフトのチップカットの量ですね。特にフェアウェイウッド。メーカーさんのカスタムオーダーなら問題ないけど…
フェアウェイウッドのシャフトを選ぶポイント
ドライバーは頻繁に買い替えたり、フィッティングをしてカスタムシャフトを選ぶ人でも、フェアウェイウッドにはお金をかけな...
金子 フェアウェイウッドにウッド用のシャフトを入れる際、フェアウェイウッドだと例えば3Wだと0.5インチカット、5Wだと1インチカットというシャフトメーカーさんの目安があるのですが、それが意図的に変えられていたり…ドライバーなら先端をカットすることはあまりありませんが、やはり変える場合もあります。
T島 まあ、打ってよければ問題無いんだけどね。
金子 最近は自分でグリップ交換される方、グリップじゃなくてシャフトまで交換される方がいらっしゃいますから。
T島 やはり熟練の職人さんが組み立てるのと、アマチュアが趣味で組み立てるのってかなり違うよね。
金子 違いますね。ヘッドとシャフトを装着する際、シャフト先端部の塗装を剥がしてから接着するんですが、そのまま入っていたの見たことあります。
T島 うーん、今の接着剤は優秀だから抜けたりしないかもしれないけど、かなり危険だよね。
金子 そうですね。塗装を剥がしていないと、接着する力はかなり落ちるはずです。
T島 感覚で申し訳ないけど、中古の95%ぐらいは、メーカーさんが新品で出荷して、そのまま使われた状態で中古市場に入ってくるので、リスクは少ないです。だから、買取時にしっかりチェックされている中古ショップは安心ですよ。
金子 お値段の分、リスクがあることを知っておいて下さい。
新品もリスクがない訳ではない
T島 ただ、新品買ったから全然安心ってことでもない。
金子 T島さん危険な方向に話が…転がっていませんか?
T島 ゴルフクラブの表示ロフトって目安なんですよね。10.5度だからピッタリ10.5度ってことはほとんどありません。
金子 たしかに、そうですね、個体差があります。昔は明らかに意図的に盛っていましたけど。
T島 9.5度って書いてあるけど、測ってみたら11度あるとか(汗)それで、このドライバーはボール上がりやすいというインプレッションになるわけです。
金子 そうですね。公差というんでしょうか…
T島 意図的にやってるんじゃないの?というメーカーさんもありました。でも、カチャカチャ(可変スリーブ)になってから、そうしたことは減った気がしています。
金子 組み立ての際、シャフトを装着する方向の誤差が出る場合もありますし…
T島 我々にとって当たり前でも、皆さんは“えええええええ”みたいなことがたくさんあって困ります。
金子 でもメーカーさんの組み立ての精度も向上していますよね。
各メーカーの組み立て精度は向上してきている
T島 先日、マジェスティゴルフさんの工場を見学したけど、組み立ての工程にムダがなくて、すごい精度で組み立てていて驚きました。
金子 国内で組み立てている場合、安心感ありますよね。
T島 そう、ちょっと感動した。この問題はかなり解決されてきた気がします。
金子 あとは、お客様に伝わりにくいことがあるんです。シャフトの硬さの基準はメーカーによって違うというか、そのメーカーの中でもモデルによって変えてあるとか。
T島 長さの測り方も、60度法とヒールエンド法があって、メーカーごとにどっちを採用しているのか、ハッキリさせていないとか…
金子 T島さん、この流れヤバいですよ。
T島 ヤバいですね。どう収拾して行こう(汗)っていうか、そういう曖昧な中で、皆さん自力でクラブを選ばれていることをまず知ってもらいたい。
金子 そうですね。クラブセッティングの流れが上手く行くことは、普通では難しいと言って良いのでは?と思います。
1本だけ買いに行って、一番いい結果が出たものを買うのは危ない!?
クラブセッティングにおいてパター以外の13本の流れはとても大切。ところが“どうしてこんな1本が?”というクラブが入っている...
T島 メーカーさん何やってんだ!なんて言うつもりは全くありません。だってゴルフクラブってどんどん複雑な要素が増えているのに、お値段が長い目で見てもそんなに上がっていないのです。
金子 メーカーさんの努力の賜ですね。
T島 昔はアイアンセットが普通に25万円とかしてたし…
金子 あっ…T島さんそれセットの本数もある!
T島 まあ8本セットだったりしたけど…それでもねぇ。
金子 皆さん気が付かず使っておられて、なんだかコレだけ調子が悪いと言われる。
T島 そういう1本は、何らかの問題があるかもしれない。
金子 我々は、個体差を利用して、ロフトを指定してヘッドをオーダーします。“地クラブは高い”と言われますが、ヘッドが工場から入荷したら、全品を計測するんですよ。ロフト角、フェース角、重さ、だからお客様にピッタリな素材から組み立てることが出来ます。
T島 そうだね、カチャカチャしてもソールとフェースの角度が変わるわけじゃないので、本当はロフト角は変わらない。
金子 シャフトの先端のカット量も、お客様に合わせますから。
T島 服に例えると、中古クラブ=「古着」。メーカーさんの新品=「吊るし」、大蔵ゴルフスタジオ=「オーダースーツ」とか「オートクチュール」みたいな?
金子 まあイメージはそんな感じで頑張っています。
T島 シャフト交換の際も気を使ってくれるんでしょ?
金子 もちろんヘッドは今までのを使う場合、問題点を調整してからビシッと組み立てます。
T島 あまりに現状が酷かったら、スイマセン…ヘッド使えませんってこともあるの…?
金子 ありました。かなり特例ですけど。
T島 なんの知識が無くても、大蔵ゴルフスタジオならビシッと仕上げてくれるってことね。
金子 はい、フィッティングして、クラブを形にする。これが大切なんで、ビシッとやってます。
T島 まずはフィッティングからですね!
金子 ご予約お待ちしております。
T島氏のプロフィール
ゴルフ関連のライター、動画撮影編集、ブロガー、フォトグラファー、YouTuber的な(笑)、いろいろやってます。ゴルフ、クルマ、カメラ、音楽、映画、ガジェット、が好きです。以前は、店舗の運営、出店、立て直しを25年やってましたが、何故かこんな仕事をしています。
大蔵ゴルフスタジオ
上記動画はT島氏が特派員ブログを勤めている東京都世田谷にあります大蔵ゴルフスタジオの説明。大蔵ゴルフスタジオ世田谷のクラブフィッティングの流れを説明しています。
取材協力/大蔵ゴルフスタジオ世田谷
住所:〒156-0053 東京都世田谷区桜3-24-1 オークラランドゴルフ練習場内
営業時間:11:00〜19:00
定休日:毎週月曜日
TEL:03-6413-9272
https://www.ogs-p.jp/
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