ジュニアもプロも教えることは同じ!アマチュアも活かせる2つのポイントとは
ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.3
一般的には「心・技・体」といわれるが、ジャンボのプライオリティは「体・技・心」。強靭な体力がまずは優先される。
ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーから、次から次へと有望な新人が巣立っている。指導者としても評価が高まっているジャンボは、そもそもジュニアのどこに将来性を見い出しているのか。連載の第3回は「誰も書けなかったジャンボ尾崎」の著者でもある金子柱憲とともに、指導の根底にある「体技心」という考え方ついても掘り下げていく。ゴルフ界を常に牽引する尾崎将司の見つめる未来とは。
GOLF TODAY本誌 No.603/102〜103ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己
指導する内容はジュニアもプロも変わることはない
基本を大事にして、成長期であるジュニアの体の変化を見極めながら、必要な練習を的確にプランニングし、実行に移していく。それがジャンボ尾崎ゴルフアカデミーの基本方針であることは前号で報じた通り。
そこで今回からは、ジャンボの具体的な指導法に迫っていくことにしよう。そもそもジャンボは、ジュニアたちのどこに重きを置いているのか。実際にジャンボが教え子たちを指導する場合、指摘するチェックポイントは数多くある。愛弟子である金子に、そのあたりを挙げてもらおう。
金子柱憲がジャンボの真意を語る
「基本的にジャンボは相手がジュニアだから、プロだからという(立場によってアドバイスの内容が変わる)ことはありません。子供に対する気遣いはあるけれど、指導している内容は、プロに言っていることと同じです。体重移動が出来ているか、腰のキレはあるか。単純に言えばこの2つ。上半身で言えば右手が柔らかく使えているか、左手の3本指はしっかり握れているか。そのうえでしっかり振れているか、振り切れているか、ということになります。
今言ったことがバランスよくできていれば振り切れる。でも調子のいい時は振り切れても、どこかが悪い時はただ振り切れ、と言っても振り切れない。状態が悪ければ、違う動きが出てくるからです。いい球を打っている選手にはほとんど何も言いませんが、できていない選手には『球ばっかり打っていても直んないのだから』と良く言ってますね。
直すには素振りなど、他のトレーニングをしなくてはいけないこともあるわけですから。結果を求めるためには、まずそれなりの『体技心』を備える必要があるからです」。
トッププレーヤーを輩出するジャンボの育成への考え
「体技心」。ジャンボが軍団のメンバーに再三語ってきた、いわばジャンボ軍団の基本ともいえる考え方。「おや?」と思われる方も多いだろう。一般的には「心・技・体」と表現されることが多いからだ。あえて「体技心」と説くその真意を、金子は著書の中でも、再録している。金子自身がハードなトレーニングの中で聞いた「ジャンボの教え」だ。
「強靭な体力がなければ、技術力を高めるハードな練習はできない。高度な技術力がなければ、強い精神力は生まれない」。これはジャンボが、自らの体験から導き出した結論でもある。ジャンボが以前に受けたインタビューの一部を、金子が同書の中に記しているので見てみよう。
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全盛時のジャンボ軍団のオフトレは自宅周辺のランニングからスタート。徹底的な体力トレーニングを目的としていた。
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雨の降った時などは室内で、競技したてでチーム戦をやったり、ゲーム形式で楽しみながらの体力作りをしていた。
金子柱憲がジャンボの真意を語る
「プロゴルフ界に入り、大した努力もしていないのにトップまで上り詰めた。食事やお酒なども増え、体調管理も行わず、ずるずると来てしまった。そのツケがまわったのだと思う。しかし、せっかくゴルフの神様に選んでもらったのだから、このまま終わってしまうことは、自分自身が許せなかった。もう一度、基礎から出直してナンバーワンになろうと思い、まず徹底的に体を鍛え上げた。そうするうちにスイングも以前よりまして、良くなり、再び勝つことができた。そして、勝てると意識が、心をより強くさせた」。だからこそ、体・技・心の順なのだ。
「下半身の動きは、プロにもジュニアにも言いますね。下半身を鍛える場合でも、上半身も鍛えられる全身運動が多い。上半身の場合も、下半身の動きが加わって、同時に鍛えられるものですね。全身運動のトレーニングが、体幹を強くすることにもつながっていく」。
「最近は午前中にトレーニングをやって、午後から練習というパターンが多いようですね。上手くなる選手は、淡々とやっている選手が多い。女子の方が、マイペースでやっている選手が多い印象です。それも一つの才能とも言えます。例外なのが小林夢果。全くのマイペースでジャンボによく怒られていましたね。それでもめげないところが珍しい」。
ジュニアのトレーニングにも、その意思は当然反映されている。
多くのトレーニング機器がジャンボ邸にはある。これらはすべて「習志野のエジソン」と呼ばれるジャンボ自らが考案しDIYで工夫しながら作ったものばかりだ。
伸びる選手と伸びない選手の違い。それは黙々と、自分の練習に集中できるかどうかにもかかっているといえそうだ。次回はさらに具体的な、ジャンボの指導法に踏み込んでいく。
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沖縄合宿も実施した期間があり、多くのジャンボをしたうプロたちが参加していた。
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練習ラウンドで金子柱憲に惜しみなくスイングのポイントをアドバイスするジャンボ。
金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。
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