ゴルファーの3大願望は「クラチャン」「ホールインワン」「エージシュート」!
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第10回
とてつもなく高い目標だと思われているエージシュート。ところがエージシューターの高橋健二氏は、「85歳が85で回ればエージシュートですが、85というスコアは、全部ボギーペースで回って、前半にパーが3つ、後半にパーを2つ取ればいい」と多くの方に達成できるチャンスがある目標だという。そして何よりも大事なのが「85歳まで18ホールを回れる体力をキープすること」と体づくりが大事だという。
今回はいつまでもゴルフを続けるための体づくりの具体的方法を、高橋氏が伝授します。
写真提供/高橋健二
ボギーペースで回ってもエージシュート
ゴルファーの3大願望は「クラチャン」、「ホールインワン」、「エージシュート」だそうです。ちなみに、この3大願望のうち、クラチャンは「仕事を放り出してゴルフばっかりやっている」と嫌味を言われ、ホールインワンは「ラッキーなだけ。実力じゃないよ」と皮肉られます。でも、エージシュートだけは皆さんから褒められます。それは前回述べたように「人生の達人」にして初めて到達できる境地だからです。
そういうと、エージシュートを目標にすることは、とてつもなく高い目標を掲げるように聞こえますが、なんのことはない。エージシュートは「ボギーペース」で回れば達成できるのです。85歳が85で回ればエージシュートですが、85というスコアは、全部ボギーペースで回って、前半にパーが3つ、後半にパーを2つ取ればいいのです。全部ボギーペースでよいと考えると、ドライバーの飛距離は170ヤードも飛べば十分です。距離のあるパー4は最初から3オンを考えて、ドライバーはフェアウェイキープさえしておけばいいのです。
どうです?これならあなたもエージシュートができそうと思いませんか。
ただし、これには2つの前提条件があります。
1つめは、85歳まで18ホールを回れる体力をキープすること。
2つ目は、ダボ以上を叩かないマネジメントを身に付けることです。
このうち、2つめの「ダボ以上を叩かないマネジメント」は、ゴルフに行く回数が増えれば自然と身に付きます。無理をしなくなるのです。あなたがダボ以上を叩いた場面を振り返ってください。ほとんどが、無理をしなくていい場面で無理して大きなクラブを持ったり、必要以上にクラブを振り回して、自滅しているケースではありませんか。
私の経験では週2回以上ラウンドするようになると、ここは無理する場面か、無理しても意味のない場面かがわかるようになり、それにつれてダボは激減していきます。
エージシューターは、大半が週2回以上ラウンドしているので、無理しないマネジメントが自然に身に付いてきます。だからあなたも「エージシュートを目指す」と宣言した時点で、これはクリアできるものと考え、これ以上の説明はしません。
問題は、1つめの「85歳まで85で回れる体力」をキープするにはどうしたらよいか、というテーマです。
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起きる前に布団の中でやる3分間運動
私は現在74歳で、まだ85歳になっていないので、前記テーマに正しくお答えすることはできません。ただし、68歳のときに68で回ってエージシュートを1度達成したエージシューターの端くれとして、こうすれば体力は維持できるという確信に近いものはあります。それを今回は紹介しましょう。
私は現在、毎朝起きる前に、布団の中で3つの運動をしています。
「金魚運動」を100回、「腹筋」を100回、「腕立てプルプル」を100回です。3つの運動に要する時間は3分間です。
すでにやり始めて10年になりますが、お陰でドライバーの飛距離は74歳になったいまも230ヤードをキープ。ラウンドは昨年8月、真夏の炎天下で4連チャンまでやりました。5連チャンも可能だったのですが、小遣いが足りなくなってやめました。
といっても若い頃から健康体だったわけでも、屈強なアスリートだったわけでもありません。むしろ逆で、座り机に原稿用紙を広げて原稿を書く仕事をしていたせいで、ずっと腰痛持ちでした。腰痛とストレスに悩まされ続けた壮年期だったのです。ゴルフを始めたのも、少しでも青空の下に出て運動不足とストレスを解消したいという動機からでした。
ゴルフの連チャンを可能にする「金魚運動」
ところであなたはゴルフの翌日、腰が重くて起きるのが億劫という経験はありませんか。私はもともと腰痛持ちなので、ゴルフの翌日はいつも腰が重くてゴロゴロしていました。
その悩みを解消してくれたのが、エージシューターから教わった「金魚運動」です。
布団の中で仰向けに寝たまま、100数えながら、腰を金魚のように揺らします。これが金魚運動です。腰を左右に揺らすだけですが、100数える頃には重たい腰が不思議なくらい軽くなって、黙っていても布団から出たくなります。ゴルフの連チャンの誘いに気持ちよく応じるようになったのは、金魚運動100回を3カ月ほど続けてからでした。
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飛距離アップに効果のある「腕立てプルプル」
次に始めたのが「腕立てプルプル」です。
じつは私は60歳のときにドライバーの飛距離が180ヤードに落ち、一時ゴルフをやめようと考えました。パー4がパーオンしなくなり、ゴルフがつまらなくなったのです。
ところが、80歳でドライバーを200ヤード飛ばすというエージシューターYさんに出会い考えを改めました。聞くと、毎朝、起きる前に布団の中で腕立て伏せを100回やっているというのです。
「みんな、歳を取ると足腰が衰えるといって散歩やジョギングをするけど、足腰と同様に腕の力も衰えている。クラブを振るのは腕だから、ここを鍛えなきゃダメでしょう」。
Yさんの腕立て伏せは、実際には「腕立てプルプル」でした。腕を立て伏せの体勢をとった状態で、「伏せ」つまりヒジの曲げ伸ばしをせず、肩をプルプル揺するだけです。これなら筋力のない私にもできそうです。早速、私も翌日から、布団の中で腕立てプルプルをやるようになりました。最初のうちは腕立てプルプルで10数えるのがやっとでしたが、3週間目に100回できるようになったら、なんとドライバーの飛距離が200ヤード近くまで戻り、2カ月目には230ヤードまで飛距離は回復したのです。いまも飛距離は、前述したように220~230ヤードをキープしています。
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脊柱管狭窄症を克服、体幹強化につながる腹筋
最後に始めたのが「腹筋運動」です。腕立てプルプルをやるようになった2年後、62歳のときに腰痛が悪化、整形外科医で診察してもらうと「脊柱管狭窄症」の診断を受けました。医者はすぐに手術するといいましたが、手術がイヤで始めたのが「腹筋」です。これも正確には「首の上下運動」というほうがわかりやすいでしょう。
布団の中で膝を立てて仰向けに寝た状態で両手をへその下に置き、首を上下させてみてください。へその下の腹筋がヨコに広がるのがわかると思います。首を上下させると、その動きは腹筋に繋がっていて、腹筋強化に効果があるのです。最初は、息を吐きながら10数えて首をゆっくり持ち上げ、そこで息を止めて再び10数え、それから10数えながらゆっくり首を下ろします。始めた当座はこれを2セットやるのが精いっぱいでした。
2週間後、10セットできるようになると、腰痛はかなり収まり、1時間アスファルトの上に立っていても腰痛が出なくなりました。さらに1カ月後にはイチ、ニー、サンと数えながら首を上下動できるようになり、2カ月後には100回連続して首の上下動ができるまでになりました。
私の場合は、この「首の上下運動」をやめると、また脊柱管狭窄症が再発するのではないかという不安が常にあったため、否応なしに続けていますが、その後、素振りをしていて体幹がやたら強くなったのに気付きました。48インチの長尺ドライバーを振り回しても、体の軸がびくともしないのです。結果、アイアンショットのブレが小さくなり、スコアメイクがラクになりました。ショートアイアンの精度がアップし、アプローチのダフリチョロが激減したのです。
以上が、私が実践している布団から出る前の3分間運動です。
運動は、最初は「非日常」の動きです。でも、毎日やると「日常」の動きになります。ご飯を食べたり、トイレに入ったりする行動と同じです。
それだけでなく、運動することが日常になると、テレビを見ていても内容がつまらないと立ち上げってスクワットをしたり、料理でガスレンジの前に立つとカカトの上下動をしたりと、無意識のうちに体を動かすようになります。散歩のときも、ただ歩くだけでは物足りなくて、道路わきの電柱の間隔が25メートルあると確認すると、2間隔分50メートル小走りに走り、次の50メートルは歩く、というインターバル速歩をするようになりました。
最近、やり始めたのは「エアー縄跳び」です。居間で縄跳びの縄を持たないまま縄跳びの恰好で「跳ぶ」のです。これも100回やると立派な有酸素運動になります。電車ゴルフのときは背負えるキャディバッグを担いでいきます。東京近郊の駅はどこも長い階段を昇り降りしないといけませんが、スポーツジムにお金を払っていく人もいるのだから、ただで筋トレをさせて貰えるのは有難いことだと考えているのです。
どうでしょうか。運動は非日常を日常にしてしまえば、何てことはありません。エージシュートを目指すシニアや、100切り、90切りを目指すあなたのご参考になれば幸いです。
高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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