女子プロがテスト中? ニュースで見た『NX プロト ドライバー』って、どんな性能?
『NX プロト ドライバー』をコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
本間ゴルフの『NX プロト ドライバー』は、ドローバイアス設計のぶっとび軽量ドライバーか? コースに持ち込んで、その真相をレポートする。
撮影/篠原嗣典
『NX プロト』は、目的のために手段を選ばない雰囲気があるドライバーだ!
本間ゴルフと契約するTEAM HONMの女子プロが、ツアー会場の練習場で新しいドライバーをテストしているというニュースを見たのは7月だった。
その直後から、色々なやり取りをしつつ、ニュースで見た『NX プロト ドライバー』を長期に渡って試打することになった。
同時に、『NX プロト ドライバー』は、一般のゴルファーからもモニターを募って、広くテストを展開すると聞いた。
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本間ゴルフは「プロトタイプドライバーモニターキャンペーン」を2022年6月10日(金)より開始する。
『NX プロト ドライバー』の開発コンセプトは、“ドローバイアス設計のぶっとび軽量ドライバー。推奨ヘッドスピードはフレックスRで36〜42m/s”である。
ロフトは、10度のみ。長さは45.5インチ。Sフレックスの総重量は295グラム。というぐらいの情報しかなかったが、面白そうだと思っていた。
予定より少し遅れて、『NX プロト ドライバー』が到着したのは、お盆が終わる頃だった。
『NX プロト ドライバー』を見た時の印象は...
クラブを見て、最初に感じた感想は「外国ブランドの流行りのクラブみたいに見えるな」だった。
『最先端のテクノロジーでヒットしているドライバーへの本間の挑戦』とも感じたし「良いところ取りを狙ったドライバーなのだろうか?」とも感じた。
その原因の一つは、クラウンだ。
カーボン素材が透けて見える仕上げで、世界地図の緯度と経度の線が引かれているように網目模様の凸凹がある。
もう一つは、ソールの中央から後方に台地上に膨らみがあるデザインだ。あのドライバー、と想起させるのである。
総重量については、他メーカーでは、もっと軽いものがあり、それの試打もしているので、特別に軽量だ、という印象は持たなかった。
シャフトには、プロトタイプと印字されていて、少し動かした感じでも粘りそうな感じで好印象を持った。
『NX プロト ドライバー』は、ホンマらしくないけれど、デザインやブラック基調の仕上げなどで、カッコイイと感じるゴルファーが多いはずだ。
秋の新製品の試打の予定が詰まっていたが、早速、コースに持ち込んで打ってみることにした。
唯一の不安要素は、開発コンセプトでも前面に出しているドローバイアスの要素をあまり感じさせないことだった。
個人的には、それはプラスなのだが、ドローはしません、という結果になるのは、書き手として複雑だからだ。
当日は、お天気も良く、ほぼ無風のコンディションで試打日和だった。
打ったことがない渋いドローで240ヤードを楽々打てる『NX プロト ドライバー』
『NX プロト ドライバー』をコースで打って、一発目から3つの驚きがあった。
1つ目は、アドレスした感じでは、あまりドローしない感じなのに、ドロー専用というぐらいしっかりしたドローが、自然に出るということ。
2つ目は、打感が独特で、弾き感が薄く、ボールとフェースの接している時間が長く感じたこと。打音の残響も小さいので、いわゆる鈍い音に感じる。
それなのに、弾道的には強いボールの高弾道なのだ。打った感触としては、打ち出しが低い感じなのに、実際は違うのである。不思議な感じだった。
3つ目は、『何かに当たって、遠くに跳ねたのか?』と考えてしまうほど、飛距離が出たこと。
自分が想定していたボールの位置よりも、20ヤード先にボールがあった。
『NX プロト ドライバー』は、あまり打ったことがない感触のドライバー
『NX プロト ドライバー』は、今まで、あまり打ったことがない感触のドライバーだ。
打感や打音にこだわるゴルファーは、それだけで「ごめんなさい」という結論になるかもしれない。
しかし、ドローバイアスと、飛距離性能はかなり強力で、特に飛距離性能は今まで試打したことがあるホンマのドライバーで歴代1位である。
ドロー専用ドライバーと言って良いほど、ドローがかかる。ストレートに打とうとしても、ドローバイアスに完全に飲み込まれてドローをする。
しかし、フェードについても、しっかり意識して打てば、10ヤードぐらいの幅のフェードは打てるのだ。
近年のドライバーは、数ホール打てば、その癖などがわかった上で、ストレートなボールを打つことが出来るものが当たり前になりつつあったが、『NX プロト ドライバー』は、ラウンドの最後まで、狙い通りのストレートボールは打てず、ほぼドロー、2ホールだけフェードという感じになった。
蛇足だが、フェードでも十分に飛距離が出る。
『NX プロト ドライバー』は、恐ろしいクラブだと震えた。
無理に打たされている感じのドローが、自分の弾道ではないことにも戸惑った。
いわゆる、しっかりと切れるドローなのだ。文学的に書くと、職人技を感じさせるような渋いドローだ。
もし、僕が使うなら、フェードをコントロールする使い方をすると思うが、このドローバイアスだから、ちょっとミスると逆球が出て苦しむかもしれない。
平均でも230ヤード近く打てて、最長飛距離のホールは240ヤードを少し越えた。
ヘッドスピード40m/sの僕としては、かなりの飛距離である。
『NX プロト ドライバー』は、12月までの長期試打をする約束になっている。
その約束をしたときには、気が付かなかったが、本間ゴルフの自信なのだと試打しながら考えた。
ドライバーは、直感的なクラブで、第一印象が最後まで消えないという側面もあるが、ツアープロでも「ドライバーを育てる」という楽しみ方を良しとする流派もある。
違和感や癖は、球数を打って打ち消すのである。
そして、成功体験を繰り返すことで、強い信頼で結ばれるというのが、ドライバー育成の物語だ。
『NX プロト ドライバー』は、育てたくなるドライバーに仕上がっているのである。
僕は試打をする際に、自分が使っているクラブに強い癖があると、クラブを感じ取る眼力が落ちる要因になるので、癖がないクラブをバッグに入れることを意識している。ナチュラルにリセットすることが重要なのだ。
練習場でボールを打つことは、もう何年もしていない。
『NX プロト ドライバー』を育てる環境としては、あまり良くないと思うが、12月まで、機会があるごとにコースに持ち込んで打ってみるつもりである。
もちろん、約束ということもあるが、それ以上に「どこまで飛ばせるのか?」という興味があるからだ。
『NX プロト ドライバー』を試打しながら、「これは、慣れてきて当て方とか飛ぶ弾道がわかってくれば、もっと飛ばせる可能性が高い」と感じていたのだ。
『NX プロト ドライバー』の発売についての情報は、まだ、発表されていないが、ドローが打ちたいゴルファーや、スペック的に僕に近くて、飛距離性能に興味があるゴルファーは、注目して打つ機会を持つことをオススメする。
そして、ドライバーを育てるのも、ゴルフの面白さだと考えているゴルファーにも、『NX プロト ドライバー』を打ってみて欲しい。
『NX プロト ドライバー』は、ちょっと特別感がある不思議なクラブなのである。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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