タイガーコールが鳴り止まない。全英オープンを支えているのはレジェンドへのリスペクトの姿勢か
SDGsとゴルフ|第16回
ローリー・マキロイとキャメロン・スミスの激闘に魅せられた今年の全英オープン。開幕直前、開催コースの近くにあるセント・アンドリュース大学では、多くの市民が集まってセレモニーが開催された。ジャック・ニクラスが聖地セント・アンドリュースの名誉市民になったのだ。
GOLF TODAY本誌 No.605/101ページより
全英オープン開催に合わせて、ニクラスがセント・アンドリュースの名誉市民に
米国人で史上3人目となる名誉市民に
セレモニーに出席したジャック・ニクラス(写真/セント・アンドリュース大学)。
2015年以来となる7年ぶりの聖地開催となった今年の全英オープン。開幕前、会場の近くにあるセント・アンドリュース大学では厳かな儀式が開催された。1970年と78年にセント・アンドリュースでの全英オープンを制しているジャック・ニクラスが名誉市民の称号が贈られたのだ。
ゴルフだけでなく大学の街でもあるセント・アンドリュースの名誉市民になった米国人は、ボビー・ジョーンズ、ベンジャミン・フランクリンに続いて3人目。ニクラスは、「とても光栄なこと」と2005年以来17年ぶりに聖地を訪れ、セレモニーに出席した。
永遠に語り継がれる素晴らしいセレモニー
セレモニーの会場となったセント・アンドリュース大学のヤンガーホール。
パイプオルガンが鳴り響く厳かな雰囲気の中、セレモニーがスタート。ニクラスの表彰に先立ち、リー・トレビノ、ホセ・マリア・オラサバル、カトリーナ・マシュー、ボブ・チャールズ、サンディ・ライルの5人がセント・アンドリュース大学から名誉学位を授与された。
そしていよいよニクラスが名誉市民の栄誉を授賞する瞬間が訪れた。スピーチではセント・アンドリュースの思い出などを振り返りながら、時折声を詰まらせていたニクラス。
最後に「サンキュー、セント・アンドリュース!」と話すと、数千人の出席者は立ち上がり盛大な拍手を送った。
予選落ちが決まったタイガー・ウッズに盛大な拍手
大ギャラリーの拍手にこたえるタイガー・ウッズ(写真/R&Aオフィシャル)。
大会2日目、スコアを大きく落としてしまい予選落ちが決まっていたタイガー・ウッズが18番ホールに登場すると、数万人のギャラリーから盛大な拍手が送られた。
「ゴータイガー」、「サンキュータイガー」など、18番ホールを歩いている間、ずっとタイガーコールが鳴り止まない。
2000年と2005年にセント・アンドリュースでの全英オープンを制したタイガーに、ギャラリーは最上級のリスペクトを示した。
タイガー自身も「ファンの大喝采や温かさに、信じられないような(素晴らしい)気持ちでした」とホールアウト後に語っていた。
“虎”の目にも涙!タイガー・ウッズが聖地18番ホールで拍手喝采を浴びる!!
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継続できる理由の一つは歴史を大事にし、レジェンドを敬う姿勢
トム・モリス・シニアの墓。
セント・アンドリュースの街には、1860年の第1回全英オープンで準優勝、第2回で優勝を果たしたトム・モリス・シニアの墓があり、毎日多くのゴルファーが訪れる。
今年の全英オープンでは、ニクラスがセント・アンドリューズの名誉市民になり、予選落ちが決まったタイガーには多くのギャラリーから温かい拍手が送られた。
歴史を大事にし、レジェンドを讃えるセレモニーの実施や、活躍した選手をいつまでも称え続けるギャラリーの姿勢。
このことこそが、150回以上続きさらに今後も続く全英オープンを支えているのではないか?ゴルフがサスティナブルである根源が、聖地には存在していた。
北村 収
1968年東京都生まれ。ゴルフ雑誌(ALBA)編集部、ゴルフダイジェスト・オンライン メディア部門に所属後、2011年に株式会社ナインバリューズを設立。ゴルフ分野を中心に、取材・執筆・編集からソーシャルメディア、web、Eコマースの企画運営まで総合プロデュースを手掛ける。
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