ミズノの『M.CRAFT OMOI』は、王道ヘッドタイプを極限チューニングした想いの込もったパターである!
ミズノの『M.CRAFT OMOI パター』をコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
ミズノから発売されているニューモデルパター「M.CRAFT OMOI」は、王道のヘッド形状3タイプがラインナップされている。ヘッドタイプごとに、どこが優れているのか? また、どんなタイプのゴルファーに合うのか。試打して考えてみた。
写真/篠原嗣典
二代目のM.CRAFT パターはさらなる重さを得て、進化を遂げた
ミズノは、2022年10月28日に『M.CRAFT OMOI パター』を発売した。
ショートネックのブレードタイプの『M.CRAFT OMOI No.1 パター』、クランクネックでアンサー型の『M.CRAFT OMOI No.2 パター』、ダブルベントシャフトでマレット型の『M.CRAFT OMOI No.3 パター』の3機種のラインアップである。
『M.CRAFT OMOI パター』のコピーは、“重めのヘッドウェイト設計で、安定性と打感が向上した軟鉄鍛造削り出しパター”だ。初代となる前モデルは、オーソドックスで、ツアープロに支給するパターのように繊細にチューニングされたパターで、特に米国のマニアックなパターファンを喜ばせて、大評判になった。そう、満を持しての、二代目の登場なのである。
まず、名称がスゴいインパクトである。『OMOI』は、“重さ”とクラフトマンの熱い“想い”のダブルミーニングだ。確かに、初代の唯一の弱点は軽いことだという指摘はあった。僕は軽いパターが好きなので、気にならなかったが、市場にある削り出しのパターは、概ね重め傾向だったので、軽いという印象になったのだと思う。
『M.CRAFT OMOI パター』の特徴としては、ミズノの軟鉄鍛造アイアンと同硬度のマイルドスチールS25Cが素材であること。「打感と言えばミズノ」を根底から支える素材ということを考えると、他の削り出しパターとは違うというわけだ。
重さは、『No.1』と『No.2』は約15グラム。『No.3』は約28グラム重くなった。フェースは、フィーリングの向上と転がりの良さを追求して、深めのミーリングを採用している。
グリップは、太めなのに軽量の「LAMKIN SINKFIT PISTOL POLYURETHANE(ミズノオリジナル)」を採用した。独特のやさしいグリップ感がある。
ヘッドの仕上げも3種類あり、シルバーの「ダブルニッケル仕上げ」とブラックの「ガンメタルIP仕上げ」は標準として、数量限定のミズノブルーが「ブルーIP仕上げ」となっている。
最後に、『M.CRAFT OMOI パター』には、別売りではなく、専用のウェイトキットが付属しているところにも注目だ。
3グラム、13グラムの交換ウェイトが各2個入っている。(標準で入っているのは8グラム)シャフトの長さを変えたり、グリップを替えたりしたときに、違和感なく使えるように、という考慮なのだそうだ。
こういうところにも、クラフトマンシップという熱い想いを感じて、高額なパターながら、コストパフォーマンスが良いと思わせるのである。
軟鉄鍛造削り出し&重めヘッドで安定!ミズノ「M.CRAFT OMOIパター」登場
ミズノからパターの新製品「M.CRAFT OMOIパター」が登場。2022年10月24日より発売が開始されている。
『M.CRAFT OMOI No.2』は、2番ではなく本当は1番で真っ向勝負なパターである!
順番通りではなく、最初は『M.CRAFT OMOI No.2 パター』のインプレである。
勝手な思い込みだが、本当は『M.CRAFT OMOI No.2 パター』が『No.1』だと感じたからだ。
何と言っても、オーソドックスなパターという意味で、近年ではブレード型とまで言われている形状がベースモデルというか、代表で良いはずなのだ。何度も書くが、『2』という数字へのオマージュで、『No.2』にしたのだという物語が浮かぶ。
アンサー型は、厳密にはアンサーとアンサー2に分かれる。アンサーは、オールドアンサーとも呼ばれる初期モデルだ。ブロンズカラーで、角が少し丸い。その後に、ステンレスヘッドで作られたのがアンサー2だ。やや大きめのヘッドと直線的な部分を増やしたデザインが特徴的である。
タイガーがアンサー2をベースにしたモデルを使用して、メジャーを勝ちまくったこともあって、21世紀では、アンサー型というと、多くの場合で、アンサー2型なのである。他のメーカーがこの形状のヘッドを採用する場合に、オマージュ的な意味で名称に『2』を入れているのだ。
試打をしたヘッドカラーも、他の2本はブラックを選んだが、このパターだけシルバーにした。気分はもうタイガー、である。
『M.CRAFT OMOI No.2 パター』は、アンサー2型のパターとして、お見事な完成度だ。ツアープロに供給されるパターのように、歪みが一切なく、本当に美しい。特筆すべきは、クランクネックとフェースの絶妙な取り付け位置だ。0.5ミリのずれでも違和感が出てしまう部分なのだが、完璧だった。
実際にラウンドで使用してみると、隙がないパターで、特に狙い通りのタッチを出すことに関しては完璧だった。打音と打ち応えがマッチしていて、プロ気分というか、上手くなったような気分にさせるパターだ。
アンサー型のパターはたくさんあるので、機能的な意味での差は出にくい。しかし、『M.CRAFT OMOI No.2 パター』は、それらの多くを、類似しているパターに格下げさせるパフォーマンスを持っている。
『M.CRAFT OMOI No.1』は、こだわりを詰め込んで入るように仕上げたパターだ!
『M.CRAFT OMOI No.1 パター』は、試打ラウンド中長いパットからお手頃な距離まで入りまくった。僕はアンサー型のクランネックパターが苦手で、ダブルベントのパターが不得意なので、3本の中で『M.CRAFT OMOI No.1 パター』が一番打ちやすかったということもあるが、ひと言で書くと、微調整が効くテクニカルなパターとしてお見事だったのだ。
ショートネックで、やや幅があるアンサー型のヘッドのパターだが、ソールのラウンドが大きくて、トゥアップして見えるようにトゥサイドが高くなっていて、かつ、トレンドの前重心傾向になっているのだ。
サラッと書いたが、ぱっと見た感じではオーソドックスなパターの1本に見えるのに、実は最新のパターのハウツーを詰め込んでいるのだ。
狙いやすい。ストロークしやすい。タッチが出しやすい。ライン読みさえ合っていれば、入るのである。
『M.CRAFT OMOI No.1 パター』は、オートマチックにパットするゴルファーにはむずかしいと感じるパターになっているが、テクニックと感性でパットを入れるという考えているゴルファーにはオススメである。一度入り出したら、止まらないというパッティングを支えるパターになるだろう。
個人的には、3本の中で1本を選ぶなら迷わず『M.CRAFT OMOI No.1 パター』だ。最も野性味が強く、じゃじゃ馬な雰囲気すら感じたが、使い手との歴史を重ねていくごとにパターとして完成していくような夢を見させてくれる1本である。
『M.CRAFT OMOI No.3』は、マレット好きために伝統を磨き上げたパターである!
『M.CRAFT OMOI No.3 パター』は、マレット型のパターの伝統的な形状と仕様になっている。
いわゆる名器と呼ばれているマレット型のパターとダブルベントのシャフトはセットだと考えるゴルファーもたくさんいる。
構えた安定感とダブルベントシャフトがフェースに対して、歪みなくセットされていることに最初に感心した。
あまりこだわりがないゴルファーでも、"無意識に"狙いやすさを体感できると思った。
ソールを見ると、トレンドの前重心になっていることがわかるが、テクニカルな部分で活かされるというよりも、オートマチックに使用していく中で敏感な距離感を産む原動力になると感じた。
『M.CRAFT OMOI No.3 パター』を試打して、最も強く感じたのが、しっかりと打ってもいわゆるパンチが入りにくいので安心してパットができることだった。もちろん、ブレードに比べると後方からボールを押して助けてくれる。
試打中に、同伴者がこの形状のパターをエースにしていたので打ってもらったが、持った感じのグリップ感が良いことに驚いて、かつ、滅茶苦茶に狙いやすい!と良いパットをしていた。
「値段が手頃だったら欲しい」というのが、最終的な感想だった。
マレット型のパターは案外と軽いものが多い。重量があるものもあるが、その場合はちょっと鈍感さが目立つ感じになっている傾向がある。面白いもので、それが自分にマッチして満足していることも多々あるので、良いとか悪いとかいう話ではないのだが…
『M.CRAFT OMOI No.3 パター』は、しっかりとした重さがあって、かなり敏感なパターに仕上がっているのである。これは、特別感があって良いと思った。
伝統的なマレット型の形状のパターの利点を完全に踏襲して、削り出しの良さとトレンドを注入したのが『M.CRAFT OMOI No.3 パター』なのだ。
マレット型が好きなのだけど、今までのパターでは、ほんの少しだけ不満があって…というゴルファーに使って欲しいパターである。
3種類の『M.CRAFT OMOI パター』の中では、ミスヒットに強いという意味で、一番やさしいと感じさせるパターだ。むずかしく考えずに、真っ直ぐに引いて、真っ直ぐに打つことに集中したいゴルファーにオススメしたい。
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篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。
東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。
試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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