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同伴プレーヤーがミスしたときは、声掛けよりも『無言のエール』が良い?

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第46回

2022/12/04 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

ゴルフ場,グリーン

ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

写真提供/篠原嗣典

沈黙は金なり!沈黙のエールの伝統を守ってこそゴルフ!

ゴルフ場,カート

2022年は、熱心にゴルフをしている若者が増えて、本当に心強い、と感じるシーンにたくさん巡り会いました。

「ナイスショット以外の声掛けのオススメはあります?」
「ミスショットした友人や目上の先輩にちょうど良い声掛けを教えてください」

声掛けについてのゴルフエッセイを読んでくれた若いゴルファーから、こんな質問やお願いがありました。自分のゴルフに夢中で何も見えなくとも、ギリギリ許されるぐらいのゴルフの経験値しかないのに、一緒にプレーしている人に考慮できるというのは、ゴルファーとしての才能に恵まれているのだと思うのです。

世の中にはゴルフ歴20年を越えても、自分のプレーに無我夢中で、他者への心配りができない『才能なし』のレッテルを貼られている人たちがたくさんいます。ゴルファーとしての『才能あり』であることを讃える意味も含めて、今回はゴルフの声掛けの深層を深掘りすることにしました。

1つの不変の結論とは

ミスをした同伴者に、声掛けをしないのが最善である、ということです。

ゴルフに慣れていないケースでは、気まずい空気感が我慢できずに何らかの声掛けをしたくなるものです。初級者にもなれていない場合は、ミスをした後にシーンとしていると、無視されているようで辛い、ということもあると聞きます。そういうときには、エールを送る意味での声掛けはありかもしれませんが……。

しかしやればやるほど、ゴルフはミスのゲームであり、ミスは必ず起きることがわかってくると、無言のエールを送るというゴルフの伝統に感謝したくなるのです。ミスをしたときに、誰の言葉にもどんな言葉にも、ムッとしてしまうことが増えていくからです。

言い換えれば一人っきりで瞬間的な反省をしたいのに、「何様が、何の権利で、声掛けしているの?」と思ってしまうケースが増えるのです。真剣であるほど、ゴルフにおける喜怒哀楽はコントロールできなくなるからです。

悪気はなく、思いやりのつもりだとわかっていても、ミスで乱れた感情はそれを許せなくなってしまうのです。その結果「悪いけど、○○とは一緒の組でゴルフしたくない」という風になることが、巷ではまあまあのあるある話なのです。

大前提として、ミスをした人に対しての声掛けは『無言のエール』が万能で、最高なのだということを再確認しましょう。まさに沈黙は金なり。良かれと思ったことが、余計なお節介になる悲劇は避けられるのです。

ゴルフの掛け声は共感の形だから、多種多様で良い!

ゴルフの声掛けの基本は、賛辞です。同じゴルフをする仲間だから理解できる共感を形にしたのが声掛けです。

ナイスショット

「ナイスショット」が、最も多く使われていることは書くまでもありません。ちょっと省略気味に「ナイショー」なんて使うケースもあります。「ナイス」だけでも十分に通じますが、「ナイスオン」「ナイスアプローチ」「ナイスパット」のように、使い道はたくさんあります。

グッドショット

「グッドショット」も使いやすいです。「グッショ」と略するのがカッコイイ、という意見もあります。

英語ではなくとも気持ちが通じれば良いのです。結果を見てからでも良いのです。「さっきのドライバーショットは、すごかったです」とか日本語で話すのも、広い意味で声掛けです。「良いドローだね」仲間内でプレーしているときには、こんな風に具体的な賞賛をすることもあります。

「ナイス読み」です

対象者が目上の人の場合、体育会ゴルフ部出身ゴルファーだと敬語を使うこともあります。
「ナイス読み」は一般的ではありませんが、読むのがむずかしいラインのパットを入れた場合には、個人的には使います。まあ初対面でも相手のゴルフのレベルがそれなりであれば通じます。

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多くの場合は周囲をちゃんと見て、一歩遅れても良いので仲間やベテランの声掛けに合わせて発生すれば十分なのです。そういう中で、経験値を増やしていけば何ら問題はないというわけです。

懲りすぎて誤解を生まないように、十分に注意した上でオリジナルの声掛けを使い熟すのも1つの理想ではあります。しかし定番をきちんと使えることのほうが、確実で現実的だといえます。

色々な声掛けを使いたいと気を遣う意味で考えられることは素敵なことですが、残念ながら声掛けは極めれば極めるほどに、パーソナルなものになっていく傾向が強くなります。そして定番を使い熟すほうが上手い下手の基準になったりもするのです。

自己満足にならないことと、相手との信頼関係があれば声掛けは無限!

ゴルフ場,ティーショット

「結局ゴルフは誰とするか?ということが大事なんだよ」ベテランゴルファーがよく口にする言葉です。

ゴルファーとして色々な掟や工夫などがあるのは、「またこの人とゴルフがしたい」と思ってもらうためだと言えるのです。もっとわかりやすく書くと「二度とコイツとはゴルフしたくない」と嫌われないためのマニュアルが、掟や工夫というエチケット・マナーとして伝承されてきたのです。

ゴルフは同じメンバーと、4時間〜6時間も密な時間を過ごすゲームです。全く知らない者同士でも、お互いを理解しやすいという利点もあるので、ビジネスでもゴルフは使われますし、互いを深く知ろうというチャンスとしても有効なのです。

気心知れた仲間とのゴルフは、密な時間が、さらに濃密になるプライスレスな時間になります。こういうシーンのゴルフは、いわゆる無礼講が通用することもあります。こういう時の声掛けは、仲間との絆を深めるためのエネルギーになったりするのです。

例えば、仲間がトップしてしまったとします。まあまあ転がって行けば「蛇殺し!」と声掛けします。地面に食い込む勢いのトップは「モグラ殺し!」です。

トップ目に当たってコロコロとボールが転がって距離的にはちゃんと飛んだという場合は、「銀座の花屋!」と声掛けをします。これは銀座の花屋は蘭(ラン)で稼ぐ、という有名なゴルフの洒落の応用です。

かなりの腕前の場合で、無言のエールを求めていないと確信がある仲間のミスヒットには、「珍しい!」と声掛けをすることもあります。相手の反応を確認しながら、楽しい時間を過ごしましょう。

親しき仲にも礼儀あり、という悲劇もあります。Aさんが言うのはセーフだけど、Bさんが同じことを言うのは腹が立つなんて理不尽も、仲間内だからこそ起きてしまうのです。失敗したときは、「ごめん!」と大袈裟に謝りましょう。そうすることで空気を悪くせずに、ちゃんと弁明もできます。傷は浅いほうが治りも早いので、失敗がわかったら即、謝罪がオススメです。

気心知れた仲間であれば数ホールで互いの地雷もわかりますし、面白がって盛り上がるポイントもわかるはずです。

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まとめ

声掛けは両刃の剣です。ミスの前では、無言のエールという最強の武器を使うのが基本ですが、初心者の中には、無視されたと感じて凹むことあるようなので、ガンバレ、という種類の声掛けが有効なこともあるようです。

万民に通じる声掛けは基本通りが無難で、応用を楽しむためには一緒にゴルフをするメンバーが重要なのです。それでも、相手との信頼関係は敏感に確認し合うことが不可欠です。

結局声掛けの極意は、観察力だと言えそうです。相手のショットを見て、ボールの行方も見て、表情などから感情も察して、推測する力です。ゴルフでは、レベルが上がるほど頼りになるのが観察力です。

声掛けを通して観察力を鍛えているのだと考えられれば一石二鳥で、WinWinです。お得だと感じた人は、実行あるのみです。




篠原嗣典

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


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