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ところで、ゴルフ場への到着時間はスタートの何分前が正解なの?

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第50回

2022/12/23 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

杭

ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。今回は、ゴルフを始めたばかりの人が迷いがちな「ゴルフ場への到着時間はプレーの何分前が正解?」がテーマです。

写真提供/篠原嗣典

タイパ優先の時代、時間を無駄にしないためにコース到着30分前の中身は十分なのか?

ゴルフ場,ティーイングエリア

2022年の春頃からタイパ優先の時代がやってきたと、よく耳にするようになりました。
タイパとは、タイムパフォーマンスの略です。コストパファーマンスにかけた造語で、時間を大切にする考え方という意味で使われます。

今の若者は、無駄な時間を嫌う傾向が強いと分析しているレポートがたくさんあります。その1つの現象が、映画やドラマを倍速にして見ることなのだそうです。ついでに、ネタバレOKで、物語の結末までを知った上で視聴する傾向もあるそうです。

つまらないとわかっているものや、自分の好みのエンディングにならないものに時間を費やすのは無駄ということなのです。作り手は、それを意識して映像で伝えるのではなく、できるだけセリフで全てを説明するシナリオにする傾向が強くなっているとか。

この数年、楽曲を作る際にイントロが長いとそれだけで聞いてもらえないというトレンドを見越して、イントロは最小限で、いきなりサビから始まる“サビ頭”の曲が大量に作られているそうです。その手法が若者に響いて、ヒット曲の多くがそれに当てはまる現実とリンクします。

ちなみに僕らも10代、20代の頃は無駄な時間がもったいない、と強く感じていて、大人たちが強制するダラダラした時間に抵抗したりしたものです。タイパを意識するのは、今も昔も変わらないような気がします。

前置きが長くなりましたが、今回のテーマは『ゴルフコースに到着するのはスタート何分前が正しいの?』です。

30分前到着はギリギリ?

ゴルフの神様がいると僕は考えていますが、神様は容赦なく残酷です。無駄な時間を浪費するのは嫌なので、スタート時間ギリギリという人は、若者よりおじさんに多いような印象があります。

ゴルフの神様はギリギリが嫌いです。プレー中でもギリギリを好む人には、徹底的にストロークを浪費させます。

ギリギリで間に合っていてセーフじゃないか、と胸を張っている人もいますが、その裏にはコースのスタッフの必死のフォローがあるのです。それがわからない人には、心から同情します。

当の本人は家からプレーできる服装で来場し、スパイクレスシューズも履いているので、フロントでチェックインすれば、ロッカーに行かずにスタートホールに直行できる、というのです。しかし、車寄せで預けたキャディーバッグを運ぶのも、ゴルフカートに乗せるのも、コースのスタッフです。

彼らは効率良く、たくさんのお客様のバッグを運び、間違いがないようにゴルフカートに積むために日々、鍛錬をしています。お客様から預かったものは確実に丁寧に扱いますが、移動などは1つずつ運ぶのではなく、いくつかをまとめるのが普通です。

たった一人のワガママのために、スムーズな流れを断ち切って大急ぎで対応するのは、迷惑行為に過ぎないのです。30分前到着が好ましい、というセオリーを口にする人が増えていますが、準備をしてもらう意味で30分前到着は最低限だと考えると良いと思います。

もう一つ、スタート時間はカートに乗り込むのではなく、オナーがティーショットを打つ時間なのです。スタート時間前にはティーの周辺で準備を始めるのは、当たり前のこと。ゴルフの規則でも定義されている基本です。

ゴルフコースの朝、30分の準備時間では足りない人が少なくないような気がします。フロントでチェックイン、貴重品を預けて、ロッカーでシューズに履き替えたり、持ち物チェックをしたり、トイレを済ませたり、身だしなみを点検したりするかもしれません。

30分前到着で準備万端にするハウツーを身につける努力をしたとしても、そこがギリギリのボーダーラインのような気がするのです。

遅刻したときに本当に起きる3つのパターンを知る覚悟はあるか?

「遅刻したって、スタートが遅れるだけだから気にしすぎだよ」知ったかぶって、こんなことを言う人がいます。

確かにスタート枠が空いている時期のゴルフコースなら、スタート時間を調整してもらってセーフ、ということもあります。到着が遅れそうだと、電話連絡などをちゃんとすることが最低限のマナーになります。

しかし、キャンセル待ちが出ているような繁忙期のゴルフコースは甘くありません。遅刻した場合には、コースにもよりますが、3つの選択肢の内、1つが強制されることになります。

(1)先程のスタート時間を調整してくれるパターン。
スタートからどのくらい遅れたかにかかわらず、最終組のスタート時間ということもあります。

(2)到着している人たちだけでスタートして、遅れた人は途中から合流というパターン。
複数の組で予約している場合は、基本的にはこのパターンが採用になります。キャディーバッグと当事者をスタッフが途中のホールまで送ってくれて、途中から合流です。その分のホールをプレーすることはできませんが、料金は18ホール分支払います。

(3)プレーお断り、お帰りください、というパターン。
キャンセル料があるコースだと、キャンセル料が発生することもあります。遅刻した人に非があるので支払うしかありません。

とにかく、遅刻はしないことです。損をすることばかりで何一つ得はありません。例えば事故渋滞に巻き込まれたという理由があっても、それは認められません。

プロのツアーを参考にしてもわかりますが、ゴルフで遅刻がセーフになる例は、全員がコースに辿り着けていないときだけです。ツアーでは、スタート時間にティーにいなければ失格ですので(これはゴルフ規則で決まっているので、全てのゴルファーが対象)、理由は無関係なのです。

事故とか、工事で道路が封鎖されていて遠回りとか、立ち往生とかが理由にならないのは納得いかない、と憤る人もいます。でも、それを見越してちゃんと時間前にコースに着いているゴルファーが一人でもいれば、全ては虚しい言い訳で理由にならないのです。

ガチゴルファーたちはコースに着く前からゴルフをスタートさせている

ゴルフ場

「ガチゴルファーの先輩からスタート1時間前到着が基本だからね、って言われて困っている」という話を聞きました。

ガチゴルファーというのは、スタッフも客も中国人で日本風にアレンジしてない中華料理屋をガチ中華ということから派生した言葉のようです。妥協せずに真剣にゴルフを追求している真面目なゴルファーが、ガチゴルファーの定義です。

昭和のゴルファーは、1時間前到着を叩き込まれました。もちろん遅刻しないためですが、昭和の時代はクラブハウスが開くのと同時にレストランもオープンしたので、朝から大宴会なんていうことも珍しくはなかったからという背景もありました。

そうではなくとも朝からしっかりと練習をしたりする場合は、1時間前到着でも時間が足りないこともありますので、最低でもそのくらいの時間には到着ということになります。

何よりも1時間の余裕というのは、トラブルに対応するために重宝するのです。遠回りしても、コースに遅刻しないで済みます。

令和のゴルフコース事情だと、クラブハウスがトップスタートの30分前に開くなんてことが当たり前になっています。つまり、ゴルフコースも30分前到着を前提にしているということになります。

僕はトップスタートが好きなので、シビアに30分前到着の現実に直面していますが、スタート時間がゆっくりめのときは、今でも1時間前到着を基本にしています。単純に遅刻をしたくない、というのが第一の理由です。

それに朝スタート前にたっぷりと時間があることで、色々なことができます。練習グリーンは、普段できないロングパットが何時間でも練習できますし、ある程度の腕前まではパットの練習量はゴルファーを裏切らないので、やればやるほど上手くなれます。初級者のゴルファーにはオススメです。

コースを眺めながら、好きな缶コーヒーをゆっくりと飲むことで、ゴルフのスイッチを入れるというゴルフ名人もいます。ボールを打つときだけではなく、ゴルフをスタートさせる自分なりのルーチンも、スコアを高いレベルで安定させるためには不可欠なのです。

それを考えれば自然と、朝に余裕がないことは恐怖になります。

準備する時間もプライスレス

ゴルフは極めるほどに、準備で勝負するゲームだと感じるといいます。ガチゴルファーのゴルフは、スタート時間の遙か前から始まっているのです。前日までに消耗品の欠品を補充しているのは当たり前で、その日のゴルフでやってみたいことがあれば、その準備も前もってやるからできる可能性が増すのです。

タイパを優先する気持ちはわかります。でも、ゴルフコースで過ごす時間に無駄はないのです。だから、ゴルフコースの到着時間は、早ければ早いほどお得なのです。

何もすることがない、というのは準備が100%終わっているということです。100%準備できているゴルファーなんて、一人も存在しません。100%を目指しますが、完璧がないのがゴルフです。なんだかの不備が出てくることが、ゴルフの醍醐味でもあるのです。

つまり何もすることがない、というのは勘違いなのです。逆にいえば、そんなことだから下手くそなゴルフに甘んじてしまうのです。

バッグの中身を点検するだけでも意味はあります。ストレッチも、しっかりやれば10分なんてあっという間です。コースを見つめながら、ボーッとしながら飲み物を飲んだり、一服したりするのはプライスレスな時間になりますし、本当に贅沢な過ごし方です。

仲間で集まるなら尚更です。スタート前のゴルファーほど希望に溢れた人種を僕は知りません。現実を突きつけられる前の幸せを仲間と共有しましょう。ワイワイガヤガヤする時間は、1時間でも足りなくなるというものです。

ギリギリは、ゴルフでは御法度で、恥ずかしいことなのです。単純に余裕を持ってゴルフコースに着くようにするだけです。常々書いているのですけれど、ゴルフの早起きは3打の得なのです。

まさにプライスレス。ゴルフスコアが20良くなる魔法の一言

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篠原嗣典

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

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