テーラーメイド プレーヤーズアイアン物語〜Pの血統と骨格〜
飛ばしだけでは語れないゴルフ道具の真髄に迫る |TaylorMade NEW P700 SERIES IRONS【PR】
1979年、メタルウッドを開発しその精密なる弾道を世に問うて以降、テーラーメイドはメタルウッド、すなわちドライバーの開発に秀でたゴルフクラブブランドだと認知されてきた。
しかし、テーラーメイドの創設者、ゲーリー・アダムスが追い求めてきたのは、単に際立ったロングディスタンスだっただろうか?
テーラーメイドというブランドが Tailored(テイラード)したかったものの本質を、もう一度見つめ直してみたい。
GOLF TODAY本誌 No.608/73〜80ページより
取材/ゴルフトゥデイ編集部 撮影/田中宏幸、ゲッティイメージズ
【第一章】ウッズの加入でハッキリとした、プレーヤーズアイアンの骨格|Woods said. “ i always like the harder, deeper feel of it.”
アイアンの開発には「正解がない」とよく言われる。各ゴルフブランドが上級者モデルほどアイアンの選択肢を多く用意しているのがその証明である。まず最初に、テーラーメイドの考えるプレーヤーズアイアンの骨格を探ってみたい。
高すぎる王者の要求と、その裏にある、学び
タイガー・ウッズがナイキとのクラブ契約を終え、チームテーラーメイドの一員となったのが2017年である。
ドライバーやフェアウェイウッドのフィッティングは当初からうまくいったものの、最後まで時間を要したのがアイアンのモデル開発だった。
テーラーメイドの開発チームは、ウッズの求めるアイアンの理想像を把握するために幾つものプロトタイプを作り、王者のニーズを把握して行った。
柴崎高賜
テーラーメイドゴルフ株式会社
ハードグッズプロダクト
シニアマネージャー
テーラーメイドゴルフ/プロダクト担当 柴崎高賜氏 「テストは主に6番アイアンで行われましたが、タイガーのために作られた試作モデルの数はとにかく膨大だったと聞いています。タイガーとのテストを通じて明確になってきたのは、「(1)フィーリング」「(2)デザイン」「(3)パフォーマンス」を完全に彼の好みに一致させなければ、決して使ってはもらえない、ということ。ほんのわずかな厚みや形状の変化によってすべてが変わってしまうということでした」
もちろん、他のプレーヤーとの関わりを通じてこの三要素の重要性はわかっていたことではあるが、ウッズのアイアンに対する感度は際立っており、髪の毛一本よりも細い形状的な微差を見抜くほどだったという。
タイガー・ウッズのパーソナルモデルとして開発。スコッティ・ シェフラーはこのアイアンにチェンジしてから世界No.1プレーヤーに上り詰めた。バックフェースにタングステンウェイトが内蔵されているのが特徴。
柴崎氏 「タイガーは2018年に初めてのテーラーメイドアイアンTWフェーズ1プロトを使用し、翌年に限定で一般発売もされたP7TWにスイッチ。現在も変わらずに使用しています。一度OKが出たフィーリング、デザイン、そして性能をいつでも変わらず提供するために、機械加工による精密製造を取り入れたモデルでもありました。このタイガー専用アイアンの開発ではかなり苦労しましたが、そこで得た開発陣の知己はその後のアイアン開発に大きな影響をもたらすことになりました」
ソフトではなく"より深い"打感。フィールと性能はリンクする
ヘッド形状、ソールと地面のコンタクト、フェースへの乗り感、スピンコントロール性など、テーラーメイドのアイアン開発に大きな気づきを与えたタイガー・ウッズのアイアンへのこだわり。
『P7TW』アイアンの特徴は各番手のバックフェースに高密度のタングステンウェイトを内蔵していることである。これについてタイガー・ウッズ本人が次のように感想を話している。
基本的には自分の打点の後ろにタングステンウェイトを入れてもらっている。こうすることで好きだった硬めの打感が、より深いものになったような気がするし、弾道の一貫性もアップした。長年探し続けてきた理想にたどり着いたんだ(ウッズ)
一般には軟鉄鍛造アイアンのフィールをソフトと表現することが多いが、ウッズは硬い、深いと表現。それこそが開発チームに大きなヒントを与えているのだ。
柴崎氏 「厳密にいえばトッププレーヤーが理想とする「(1)フィーリング」「(2)デザイン」「(3)パフォーマンス」には違いがありますが、打点の真裏に大きなウェイトがある構造は幅広いゴルファーに福音をもたらすものであると考えています。その発想が新しいP7MBやP7MCにも取り入れられているのです」
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NEW P7MBの開発には、ローリー・マキロイのフィードバックが存分に活かされている。
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P7MCにスイッチして全英オープン優勝を果たしたコリン・モリカワ。
トミー・フリートウッド、スコッティ・シェフラーなどトップランカーに成長したプレーヤーが、タイガーモデルのP7TWを選択。
打点と重心が近づくことで得られる、深い打感と安定性。ウッズの加入がもたらした最大の変化である。
ゴルファーそれぞれの理想を満たす欠かせない三代要素 〜FEEL・DESIGN・PERFORMANCE〜
FEELとは打感・打音、 DESIGNは重心設計や見た目、 PERFORMANCEは弾道と訳すことができる。当たり前といえば、当たり前すぎる開発指針だがスコアリングクラブたるアイアンには、プレーヤー毎に譲れない明確な理想像がある。
タイガー・ウッズを筆頭に世界最高峰で戦うトッププレーヤーに向き合って開発されているのが、テーラーメイドのP700シリーズ(プレーヤーズアイアン) である。
【第二章】あえて外し、あえて曲げられる。プレーヤーズアイアンの資質|C.Morikawa said. “ i've switched to P7MCs as i can find the center of the face easily.”
ゴルフクラブのやさしさとは何か?アイアンの多様性と自分にとっての最適を考える時に必ず自問自答すべきことである。
誰かにとっての難しさは、誰かにとっては大いなるやさしさなのかもしれないのだ。
芯を感じるからこそ、操れる。最高峰のスコアリングギア
柴崎氏 「テーラーメイドP7MBとP7MCの開発コンセプトを簡潔に言うなら、ミスヒットを過度に救おうとしないことでしょう。
芯を外せば、必ず弾道が変わる。そういう風に作っておかなければなりません」
ゴルフクラブは時代とともに大きな進化を遂げてきたが、その進化の大半が許容性・寛容性をアップさせることを目的としている。
例え、芯を外してもその周辺で打っている限り、ボール初速も落ちないし、余計なサイドスピンも入らない。だから、やさしいでしょ!と、進化の道を突き進んできたのだ。
柴崎氏 「しかし、このミスヒットに対する高い許容性を難しいと感じるプレーヤーたちがいます。それが世界最高峰のツアーで戦うトッププロたちです。
彼らは常に芯で打っているわけではなく、アイアンではとくに意図して打点を芯の左右や下目にズラすことで、ボールを曲げ、スピンを増やし飛距離をコントロールしてプレーしているのです」
打ち損じではなく、あえて打点を変える。そうすることで打ち出し時のスピン量が変化し、弾道を左右に曲げたり、高低をコントロールすることができるわけだ。
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【NEW P7MB】バックフェースのマッスル部の形状を変更。前モデル(右)に比べ、最厚部をフェースセンター寄り(打点裏)に持ってくることで、芯を感じ取りやすく、また芯で打った時の効率がよくなり一貫性が高まっている。
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【NEW P7MB】ローリー・マキロイのフィードバックに基づき、ブレード長を短めに変更。従来モデルよりスコアラインをネックに寄せ、ふところでしっかりボールをホールドできる印象に。
柴崎氏 「NEW P7MBでは、P7TWでのインプットを活かしてバックフェースのボリューム部を打点の裏側に持ってきています。タングステンは内蔵していませんが、最厚部をセンター付近に位置させることでP7TWと同じ効果を狙っているのです」
センターヒットでのパフォーマンスを強調するほどに、あえて打点をズラした時のフィールや弾道変化にも気付きやすい。これによって、よりメリハリの効いた打点と弾道コントロールができるというわけだ。
柴崎氏 「NEW P7MB、P7MCともに従来モデルに比べブレード長を短くし、コンパクトヘッドに仕上げています。これもよりプレーヤー自身の操作性を上げることに繋がっています」
2021年の全英オープンを制したコリン・モリカワは、その前週までアイアンショットの不調に悩んでいたがP7MC('20 モデル)をテストしたところ、芯で捉える感覚が蘇ってきたという。
芯の手応えを感じればこそ、芯を外した時の変化をコース攻略の武器にすることができる。単なるキャビティではなくMuscle Cavityであることが重要なのである。
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【NEW P7MC】MBモデルよりもわずかに許容性が高いマッスルキャビティモデル。 NEW P7MCではトップブレードが薄めになったが、キャビティ部上部を薄肉化し前モデル同等の周辺重量配分(許容性)を確保している。
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【従来モデル】コリン・モリカワのフィードバックによってトップブレードが薄く設定され、ブレード長も短くなっている。
低スピン化が著しいボールの世界。アイアンは今、どうあるべきか?
NEW P7MB、P7MCに加えられた新たな進化もまた、さらに弾道のコントロール性を上げるものである。
柴崎氏 「アイアンモデルでは非常に珍しいことですが、NEW P7MB、P7MCではウェッジのようなミーリングフェースとスコアライン(溝)を採用しています。これによってボールのカバーとのホールド感をさらにアップさせ、バックスピンがより多くかかるようになっているのです」
機械加工で平面精度と溝のシャープさが増したことで、さらにスピンコントロールしやすくなったとも言えるが、これはフィーリングのキープのためでもある、と柴崎氏は説明する。
近年、ゴルフボールのロングショットでの低スピン化が著しく、アイアンの開発では逆に過度の低スピン化を防ぐ工夫が必要になっているのである。
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番手毎のフルショットベースでの適正スピン量を一貫して生み出すために、フェース面の状態をウェッジレベルに精密加工。最新ボールとの組み合わせで使用した時に、最適弾道を実現するための技術革新である。
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あらゆるヘッドスピードで高いスピンコントロール性が要求されるウェッジでは、機械加工による平滑なフェース面とシャープな溝のエッジが標準搭載されている。
柴崎氏 「とくにテーラーメイドTP5・TP5 xボールではロング、ミドルアイアンでの適正スピン化を独自の5層構造によって達成しています。理想弾道を提供するためには、ゴルフボールの進化に合わせゴルフクラブも変えていく必要があるのです」
変化ではなく、キープするための技術革新もある。最大飛距離のためではなく、精密に弾道コントロールするために選ばれる、プレーヤーズアイアンならではの開発背景といえよう。
【第三章】テーラーメイドのプレーヤーズアイアンであることの証明|Performance where golfers need it most...
ゴルフクラブブランドの多くが、多彩なモデルバリエーションをアイアンカテゴリーで展開しているのは、それだけアイアンに求められるパフォーマンスが多岐に渡ることの証明である。オーセンティックなMB/MCとは異なるニーズ。そこにこそ挑戦すべき開発的な価値がある。
クールな見た目と革新の打ちやすさ。〝ギャップ〟こそが革新の証明
柴崎氏 「プレーヤーズアイアンの開発の中でデザインも重要なポイントの1つとお話ししましたが、そのデザインには構えやすさや安心感を抱かせる形状、サイズというだけでなく、所有感を満たすカッコ良さという点も含まれています。P770アイアンを見てこのアイアンカッコいいけど、マッスルだから難しいよねって言った女子選手がいましたが、いやいやコレは中空構造、十分やさしいですよって説明し、打ってもらったことがあるんです。そしたら本当だ!このやさしさ中空だって(笑)
見た目と弾道パフォーマンスにギャップがある。それがMB/MCとの大きな違いになると思います」
複数のマテリアルを適材適所に使い、中空ボディとソールのスピードポケット構造によってメタルウッドのような初速性能と低重心化を達成する。テーラーメイドが得意とする許容性と飛距離アップの革新性がNEW P770、P790アイアンには詰まっているのである。
柴崎氏 「単なる中空構造ではなくスピードフォームエアによって薄肉フェースをサポートし、高初速エリアを広げながらも打感・打音も向上させています。見た目やフィーリングはマッスルテイストで、打った時の弾道はそれとは異なる革新的なもの。それが我々の狙っているいい意味でのギャップなのです」
完全番手別設計に表れる、受け継がれる弾道哲学
番手毎の最適弾道を的確に生み出す最新テクノロジー
従来モデルよりも軽量化された「SpeedFoam™Air」を中空ボディ内部に充填。これによってさらに薄肉フェースのしなやかさを活かして、初速とフィーリングの向上を両立させている。内蔵タングステンウェイトはロングアイアンほど重く。これによって重心高のフローを最適化して、さらに番手毎の理想弾道を生み出せるようになっている。
従来モデルではロング番手で高重心になるフローだったが、NEW P770ではボディの軽量化と内蔵ウェイトの最適化によって、ロングほど低重心の適正フローになっている。
より適正キャリーが可能に!NEW P770の番手別重心高さに注目
そしてもう一つ、テーラーメイドらしいアイアンの開発哲学がNEW P770、P790アイアンには注ぎ込まれている。それが理想的な番手別設計である。
柴崎氏 「アイアンはセットで使うものという大前提から、基準番手を開発しそこから前後の番手にフローさせるのが一般的な開発手法ですが、テーラーメイドではまず各番手に望まれる性能(弾道)、役割を明確にしそれを達成するための設計、構造を考えています。簡単にいえば、ロングアイアン、ミドルアイアン、ショートアイアンでは同じアイアンといっても求める機能が違うでしょう?ということです」
テーラーメイドがSET IS DEAD(セットは終わった)というキャッチコピーで売り出したのが、確か『バーナー・アイアン』(2010年)だった。飛ばしたい番手と狙いたい番手の明確化。それぞれの理想弾道が描ける一本の集合体。それが新しいアイアンの形であるべきだと宣言したのだった。
ロング〜ミドルには初速、打ち出しの向上と低スピン化に効果がある貫通型スピードポケットを搭載。ショート番手はソリッドなノーマルソールで高スピンを提供。
柴崎氏 「例えば、NEW P770では高い初速性能と打ち出し角度のアップが必要なロングミドルアイアンにはソールに貫通型スピードポケットを搭載。8番からピッチングにはポケットなしのソールにしています。重心設計もロングアイアンほど低重心にしスピン量を適正化。ショート番手は逆にしっかりとスピンが入る高重心でグリーンにピタリと止めることが可能です」
軟鉄ボディとすることで、ロフト・ライの調整が可能。調角ができることもプレーヤーズアイアンには欠かせない機能。
プレーヤーがニューアイアンに寄せる期待は人それぞれ。各番手に求められるパフォーマンスもそれぞれ。新しい発想と技術で理想弾道を提供する。それこそがブランド創設者ゲーリー・アダムスが掲げたテイラード・トラジェクトリーの開発哲学である。
【最終章】追いかけ続ける、人それぞれの理想弾道|Select Fit for Tailored Trajectory
P700シリーズアイアンのモデル数字に隠されたプレーヤーニーズとは?
ゴルフ道具の進化は、製品開発だけに止まらない。フィッティングする革新システムの開発も進化の両輪である。
テーラーメイドから始まった最適弾道を探し出すシステム
元々フィッティング用に開発が進んでいたヘッドとシャフトの脱着システム。
ゴルファーそれぞれの最適弾道を提供するならば、ゴルフクラブのスペックを明確にし、製品そのものも精密に生産する必要がある。それがテーラーメイドの創設者、ゲーリー・アダムスがメタルウッドの開発に挑んだ理由であった。
個体差が著しい木製ヘッドではなく、精密なステンレス鋳造ヘッドに。ソールにロフト角を刻印することで、ゴルファーが理想とする弾道と適正ヘッドの関連性を可視化した。試打クラブと同じスペックを提供することも、フィッティングシステムの一つだった時代があったのだ。
2023 SELECT FIT SYSTEM
【SELECT FIT KIT】ヘッドとシャフトを簡易に脱着し、あらゆる組み合わせを実際に打って試せるフィッティングシステム「セレクトフィット」は、2007年頃テーラーメイドの本拠地カリフォルニア州カールスバッドで産声を上げた。現在、その最新システムが全国のセレクトフィットストアに配備されている。ヘッド、シャフトのマッチングだけでなく、ライ角・ロフト角の違いも専用ホーゼルによって試打検証が可能だ。
ブランド創設から40年以上が経過し、テーラーメイドのフィッティングシステムも大きく進化した。ヘッドのウェイト可変機能、シャフトスリーブによって弾道調節するFCTスリーブもその一つだ。
もともと、脱着可能なシャフトシステムは的確なクラブフィッティングを行うために考案されたものだった。
2000年代の初めSELECT FITの名称でテーラーメイドが運用を始めたフィッティングツールの一つだったのだ。
今、この日本でも全国約55店舗の『セレクトフィットストア』で最新のSELECT FIT KITを使ったアイアンフィッティングを受けることができる。
ラウンドで最も多く使用するのがアイアンである。大きな飛距離ではなく、正確なキャリーを探しに出かけてみてはいかがだろうか。
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