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アマチュア女子シニアが奮闘!日本チームがアジアの大会で2位!個人戦では優勝!

日本人が「アジア太平洋ゴルフ連盟」主催の「女子シニアアマチュア選手権」初代チャンピオンに!

2023/01/05 ゴルフサプリ編集部 小関洋一

笑顔の3選手

笑顔の3選手

このところ競技人口が増加するアマチュアの女子シニア競技。2022年には、「アジア太平洋ゴルフ連盟」主催の「女子シニアアマチュア選手権」が新たに始まり、初代チャンピオンに日本選手が就きました。

画像提供/日本ゴルフ協会

経費はほぼ全額自己負担も、「面白そうだから」と出場

アジア太平洋ゴルフ連盟(APGC)という団体は良く知らなくても、松山英樹・金谷拓実・中島啓太が優勝し、翌年のマスターズの出場権を獲得した「アジア・パシフィックアマチュア選手権」の主催者と聞けば、アジア太平洋地域を代表する競技団体であることは理解されるでしょう。

APGCは他にも女子の「アジア・パシフィック女子アマチュア選手権」(2021年大会では橋本美月が優勝。翌22年の「オーガスタ・ナショナル女子アマ」や「エビアン選手権」「全英女子オープン」の出場権を獲得)。日本ツアー、並びにアジアンツアーの公認競技「ダイヤモンドカップ」などの主催者でもあります。

APGCは2006年から毎年「APGCシニアアマチュア選手権」を開催。宮崎のトム・ワトソンGCで行われた2018年大会は、日本がチーム戦を初制覇しています。

その「シニアアマチュア選手権」に、昨年(2022年)、女子の選手権が発足。「第1回APGC女子シニアアマチュア選手権」が11月22日~24日の日程で、マレーシアで開催されました。そして、その初代チャンピオンに、日本の近賀博子(おうが・ひろこ)選手がなったのです。

もっとも、第1回大会とあってか、規模はまだ小さく、参加は5つの国と地域からの13名だけ。日本からは近賀のほか、鈴木智子と田中真弓の3選手が出場しました。3選手は大会の1か月前、10月27日・28日に行われた日本女子シニア選手権の1位と2位タイの選手。近賀選手によれば、直後に日本ゴルフ協会(JGA)から大会参加の打診があったそうです。

ただし、公式なナショナルチームではないため、経費はほぼ全額選手の自己負担。今回、併催の男子シニアに日本選手の出場がなかったのは、上位選手に時間的余裕がなかったことと、この経費負担が障害になったようです。

一方女子の3選手は、近賀選手を中心に旧知の競技ゴルフ仲間で、「せっかくの貴重な機会ですし、『この3人だったら、面白そうだから行こうか』となりました。そして、JGAさんと話し合うなかで、JGAさんも私たちに敬意を払って対応してくださるようになり、最初は予定していなかった支援金やユニフォームを支給していただきました」(近賀選手)

白バイ先導のVIP待遇に感激

2位になった日本チーム。左から鈴木智子氏、田中真弓氏、近賀博子氏
2位になった日本チーム。左から鈴木智子氏、田中真弓氏、近賀博子氏

大会が始まって近賀選手がまず驚いたのは、クアラルンプールのオフィシャルホテルから会場のゴルフ場までのアクセスが、白バイ先導の“VIP待遇”だったこと。「高速道路を使って約30分の道のりですけど、白バイに先導されたので、混んだ道もすいすいでした」と嬉しそうに話します。

競技は、オーストラリアの3選手が年齢はやや上ですが、いずれも強豪。なかでも、個人戦で最終的に近賀選手が逆転するスー・ウースター(Sue Wooster)選手は、22年の全米シニア女子アマチュア選手権で2位になるなど世界的なプレーヤーでした。

ただし、オーストラリア側もローハンディキャップ揃い(選手のプロフィールにHDCPが記載)の日本を意識していたのでは?と近賀選手は振り返ります。

「1日目。私は78だったんですけど、智ちゃん(鈴木智子)が『頑張った~!』と言って帰ってきたので、『えっ! どうだったの?』って聞いたら、『2アンダー(70)!』って言うから、『すげーっ!』ってなって(笑)。それから3人で頑張って優勝しようね、と盛り上がって、とてもいいチームだったと思います」(近賀選手)

残念ながら、チーム戦(各日、上位2選手の合計スコアをチームスコアとして集計。3ラウンドの合計で競う)は、1日目はリードしたものの、地力に勝るオーストラリアに逆転を許し、最終的に4打差の2位に終わりました。

23年度の開催にも期待したい

「22年度JGAナショナルチーム慰労会」で特別賞を受賞した近賀選手。左はJGAの池谷正成会長
「22年度JGAナショナルチーム慰労会」で特別賞を受賞した近賀選手。左はJGAの池谷正成会長

一方の個人戦は、近賀選手が2日目に74、最終日も75と好スコアを連発。対するウースター選手は最終日に81と大きく崩れ、近賀選手が逆転勝利したのです。

「最終日は同じ組でしたから、彼女のプレーを間近に見させてもらいました。とても勉強になりました」と近賀選手は語る。彼女は社会人になってからゴルフを始めた“遅咲き”。

にもかかわらずシニア入り2年目の昨年(22年)、「関東女子シニア選手権」の初制覇に続いて、「日本女子シニア選手権」、さらに25歳以上の日本一を競う「日本女子ミッドアマチュア選手権」と立て続けに初優勝。そして、今回の「アジア太平洋」の女子シニア選手権の初代チャンピオンになりました。

「自分でもビックリ」(近賀選手)の素晴らしいシーズンでしたが、彼女の口から語られるのは、惜敗したチーム戦の話がメイン。「ナショナルチームではありませんが、日本の代表としてプレーしたことに興奮しましたし、楽しかったです。機会があれば、また3人でリベンジしたいね、って。(次のシーズンに向けて)とてもいいモチベーションになっています」(近賀選手)

JGAによれば、23年も開催予定ですが、時期も会場も未定とのこと。女子のシニア競技は、このところ参加選手数が年々増加。熱を帯び始めています。「アジア太平洋」を舞台に始まったこの選手権が選手に広く認知されれば、さらなる発奮材料になることでしょう。




小関洋一

小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て、フリーランスのライターに。テレビ誌・トレンド誌などで、主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。現在はゴルフ誌を中心に内外の最新トレンドを伝えたり、ゴルフ場のレポートを担当している。東京ゴルフ倶楽部の年史製作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。

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