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初年度の1位はタイガー・ウッズで800万ドル。米ツアーの全12試合ある「Elevated Events」の意味と目的

今年から米ツアーの賞金総額やボーナスが今年から大幅に増額!

2023/01/17 ゴルフサプリ編集部 小関洋一

ゴルフ場

2023年の米ツアーを語るときに欠かせない新しい用語があります。
「Elevated Events」―最近は「Designated Events」(指定競技)とも呼ばれています―という、年間12試合が該当するカテゴリーです。
「Elevated」を直訳すると「格上げされた」ということで、国内の一部メディアは「格上げ競技(試合)」と呼んでいますが、広く流通した呼称はまだないようです。米メディアが「Designated Events」という名称を多く使うようになれば、「指定競技」の呼称が定着するかも知れません。「格上げ」もしくは「指定」という用語が使われるのにはちゃんとした理由があるのですが、その前に、該当するトーナメントをチェックしておきましょう。

賞金総額は基本的に2000万ドル(約26億円)

ロリー・マキロイ
写真提供/R&A

「Elevated Events」は全12試合ですが、それにメジャー4試合と“第5のメジャー”と呼ばれる「ザ・プレーヤーズ選手権」を加えた全17試合のリストと日程を紹介します。

●セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ(1月5日~8日)
●WMフェニックス・オープン(2月9日~12日)
●ジェネシス招待(2月16日~19日)
●アーノルド・パーマー招待(3月2日~5日)
●ザ・プレーヤーズ選手権(3月9日~12日)
●WGCデル・テクノロジーズ・マッチプレー(3月22日~26日)
●マスターズ(4月6日~9日)
●RBCヘリテージ(4月13日~16日)
●ウェルズ・ファーゴ選手権(5月4日~7日)
●全米プロ選手権(5月18日~21日)
●ザ・メモリアル・トーナメント(6月1日~4日)
●全米オープン(6月15日~18日)
●トラベラーズ選手権(6月22日~25日)
●全英オープン(7月20日~23日)
●フェデックス・セントジュード選手権(8月10日~13日)
●BMW選手権(8月17日~20日)
●ツアー選手権(8月24日~27日)

全12の「Elevated Events」は、初戦の「セントリーTOC」で既に始まっていますが、すべてのトーナメントで賞金総額が昨年より大幅増額されました。

その額は、他のツアー競技の倍以上の2000万ドル(約26億円)。それゆえの「格上げ競技」という名称なのでしょう。

なお、出場選手が限られた「セントリーTOC」は1500万ドル。最終戦の「ツアー選手権」はシーズンチャンピオンを決める大会で、より巨額のボーナスが用意されています。昨年は優勝したローリー・マキロイが1800万ドルを獲得しました。

PIP獲得の人気選手に出場の義務

タイガー・ウッズ
写真提供/R&A

「格上げ」は賞金だけではありません。米ツアーは、昨年から「プレーヤー・インパクト・プログラム(PIP)」というボーナス制度を実施しています。各選手が、メディアやSNSでどれだけ取り上げられたかを数値化し、その上位選手にボーナスを支給する制度です。

もともとは米ツアーのLIVゴルフ対策で、人気選手の流出を防ぐために設けられたと言われています。初年度の2021年は総額4000万ドルを上位10選手に分配。1位はタイガー・ウッズで800万ドル。2位はフィル・ミケルソンで600万ドルをそれぞれ獲得。しかし、フィルは直後にLIVゴルフに移ってしまいました。

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2022年のPIPは総額1億ドルに増額され、上位20選手に分配されることになっています。1位は2年連続でタイガー。1500万ドルを獲得。2位は、シーズンチャンピオンのマキロイで1200万ドルのボーナスをゲットです。

このボーナスですが、アメリカのメディアが伝えるところでは、選手には今月(1月)、各25%だけが支給。残り75%は、それぞれPIP選手としての義務を果たしたあとに支払われるようです。

その義務というのが、全12の「Elevated Events」と、先のリストに載せたメジャー4試合と「ザ・プレーヤーズ選手権」の計17試合(出場資格が得られなかった試合は除外)。さらに、各選手が選択する3試合の合計20試合に出場すること。

つまり、PIPのボーナスを満額獲得するには、原則的に年間20試合に出場しなければならないのです。「指定競技」という名称は、この出場義務の規定から生まれたものなのでしょう。

ただし、自動車事故のケガが完治していないタイガーは免除。また、「Elevated Events」1試合の欠場は認められています。初戦の「セントリーTOC」でさっそくこの規定を使ったのがマキロイでした。

ちなみに、今年の米ツアー競技は週番号のウィーク1からウィーク34まで、34週にわたって開催されますから、20試合に出ても14週間は休養できます。それでも、3月と6月は3試合でプレーしなければなりません。PIP対象選手にはタフなシーズンになりそうです。

もっとも「米ツアーは、選手に20試合の出場を強いてはいるが、その義務を果たせなくてもPIPのボーナスは満額支給するだろう」と推測するメディアがありました。

果たしてどうなるのか?今年の米ツアーはそのボーナス額が大きいだけに、PIP対象選手の動向は少なからず話題になりそうです。




小関洋一

小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て、フリーランスのライターに。テレビ誌・トレンド誌などで、主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。現在はゴルフ誌を中心に内外の最新トレンドを伝えたり、ゴルフ場のレポートを担当している。東京ゴルフ倶楽部の年史製作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。

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