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松山英樹らスリクソン契約プロが次々に米メジャーを制覇「スリクソンがゼクシオを抜くなんて!」

【第32回】商品開発はドラマ!ブランド誕生から20年。ダンロップの「顔」に成長した世界戦略ブランド

2023/09/16 ゴルフサプリ編集部

SRIXON Zアイアン

ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話を、メーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はSRIXON Zアイアン(ダンロップ)が主役のストーリー。

GOLF TODAY本誌 No.615/70〜71ページより
写真/ゴルフトゥデイ編集部 取材・文/嶋崎平人

アイアン売れ筋ランキングで国内メーカートップに!自社兄弟ブランドのゼクシオに勝る人気

アイアン

いまや常にアイアン売り上げランキングで上位に入る「スリクソン」ブランド。現在、高い人気を誇る「スリクソンZアイアン」の初代モデルで、2012年に発売された「スリクソンZ925」アイアン。

最新の「ゴルフクラブ売れ筋ランキング」をみると、ドライバー&フェアウェイウッド部門ではピンやテーラーメイド、キャロウェイといった海外メーカーが上位を占めているが、アイアン部門では国内メーカーであるダンロップ(住友ゴム工業)が上位に名を連ねている

アイアンはある意味〝日本のお家芸〟であり、国内メーカーが安定した支持を受け続けているが、かつて圧倒的人気を誇っていたのは、言わずと知れた2大メーカーである、ミズノとブリヂストン。この2強に取って替わり、今、国内メーカーの中で最上位に立つのがダンロップだ。

注目すべきは、メーカーを代表する「ゼクシオ」シリーズよりもさらに上に「スリクソン」(スリクソン ZX Mk Ⅱ)がランクインしている点。

この快進撃の始まりといわれる、2012年発売の「スリクソンZ」アイアンの誕生秘話について、株式会社ダンロップスポーツマーケティング企画本部広報部部長・浅妻肇氏にお話を伺った。

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浅妻肇氏

2012年発売の「スリクソンZ」アイアンの誕生秘話について語ってくれた、株式会社ダンロップスポーツマーケティング企画本部広報部部長・浅妻肇氏。

「スリクソン」はダンロップの世界戦略ブランドで、1996年に誕生した。当初はボールを中心に展開しており、クラブが最初に登場したのは、2002年のウッド「スリクソンW-201」と、アイアン「スリクソンI-201」。

この頃、ダンロップでは2000年に立ち上げたアベレージ向けブランド「ゼクシオ」が絶好調で、他社を圧倒するブランドに成長。

新ブランドが会社の業績を押し上げる一方で、「スリクソン」のアイアンはプロ・上級者をターゲットとして毎年新商品を発売していたが、なかなかヒット商品が出ずに苦しい時期が続いていた。

この状況を打開すべく、「プロや上級者の声をもっと聞こう」とそのリアルな要望を開発に生かす機運が高まってきた。さらに、2008年に米国「クリーブランド」を買収したことで、海外契約プロの声も届く環境が整い、開発へフィードバックしていった。

「クリーブランド」契約プロたちの「スリクソン」アイアンへの切り替えは思うように進まなかったが、「スリクソン」をグローバルブランドとして米国へ広めたいとの思いが強かった。

松山英樹を代表する契約プロが次々に米メジャーを制覇!

アイアン

「スリクソンZ」アイアンの原型となった、2009年発売の「Z-TX」アイアン。「Z」は〝究極の、上級者〟を表し、これが「Z」シリーズの誕生である。

「スリクソンZ」アイアンのスタートとなったのは、2009年発売の「Z-TX」アイアン。

契約プロの意見を取り入れ、「飛び」と「コントロール性」にこだわった競技者向けのアイアンであり、「Z」は〝究極の、上級者〟を表し、これが「Z」シリーズの誕生である。ちなみに「TX」は究極のツアーモデルという意味が込められておりTour Extremeが由来。

この「Z-TX」アイアンは契約プロの小田孔明、星野英正、さらに当時アマチュアであった松山英樹も使用。1種類のみの展開で、プロ・上級者の幅広い要望には応えてきれていないという懸念材料こそあったものの、構えやすい状、抜けの良いソール、番手ごとのスコアラインの溝形状、打感など、プロ・上級者の要望に対応したノウハウが蓄積された

当時のアイアン開発部隊は少数精鋭で、若手を含めて精力的に開発が進められた。海外プロを含め、プロ・上級者の意見をさらに取り入れる中で、タイプ別にそれぞれ異なる設計が不可欠であることが明確になり、2年の開発期間をかけ、新しいコンセプトのアイアンを作り上げた。

その努力が結実したのが、2012年に発売した「スリクソン Z」アイアンである。

3タイプをラインアップ

各種のアイアン

小振りなマッスルバックの「Z925」、軟鉄鍛造ハーフキャビティの「Z725」、軟鉄鍛造複合ポケットキャビティの「Z525」と、タイプの異なる3種類を用意。

それぞれのプレーヤーの〝イメージ通りの弾道で、果敢に攻めたい〟という要望を最大限に生かすため3タイプをラインアップ

「Z925」は力強い弾道で狙える小振りな軟鉄鍛造マッスルバック、「Z725」は自由自在にコントロールできるイメージの軟鉄鍛造ハーフキャビティ、「Z525」は弾道設計の軟鉄鍛造複合ポケットキャビティの3種類だ。

Zのあとに続く桁の数字でモデル名を表しており、最初の9、7、5はタイプ、次の2は2002年の年号、最後の5は開発ナンバー。ダンロップの兄弟ブランドである「ゼクシオ」が引き続き圧倒的強さを誇っており、当時社内での影が薄かった「スリクソン」ブランドの存続をかけた商品であった。

名実ともにダンロップの屋台骨ブランドに

Zシリーズアイアン

それぞれのプレーヤーの〝イメージ通りの弾道で、果敢に攻めたい〟という要望を最大限に生かすため3タイプをラインナップ。Zのあとに続く3桁の数字は、最初の9、7、5はタイプ、次の2は2002年の年号、最後の5は開発ナンバーを示している。

当時の状況を表しているのが、アイアンの売れ筋ランキング(ゴルフ用品界調べ)である。

「スリクソン Z」が発売される前の2002年6月の1位は「ゼクシオ」で、「スリクソン」はベスト20位にも入っていなかった。7月発売後の9月のデータでは「Zシリーズ」が堂々の3位に!「スリクソン」が名実ともに上級者ブランドとして認知された証拠であった。

同シリーズはほぼ2年ごとに新商品を出して、ダンロップのプロ・上級用アイアンとして進化。最新モデルは2022年の「ZX5 Mk Ⅱ」「ZX7 Mk Ⅱ」、マッスルバックは2023年発売の「Z-FORGED Ⅱ」となっている。

ドライバーに比べて、脚光を浴びることは少ないアイアンだが、「スリクソン」のアイアンは契約プロがメジャーで使用し、勝利を挙げている点にも注目したい。

2019年「Z785」を使用しシェーン・ローリーが全英オープンを制し、2021年「Z-FORGED」では松山英樹がマスターズ優勝、2023年「ZX7MkⅡ」でもブルックス・ケプカが全米プロを制覇している。

最新のスリクソン「ZX Mk Ⅱ」も好調で、アイアン売れ筋ランキングで「ゼクシオ」を抜くこともあり「スリクソンがゼクシオを抜くなんて!」と社内でも驚きが広がっている。

「プロ・上級者の声を聞け」から始まった「スリクソン」アイアンが、名実ともにダンロップの屋台骨になった証である。

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