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飛距離を求めている時はショットの安定を求める必要なし 不安を感じても飛距離を伸ばすことに専念していい

ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.16

2023/10/04 ゴルフサプリ編集部

スイング

ゴルファーにとって、永遠のテーマともいえる「飛距離アップ」。それはジャンボ軍団が最優先で追い続けた目標でもあった。ジャンボの愛弟子で「誰も書けなかったジャンボ尾崎」の著者である金子柱憲は、ジュニア時代「むしろ飛ばない方だった」という。その金子がジャンボの下で飛ばし屋に変貌した裏に何があったのか。「ジュニアが将来飛ばし屋になるために、いまやるべきこと」を、金子が明かす。

GOLF TODAY本誌 No.616/134〜135ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己

飛距離は上がりこそすれ落ちることはない だから焦らずにじっくりと取り組むこと!

トレーニング風景

飛距離のアドバンテージを身につけるには、まずは体力をつけること。そのために走り込み、下半身を作ることをトレーニングでは実施していた。

パワーゴルフの全盛を感じさせるコースの変更が明らかになったのは2020年の全米プロゴルフ選手権。

開催コースのTPCハーディングパーク(米カリフォルニア州)が初めてメジャーの舞台となった時だったといえる。話題に上ったのが9番のパー4。

このホールは2015年「WGCキャデラックマッチプレー」開催時に525ヤードで18番のパー5として使用されたが、5年後のメジャーでは500ヤード超え(515ヤード)の9番パー4に変貌していた。

選手たちの飛距離が、飛躍的にアップしてきていることを象徴する変更だった。この辺りの事情を、金子はこう解説する。

金子の独白 「近年では、クラブやボールの目まぐるしい進化とトレーニング方法の進歩により、プロゴルファーの飛距離は劇的に伸びてきました。今では、平均飛距離300ヤード越えの選手は当たり前。女子においても、世界的なレベルで見れば平均飛距離270ヤード越えの選手も増えてきています」。

将来、プロの世界における大活躍を夢見るジュニアたちにとっても、こうした状況を見れば飛距離アップの必要性を感じずにはいられないはず。金子も、将来ツアーで戦ううえで、飛距離がアドバンテージとなることを指摘する。

「特にピンポジションやコンパクションのタフなプロツアーでは、距離を稼いで短いクラブでピンを狙える方が有利に働くことは間違いありません。もちろん、正確性も当然必要になりますが、それを踏まえてもロングヒッターが有利であることは、ランキングとドライビングディスタンスの順位を見ても相関性があることが分かります」

一方で、ジュニアにはまだ多くの時間がある。焦る必要はない。そもそも、金子自身が高校1年頃までは、飛ばない部類に入る選手だったというのだ。

金子の独白 「私は体も小さく中学3年生の頃で身長158センチ、飛距離も200ヤード程度でした。初めて出場した日本ジュニア(霞ヶ関カンツリー倶楽部)でも、ほとんどのパー4のセカンドでグリーンに届かず、フェアウェイウッドも多用していました。当然成績も振るわず下から数えた方が早かった」。

体格差から来る飛距離のハンディに苦しんでいた金子だが、腐ることはなかった。「スポーツ(の身体能力)は不公平の中に成り立っています。しかし、努力によってある程度は自分の欠点を補うことができるのです。それが飛距離であっても、同様で、トレーニングや素振りなどによってヘッドスピードを上げることは十分に可能です」

工夫されたトレーニング方法

ジャンボ尾崎
セレクションを受けに来たジュニア達にも、羽根のついた練習器具を振らせて手ではなく体の芯でスイングをしているかをチェックするジャンボ尾崎。

飛距離は「トレーニングと素振り」によって伸びていく。それが、金子が得た答えだった。だがそこにはハードルがある。何と言っても飛距離アップのトレーニングは、単調で面白みのないものになりがちだからだ。そこで工夫が必要になる。

金子の独白 「素振りは単調で飽きやすいトレーニングです。ジャンボ邸では、スイングトレーニングに関する練習器具がたくさんあります。ゴムチューブ、重いクラブや羽根つきクラブ、下半身強化の棒などです。こうした道具は、ゴルフショップなどでも購入可能です」。

具体的なトレーニング方法について、金子が解説してくれた。「ゴムチューブは壁の1メートル70センチくらいの高さにあるフックに引っかけて端を持ちます。その場所でトップからダウンスイングの動きで、チューブを引き下ろします。その時に注意しなければならないのは、スイングの時と同じく下半身のリードで行うこと」。

さらに有効なのが、ジャンボ邸にもある羽根つきクラブ(上写真)やゴルフのグリップがついた素振り用のバットや棒。「これも下半身のリードで、リリースを遅らせ、インパクト後もフェース面を保ち続ける意識が大事。スイングスピードを上げることは、他の技術を習得するよりも比較的簡単に目標を達成できる。

明日のスコアよりも1年後の、自分の姿を意識して頑張ってほしい」。

パワーは身につければ落ちない

ジャンボ尾崎

あらゆる練習器具を工夫して、飛距離アップに特化した基礎練習に余念がなかった現役時代のジャンボ軍団。

さらにこう続ける。

金子の独白「ジュニアトーナメントの世界で今活躍できても、その先にいってどうなの?ということ。

(ブライソン)デシャンポーの例を見てほしい。280、290しか飛ばなかった彼が、わずか1年半で大変身を遂げた。それはトレーニングでパワーをつけたから。

仮にデシャンポーがパットを1年半みっちり練習しても、それと同じレベルの上達を得ることはできなかったでしょう。飛距離は上がりこそすれ、落ちないのです。

私にしても、かつては飛ばないことが劣等感だった。それで狙ったネットまで届かなかったら、素振り100回やると決めてやりました。時間がかかったけれど、そのうちに届くようになった。たとえばグリーンに1回乗っても、次に同じところに乗せられるものではない。

でも飛距離についていえば、1回ネットまで届いたら、次も届く。技術的な部分で安定を求めるのは大変だけど、パワーはいったんつけば落ちません」。

金子プロからジュニアへのワンポイントアドバイス

飛距離を求めている時は、ショットの安定を求める必要は、ありません。飛ばそうとすると、ショットは必ず曲がります。その時には不安を感じることもあるでしょうが、かまわず飛距離を伸ばすことに専念してください。パワーがついたら、球筋を揃えればいい。

私がトップのジュニアになったのは高3の時。それまではBクラスのジュニアでしたが、ひたすら飛ばすためにひたすら努力したら、パワーがついて飛距離が伸びたのです。


金子柱憲

金子柱憲(かねこ・よしのり)

1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。


ジャンボに聞け! ジュニアゴルファーの育て方

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