苦手な距離は残さなければいいんです。プロゴルファーなんだから
石井良介のゴルフ・すべらない話:第7回
“試打る人”・石井良介。最新クラブを試打し、コメントするカリスマ・試打職人として知られる。だが、石井良介は試打職人である前に、ティーチングプロであり、ゴルフが大好きな一人の人間である。石井良介は、普段どんなことを考えているのか、あんなことやこんなことに対してどう思っているのか。試打記事では見えてこない、石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話」をどうぞ。第7回のテーマは「半端な距離が残った時の距離のコントロール」です。
写真/ゴルフサプリ編集部
半端な距離を残さないようにティショットを打つ
前回は「ショットで距離を合わせる」というテーマでお話をしました。内容をかいつまんで言うと、半端な距離が残った時、下手に距離をコントローして失敗すると、流れをつかめなくなってラウンド自体を壊してしまうリスクがある、という感じです。
これに対して「自分は中途半端な距離しか残らない。どうしたらいい?」という旨の反響を数多くいただきました。そこで今回は、もうちょっと突っ込んだ話をしたいと思います。
前回、僕は半端な距離が残った場合でも、あまり距離のコントロールはせずフルショットで臨むとお伝えしましたが、これには前段があります。それは、2オンできそうなホールでは、極力“between(半端)”の距離を残さないようにティショットを打っている、ということです。
もちろん毎回うまくいくわけではありませんが、それを考えずにティショットを打つのは、ドライバーでマン飛びしても絶対2打では届かないパー5くらいで、必ず2打目のグリーンまでの距離を考えて打ちます。
これを地道に続けていくと、だんだん“between(半端)”の距離が残らなくなってきます。多少のズレはあっても、フルショットすればグリーンのどこかに乗るようになってくるのです。
1ラウンドを前半と後半のダブルヘッダーと考える
そういえばこんな話があります。藤田寛之さんに、ある女子プロが質問しました。
「私は●●ヤードの距離が苦手なんです。どういう練習をしたら打てるようになりますか?」
すると藤田さんはこう答えたそうです。
「あなたはプロゴルファーなんだから、その距離を残さなければいいんですよ」
まさに言い得て妙。プロだって好きで距離を打ち分けているわけじゃないんです。とはいうものの、思い通りのティショットが打てても半端な距離が残ったり、トラブルになることはあります。そうなったら流れが悪いということなので、傷口を広げないようにするべきです。
もし、立ち上がりで大叩きをして「今日はもう終わりだ」みたいになることがよくある人は、野球のピッチャーが丁寧にストライクをとるような感覚で、どうやって無難にやり過ごすかを考えた方がいい。
それには自分がどんなゴルファーかを理解したうえで、立ち上がり・前半・中盤・後半・終盤で、集中力を配分するような感じで流れをつくれるといいでしょう。日本のゴルファーは昼食をとらされるので、1ラウンドを前半・後半のダブルヘッダーと考え、前後半をさらに細分化するのがいいかもしれません。いずれにしても、ゲームには起承転結みたいなものがあって、それを無視するとロクなことにならないと僕は確信しています。
怖いものは避ける。ごく当たり前の防衛本能を働かせればいい
流れを引き寄せるには危険を避けることも不可欠です。
よくレッスンでも言うんですが、怖いお兄さんがウヨウヨいるところで、札束をむき出しにして歩いていたら、そりゃカモになります。誰だって怖いから、遠回りしてもそこは避けて通りますよね。
「じゃあ何でゴルフ場ではそうしないの?」って話。怖いバンカーがおいでおいでをしていたら避ける、というごく当たり前の防衛本能を働かせればいいのに、なぜかそうせず「エイッ!」と打っちゃうことありますよね? それが失敗したら、大叩きの呼び水になる。当然、流れも呼び込めません。
そもそもフェアウェイというのは航海用語。座礁することなく安全に航海できるルートがフェアウェイですから、そこに航路をとるべきです。また、フランスではゴルフは女性名詞だそうです。となると、コースを攻略するとは、さしずめ意中の女性をどう口説くか考えること。藪から棒ではダメだし、慎重すぎるのも考えもの。さて、下手に出るか、強気に出るか……。そう考えると次のラウンドがより楽しみになるのではないでしょうか。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
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